「灘→東大」3兄弟の子育てに学ぶ5つのコツ 生活動線を変え、母は受験勉強の秘書になる
先週に引き続き、人気育児本紹介の第二弾は灘から東大理Vに3人の子供を送り込んだお母さんの育児法です。その中から私の4人の育児経験に照らし合わせて特に重要だと思う育児方針を紹介させていただきます。
『「灘→東大理V」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方』著者の佐藤亮子さんは3人の息子さんを灘中学に入れ、東大医学部に合格させられました。これだけでもすごいことですが、佐藤さんは3人の息子さんたちの勉強のお手伝いを、東大の入試日の前日までされました。文字どおり、母子二人三脚で成し遂げた快挙でした。
佐藤家では、ここまで母親が関わらなくとも、子供さんたちはやり遂げたかもしれません。子供さんたちは勉強が嫌いだったわけではなく、志望校の目標は、それぞれ子供さん自身で設定しています。ではなぜ参考書選びから分刻みの勉強スケジュールまで母親が決め、子供たちはそれに従ったのでしょうか。
それは彼女が、「子供が親元にいる18歳までは、とことん面倒を見て、一緒に学んで、導いてあげたい」と強く決意されたからです。その中の一つが、「勉強」でした。勉強ができれば、より多くの可能性が得られますし、知識を得る楽しさに気づくことができます。佐藤さんには、それらを与えることができるのは、子供を一番よく知る母親だという強い確信がありました。その与え方が、並みの方法でなかっただけです。
佐藤さんは子供さんの幼児期に、「絵本を1万冊読ませる」と目標設定し、毎日、本を何冊も何冊も読み聞かせたそうです。我が家も毎日絵本を読み聞かせましたが、せいぜい100冊くらいだったように思います。1万冊とは仮に生まれた途端読み聞かせたとしても3歳まで毎日10冊読ませるペースであり、ここからすでに並みではありません。
彼女はこのことで、日本の文化や考え方を、子供の心に根付かせることができたと述べておられます。私はそれ以上に、子供さんたちが母親と一緒に、活字に触れる楽しみを知り、母親の読み聞かせが習慣になったことが大きいと思います。
中学受験だけでなく、大学受験のための勉強でも、社会や理科、国語などで、母親が音読して勉強を助けています。普通は子供も嫌がる方法ですが、佐藤家の子供たちは高校3年生になっても大いにこれを活用しました。当然のことですが母親の音読ですから、例えば国語の文章で我が子が知らない世界の内容が出てくれば、母親が解説を入れて、理解の促進につなげます。
辞書を引かせる時間ももったいなくて、母親が引いて、子供に見せる徹底ぶりです。各論では賛否がある手法も散見されますが、子供がより多く勉強し、より多く活字に慣れさせるためのサポートという意味では頭の下がる思いです。
育児において、子供に家事の手伝いはさせるべきでしょうか。私は注意力散漫な息子たちのために、遠足の支度などは私がしていました。お手伝いなども、させたことがありません。そんな時間のかかることに、私が付き合う気がなかったという理由からですが、子供の生活能力を伸ばしてやらなかったという悔いが、いつもありました。
ところが佐藤さんはこの問題にも、「小さい頃から家事手伝いをしたからといって家事が好きになるわけでも上手になるわけでもない。そんな時間があるなら、今しかできない勉強をさせたり遊ばせるほうが、ずっといい」と、4人の子供たちが学校へ行く支度も、全部毎朝、母親がしたそうです。
「お手伝いをする子に育てる」という言葉がありますが、そんな子に育てたいとは思わなかったと、彼女の育児目標は一貫してブレません。ブレがないどころか、「とことん面倒みて、育児を楽しみたい」という言葉にウソがなく、「とことん」もここまで徹底するとやっかみを入れる余地がなく、拍手喝さいです。
ただし私の育児体験を振り返ると、子供にお手伝いをさせるのは別の教育効果があるように思います。4人の子供を振り返った時、早く留学して自立して生きざるをえなかった子供は何をするにも自立心があるのに対し、大学に行っても頻繁に私が面倒を見た子供は過保護がたたり、成人してからも家事の一切をできません。子供に家事をさせるかどうかは子供のタイプによっては、家事ができるかどうか以上に自立心の発達が遅れるように思います。
佐藤さんは子供の受験勉強に伴う“雑用”をすべて引き受け、「受験勉強の優秀な秘書」とでも言うべき働きをされています。子供の家庭でのスケジュール管理を徹底されました。勉強→食事(この時に、暗記勉強の手伝い)→勉強→入浴などですが、子供さんたちも当然のように、否むしろ楽しんで、それに従っておられます。
勉強のやりかたも、過去問は本番と同じ形式にプリントしなおしたものを25年分コピーするとか、何月までに何回回すとか、スケジュールを立てるなどの雑用はすべて母親の役目です。採点は母親で、その間も子供はどんどん先に進み、間違った点だけを、本人が後でやり直す方法です。ノートの取り方もすべて母親が編み出した方法で、膨大な参考書や問題集も、ほとんどは母親の選択に従ったものでした。
勉強嫌いな息子を持った母親としては、信じられない光景ですが、佐藤家にはその下地がありました。佐藤さんは子供さんが小さい時から、散歩の時はいつも、図鑑をもって、お花の名前などを調べていたそうです。絵本1万冊も同様で、母親と一緒に学ぶことが日常的なことでした。その延長が18歳まで伸びただけのことかもしれません。
母親の熱意と愛情と、子供の東大理Vへの強い目標がうまくかみ合い、二馬力にも三馬力にもなった最高のチームワークの勝利だったと思われます。
このような二人三脚は、母親も子供さんも優秀だからこそできた方法だと、思われる方が多いでしょう。私もそう思います。しかし私たちのような多くの普通のお母さんにも、育児の参考にできるもっとも優先順位の高いものを考えれば、前述しました「知識を得る楽しさを教える」「幼少期から活字に慣れさせる」「親子のチームワークで勉強する」の3点に加え、以下の2点を挙げたいと思います。
1・生活動線を変えよ〜テレビを遠ざけ、居間を勉強部屋に
佐藤家は、4人兄妹の机はすべて居間にあって、キッチンとの間にこたつを置き、勉強と勉強の間の食事時間は、そのこたつで食事をされたそうです。食事中も、そのこたつ机で勉強を続ける子や、暗記を親が手伝う時間にする子など、さまざまです。それでもそれが日常で、雑音を気にする子はいなかったそうです。
そして佐藤家では、テレビを2階の一番使いにくい部屋に置きます。テレビ画面を見るのは、佐藤家では非日常で、わざわざ2階の部屋へ上がって行かなければならない生活動線でした。つまらないテレビ番組をみるのは、家に悪い客を招き入れたのと同じくらい意味がないと言った人がいますが、全く同感です。
受験生が受験時代にテレビをみなくてもまったく困らないのに、それを生活の中心の居間に置くことの愚かさを、遅ればせながら思い知った次第です。家に帰ってくれば、まず居間に入ります。その居間を勉強部屋とすれば、居間にいる限り、勉強より他にすることはありません。そして母子でいつも、その部屋で勉強するのが、日常になります。
どちらかといえば勉強をすることが非日常の息子と共に、親子で居間のテレビ(主に笑点)ばかり見ていた私は、恥ずかしい限りです。
2.勉強を教えるのではなく、勉強の仕方を教えよ
佐藤さんは専業主婦で、確かに知的好奇心も強く、ご自身が読書などで絶えず勉強することも、大切な時間としておられる方です。しかしここで重要なことは、彼女が受験科目に精通していて、それを教えたのではなく、主として勉強のやり方を教え、やり易いようにサポートされたということです。
中学受験の算数は難しいから、その手伝いは子供が問題を解きやすいように、1問ずつ余白十分のプリントに作り替えることでした。後の科目は音読や、気の利いた資料や参考書をそろえるなどで手伝いました。
予定通り進まなかった子には、1日2時間ずつ挽回する方法を提示して、二人三脚で完遂しています。その積み重ねだったとはいえ、東大理Vの試験日の前日までサポートできること自体が、普通ではありません。
佐藤さんご自身が頭脳明晰な方であることは確かですが、それ以上に、子供の教育に熱心で、ご自分の子供さんに合った勉強法を研究し、その実践に、最後まで付き合ったという点が中途半端でなく、それが重要なポイントだったと感じました。
受験勉強でサポートしないのは、親が優秀でないから、というのは理由になりません。「膨大な数の絵本の読み聞かせや図鑑を日常で使い、親子で学ぶ習慣を作る」「子供の教育を最優先」「自分の子供に合った教育法の研究」「最後まで付き合う」は、普通の母親でも、真似ることができるのではないでしょうか。
子供の受験勉強をサポートするうえで、私は本書に書かれていることの全てに諸手で賛成するわけではありません。子育ては家庭環境や子供の個性、親の個性によって最適な解は変わってくるはずです。またそもそも、受験勉強をさせる前に子供の意思をどう育み、進路に反映させるかなど、より重要な「そもそも論」もあるかと思います。
それでも筆者の佐藤さんが試みられた「生活動線の工夫」と「子供の個性にあった勉強の仕方」のサポートの重要性は、親の仕事としてとても参考になるポイントだと思います。これらの努力と工夫の一つ一つが、本コラムの冒頭で述べた教育で一番大切なことである「子供に学ぶ楽しさを教える」ことにつながっているのだと思います。
話題の育児・家庭教育本書評の最終回である次回は、私が最も紹介したい、話題の良書を論じさせていただきたいと思います。
リンク先のコメント欄では(僻みもあるんだろうけど)批判的な意見が多い。私は、誰も、と言うか、どこの母親も真似が出来ないことをやってのけたのだから、ある意味「凄い!」と思う。うちなんか3人の子供を東大の理Vどころか、良くて専門学校まで、しかも親はカネを出さずに新聞奨学生で行かせたのだから、そういう面からすれば、この母親とは「雲泥の差」だと率直に認めざるを得ないのだが。
でもって、この話に父親が全く出てこない、ということは母子家庭なのかなあ・・・。この記事を書いた記者の価値観もずいぶんと偏っているようにも思える。なんか、洗脳されてる、と思えるほどに。
たぶん、母と子の間に絶対的な信頼関係が築かれていることだと思う。子供が「東大に行きたい」と幼い時から望んでいたなら他人が文句を言う筋合いでもない。だが、何か引っかかる・・・。
人生にはいろんな選択肢がある。育って行く過程で多くの人と交わり関わって、そういう中から天職を探し出したり、何を学ぶかを子供自身に決めさせてもいいのでは、と、私は思うが、やはり僻みだろうか。
私からすれば、3人の子供を東大の理Vに合格させたというのは「まだゴールではなく過程」であって、本当に成功したかどうかは子供たちがどんな医者になったかで決まること。評価するには早い。
私の同級生の中にも東大や京大に進んで高い地位に就いた者や高収入を得ている者がいて、自転車操業で多くのトラブルと対峙しながら還暦を過ぎてなお働いていなければならない私とは大差がついているようにも思えるが、私自身は奴らより「圧倒的に勝ち組」だと自信を持って言える。
好きなことをして、たまに美味しい物を食べて、(働かなければ食っていけない事情があるにせよ)この歳で仕事もあって、何より、誰よりも多くの良き友人や恩師に恵まれているのだから最高の人生だろう。うちのや子供に何も財産は遺せないけど、それはそれぞれの人生だから自分で何とかすればいい話。
あちこち海外にも旅行して、テレビにもラジオにも出させて頂いて新聞や週刊誌にも載って、本も出して、結婚も離婚も再婚も子育ても、ついでに浮気も

何をもって幸せと思えるかは人それぞれ。そのお母さんが「3人の子供を灘から東大の理Vに送ったこと」を誇りや自慢に思えたとしても、それはそのお母さんにとって、ということ。もちろん、ケチをつける気は毛頭ない。ただし、そのお母さんの本が誰かの参考になるのか、と言えば・・・、全く参考にはならないと思う。読んだとしても誰も真似なんかできっこないし。それでも「凄い」ことには違いないが。
私は、我が子が「他人を気遣える大人」に育ってくれたことで充分。ま、それでも、一人くらいは大学に進んでくれたら嬉しかったとは思う。う〜ん、やっぱり僻んでんのかなあ・・・

私の感想としては、「凄いのは認めるけど、だから何なの!?」くらいのもの(上から目線

我が子ではないけど、今では「ハリケーンさんの娘さんが将来どう大化けするか」が最大の興味

ま、馬鹿でもいい、出世もしなくていい、事故なく健康でいてくれるのが親としての私の願いだから。
【関連する記事】
お医者さんかな?
お父さんよりも、4人目の子供が全くでてこないのが凄く気になります。
女の子なのかな?(灘には入れないので)
理系の東大受験を手伝える人は、専業主婦に限定しなくても人類の5%もいないでしょうから、凄いことは確かですね。
でも四六時中母親がついて全て仕切っていて、まともな社会人になれるんでしょうか。
TVがなくても困らないというのは確かでしょうが、友達とちゃんと遊んでいたのかなぁ…
男の子なら外で虫を捕まえたり、魚釣りしたり、それこそその頃にしかできない遊びがいっぱいあるのに…医者になるなら無慈悲に虫やカエルを殺す体験こそ必要じゃないかと思います。(男の子はみんな殺すよね。私だけサイコパスじゃないよ…ね。)
とか余計な心配をしてしまいます。
うちの娘はそんなに大成しないと思いますよ。
まともな男に嫁げば充分です。
この記事のお子さん達も満足していればいいですが。
自分が満足していれば、それが一番の幸せ。かなと思います。
<<うちの娘はそんなに大成しないと思いますよ。
まともな男に嫁げば充分です。
いいえ、大成しますね(キッパリ)
私はそういう予測は外したことがありません。残念ながら、それをこの目で確認するまで生きていられそうにないのですが。ま、立派な男に嫁いでくれたら親としては何よりですけどね。私なんか、誰でもいいから(うちの娘を)もらってくれ、と願ってますから・・・。
そう言えば、たしかに「専業主婦」とありましたね。でも、この手の記事で、いくら母親にスポットを当てるとしても、父親のことに全く触れないのはおかしな話ですね。まるで母親の力だけで子供たちを東大の理Vに合格させたかのような書き方ですし。
もしかすると、父親の接し方や教育方針が大きかったかも知れません(そう思いたい^^;)
それと、私も気になってますが、勉強だけしていて立派な社会人、医師になれるのかなあ・・・、ということですね。友だちと喧嘩したり、いろんな生き物の生死と向き合ったり、恋もして失恋も体験して、時に挫折したり、信頼していた人に裏切られたり、そういうことで人は成長していくものですから。
うちのお客さんで、スポーツ万能で東大の理Vに現役合格した人がいますから、そういう人のほうが魅力的に思えます。
そんな育ち方でマザコンにならなきゃいいな、と・・・。やっぱ僻みでしょうかねえ(*´▽`*)
<<この記事のお子さん達も満足していればいいですが。
他の世界を知らない、知らされていないでしょうから、比較ができないんじゃないでしょうか。てことは「何をもって満足と思えるか」の基準が定かでない、ということでして・・・。
もし、受験勉強中に好きな女の子ができたとして(まあ本人も考えもしないし欲求も持たないでしょうけど)、母親に紹介したなら、このお母さん、何て言うでしょうね。
ああ、やだやだ・・・。う〜ん・・・、どこまでも僻みか・・・(*´▽`*)
まあ高校生まで受験の手伝いを母親がするのを子供が受け入れるというのはレアケースだと思いますけどね。普通は中学受験まででしょう。
私が灘中受験したのはもう20年以上前ですが少なくとも受験生の母親は大体みんなこんな感じですよ。
今では珍しくないですが車での送り迎えは当然(我が家は車がないので自転車です!)夜遅くなるので休み時間に軽食をとるのですが立派なお重や1食¥1000くらいのもの(我が家は菓子パン1個!)などなど傾ける情熱と財力がすさまじいです。まあほとんどが医者とか社長とかの息子でしたからね。元々のDNAも優秀で投資も惜しみなくという感じですね
子供もテストの点が悪かったら泣く子とかいたしなぁ。それだけ親子共々ガチなんですよね。
まあ私も親も色々足りなかったんでしょうけど、別に後悔とかは全くないですけどね。
でも理Vに合格した人って結構普通に女の子とデートしたりとかしてる人も結構いるんですよね。もう元々の頭の出来が違う人たちがいましたからね。
勉強は嫌いじゃないけど遊びもする。塾で会ったりしたら「今週のジャンプもってない?」とか聞いてきましたからね。
多分この息子たちはそこまで飛びぬけた頭脳はもってなかったんだと思います。
だからこの母親は相当頑張ったんだと思いますよ。そういう意味でこの本は子育てに興味がある人は読む価値があると思います。尋常じゃないことをしているわけですからね。ただこれを真似てうまくいくかというとそうではないと思います。
灘中、受けられるだけでも凄いと思います。私なんかは公立中からごく普通の県立高校でしたから。
この本は、母親サイドから書かれているワケで、実際に受験した本人の立場からの本ではありませんし、元々が私の場合は「私はこうやって成功した、何億稼いだ」なんて啓蒙書を有り難がることもないので、子育て真っ最中の時に読んだとしても私の参考にはならなかったと思います。
ただ、3人の子供が母親の方針を受け入れて努力したのですから親子間の信頼関係は盤石だったでしょうね。と言っても、3人目(末の弟)のプレッシャーは相当なものだったことでしょう。
私の同級生が言ってましたが、やはり、受験は金持ちの家に生まれていることが何より強み、とかで、愛知県なんかでも、昔は「旭丘高校」が県内トップでしたが、十数年前から、トヨタのエリート社員が多く住む地域の「岡崎高校」が一番になっているとか。受験もモノを言うのはカネなんですね。
そう言えば、東大の理Vに通う生徒はガリ勉型と天才型とに分かれていて、天才型の中にはほとんど勉強しない学生もいるそうですね。個人的にはそういう学生のほうが好きですね、余裕が感じられて。
さて、この話の「下」も楽しみです(^◇^)