2015年09月19日

家賃の値上げ

msn.に、「女子SPA!」から、こんな記事が、

見出しと記事本文の内容はちょっとずれていて、見出しだけ読むと誤解を生じそうだが、記事の中身は概ね妥当なもので、ずっと以前から私が記事にしている内容とほぼ同じ。最初に言っておくが、こういう記事を読むと「自分に都合よく解釈したり、都合のよい部分だけ抜き取って勝手な言い分を主張する者がいる」が、それをしてしまうとゴリ押しで得をするどころか損をすることが多いので要注意である。


知ってた!? 家賃上げますと言われても…住人は「応じる義務はない」

 賃貸に住む人にとって、1番の出費はやはり「家賃」。毎月固定でかかってくるお金なだけに、少しの増額でもトータルで考えてみると大きな出費になることも考えられます。

 もし、ある時あなたが大家さんから「家賃を上げたいんだけど……」と増額を要求されたら? 街の再開発や、東京オリンピックを見越した影響などで、家賃が高騰している地区も多くあります。

 今回は、賃貸物件に住まれている方にとって、きっと気になる“家賃”について、暮らしの情報サイト「日刊Sumai」がご紹介しましょう。

◆家賃の増額に「応じる義務」は、無い!?

 もし、大家さんから家賃の増額を打診されたら……。

 まずは、家賃の増額に関して大家さんと双方の意見を交えて話し合いましょう。話合いで折り合いがつき、大家さんとの良好な関係を保てるのであればそれに越したことはありません。話し合いにより折り合いがつかず、大家さんが一方的に増額された家賃を請求してきても、あなたはそれに応じる“義務”まではありません。

 法律上は、「あなたが相当だと思う金額を支払えばOK」とされています。ただしその後、裁判等で家賃の増額が認められた場合は、足りない分に年10%の利息を付けて支払わなければならないということになります。

◆もし話合いがまとまらなかったら……

 話合いで決着がつかない場合は、大家さん側が裁判所に「調停」の申し立てを行うことが考えられます。「調停」とは、あなたと大家さんが直接顔を合わせて話し合うのではなく、調停委員を介しての話合いを裁判所で行う手続きのことです。

この調停でも話合いがまとまらない場合は、「訴訟」により決着をつけることになります。

 賃料増額の請求については、いきなり裁判所に訴えることはできず、まず調停で話合いをする必要があるため、このように調停の後に訴訟、という流れになります(「調停前置主義」といいます)。

◆こんな時は「家賃の増額請求」が認められる可能性大

 家賃の増減を請求できる場合は、「借地借家法」という法律によって定められています。

その32条1項によれば、

・土地や建物に関する税金等が増加するなどにより土地や建物の価値が増加した場合

・1以外の経済事情の変動があった場合

・近所の相場と比較して不相当となった場合

には家賃の増額請求ができるということになっています。

 逆にいうと、上記1〜3の条件がなく、単に大家さんの気まぐれで家賃を上げようとしても、請求してはいけないということになるんです。

◆調停、裁判のポイント

 もし、話し合いで折り合いがつかず、調停や裁判になったら……。

どういったことが“決め手”になって、家賃の増額についての判断がなされるでしょうか?

 もちろん、事案ごとに具体的なポイントは異なりますが、上述の1〜3の条件を満たすかどうか? が争点になることが多いでしょう。

 これ以外では、「家賃を定められた時期からどれくらい経過したか」という視点も軽視できません。家賃等も含めて合意に至ったから契約したのに、わずかな期間で家賃増額が認められるようなことになると、とても不合理だからです。

「あとですぐ家賃上げる前提で、契約取るために安い家賃に設定していたのか!」ということになりますからね。

 特に訴訟となった場合、“証拠の有無”も当然重要です。多くの場合、不動産鑑定士さんが作成した鑑定書が大きな意味を持ちます。

◆もし、調停・訴訟で「家賃の増額」が認められたら……

 調停、訴訟において家賃の増額が“認められた”場合、足りなかった家賃分に年間10%の利息を付けて大家さんに支払わなければいけません。定期預金の利息が“0.数%”という時代ですから、10%というのはかなり高額です。

 実際のところ、「調停をして訴訟をして……」と仮定した場合に、「どのくらいの増額に収まりそうか?」という着地点を想定し、判決までの“期間”を検討し、「差額としていくら利息を支払う必要があるか?」という観点も重要になってくるでしょう。

 逆にいうと、自分も家賃が安いと自覚していて、かなり高い確率で一定の増額が認められると思うのであれば、調停や訴訟に至る前にさっさと合意しておいた方が、結果として得になるという考えも十分に成り立つということです。

 以上のように、家賃の“増額”について、法律によってルールが整備されています。

「大家さんに一方的に言われたからといって、ただちに家賃の増額に応じる“義務”はない」「ただし、正式に増額が決まった場合には一定のリスクはある」

 もし、大家さんから家賃の増額を言い渡されたら、これらを理解した上で、弁護士などに専門的なアドバイスを求めても良いかもしれませんね。

【日刊Sumai】

今の時代に、家賃を値下げすることはあっても値上げすることはほとんど無い。いくら近い将来オリンピックが開催されると言っても、現在入居者募集中の都心の物件は既に織り込み済みだし(現在の条件で契約した)家賃を値上げすることは(道義的には)出来ないもの。たとえ正当理由があると認められると予測できたとしても、入居者の真理としては納得いかないだろうから退去される可能性もある。

そういうリスクや状況を考えたら記事そのものはタイムリーとは言えないが、覚えておいて損は無い。

少なくとも当社の場合、入居者の現在の状況とか人柄を見て、元々今は相場より高めの家賃になっているなら、入居者からの相談が無くても家主さんに値下げの相談をする。それでは公正公平ではない、と言う人もいるだろうけど、間違っても「クレーマーの家賃を下げてあげよう」などとはしない。たとえ相場より高くなっていても、である。日ごろ気持ち良く接してくれている入居者と、理不尽な文句ばかり言ってくる入居者と、同じ対応をしていたなら、私からすれば「そのほうが不公平」と思えるから。

その典型的な例が孤独死したC氏である。気を遣ってなんかくれなくても、せめて普通に接してくれていたなら相当に差が出ていたと思う。現実に、人柄で100万以上も得している入居者もいるし、ほんと。

ただ、家主さんの利益にも配慮しなければならないので、一気に相場まで下げて頂くことはお願いしないで何回かステップを踏むようにしている。

と言いつつ、うちの店の家賃は相場まで一気に下げて頂いている。今まで、途中で何度も家主さんから「値下げしましょうか?」と言われていたのに私がずっと辞退していて、8年前の独立を機に家主さんに相談して値下げして頂くことになったから、である。家主さんは「いくらでもいいわよ」と仰っていたが、私に決定権を頂けるとしても「立場を利用する」のは嫌だから相場でお願いした。

人柄なんて急に改めようとしても無理なものだが、間違いなく、人柄の良い入居者は得するもの。ただし率直に言って、家主さんの人柄や価値観、経済観念なども考慮しなければならないので、どのタイミングで、どう話を持ち掛けるか、は気を遣うもの。過去には却下されたこともあるが率としては少ない。

過去には、家主さんに値下げをお願いして激怒されたこともある。相場と懸け離れてきていたし、慎重に言葉を選んでお願いしたのだが・・・。それだともう入居者に対する責任が果たせなくなるし、ストレスが溜まるだけだから管理は辞退した。「20年も付き合っていて、そんなふうに手を切るのか!?」との言葉は忘れない。

入居者には「不動産屋に任せているから」と言いながら、私には自分勝手な言い分を押し付けて入居者との約束を反故にしようとしていたから、きっと新しい管理会社には最初のうちは「いい顔」をしていたことだろう。

貸主からの値上げも入居者からの値下げの相談も、互いを思い遣る気持ちが無ければ、どちらの言い分が通ったとしても、その後、快適に暮らすことが出来なくなるもの。現実には、正当理由は二の次、であろう。

posted by poohpapa at 07:41| Comment(2) | プロとしての見解、アドバイス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
poohpapaさんおそようございます。

家賃、借りる方は安いがいいし、貸すほうは少しでも高いのがいいのに決まっているし。

相場って、まあ、不動産屋さんの入り口に張ってある相場で確認するくらいでしょうか?それもあんまり当てにならないし。難しいですね。

うちの店の家賃は相場まで一気に下げて頂いている。って例の大型台風がきたら危ない、、て噂されている店舗ですか。
Posted by たか at 2015年09月19日 12:32
たかさん、こんにちは

<<例の大型台風がきたら危ない、、て噂されている店舗ですか。

そう、老朽化が進んでる建物でして・・・、って、そういうことじゃなくて( `ー´)ノ

建物が朽ちるのと、会社がつぶれるのとどっちが先か、くらいの話ではありますけどね。

家賃相場は店頭広告でもネットでも分かりますね。地域によって値下がり傾向になってる所や、一旦は下げて上げに転じている所など、いろいろですね。貸主借主、双方の立場や利益を考えながら妥当な落としどころを探すのに苦心しています。不動産屋は、私だけでなく皆そうじゃないかな・・・。
Posted by poohpapa at 2015年09月19日 15:18
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