2007年05月31日

普通では有り得ない展開になった部屋探し(前編)

先日、「悪徳」本の出版社である「五月書房」さんから封書が届いた。開封してみると、中にもう一通の(未開封の)封書が入っていた。

差出人は朝日新聞に載った私の本の紹介記事を見て本を購入し、それを読んで、「今、立ち退きを迫られている自分たちの部屋探しを、どうしても(私に)依頼したい」と思い立ち、五月書房さんに「どこの何という不動産屋か教えてください」と問い合わせしたらしい。

「個人情報なのでお教えできません」(??)と何度も断られた挙句「ならば手紙を転送して欲しい」とお願いして、ようやく出版社経由で私の手元に届くことに相なった(本人から伺った後日談)

私は「本ブログを商売やカネ儲けに利用しない」ことにしているが、そういうご相談で、しかも本をお読み頂いてのご依頼、とあらば話は別である。早速、その依頼人にお電話すると大層驚かれた。差出人は多摩地区K市に住むご年配の女性(以下Aさんとする)であった。

手紙を出してはいても、まさか連絡をもらえるとは期待していなかったようだ。あらましのお話を伺って、こちらからお宅までお伺いすることにした。というのも、お話では、家主にマンションを建てる計画が持ち上がって、近隣は既に立ち退きを完了していて、残っているのはAさんのお宅だけ、とのことで、こういう場合、欲をかいているか偏屈である可能性が高く、迂闊に相談に乗ると苦労だけさせられるケースが多いから、自分の目で人柄や現地を確認しておきたかったのだ。

伺ってみると、変人ではなく、若干の人間不信であるだけ、という感じだったので、部屋探しに協力させて頂くことにした。

予算等の詳しい条件を訊き、物件を探すワケだが、何と言ってもAさんは「ご年配で無職。高齢のお姉さんと同居で収入は年金のみ。連帯保証人も高齢で、やはり収入は年金のみ」、である。貸してくれる家主さんは極めて少ないもの、と思われた。自社の物件で家主さんにお願いするか、懇意にしている同業者に頭を下げるしかない。

年金で生活している、とのことだが、家賃は9万までOKとのこと。

それでひらめいた。「これしかない」ピンポイントの話を、である。

当社の管理物件で極上の2LDKがあって、それなら合いそうだ。今まで賃料11万8千円だったが今回の募集から10万に値下げしていて、そもそもそんなに安く貸せる物件ではない。だが、その家主さんなら、「更なる値下げ交渉」をし、「厳しい内容の申し込み」であっても、きっとOKしてくださるのでは、と、ふと思ったのである。それは、家主さんのお人柄や考え方を、私がよく承知していたからだ。

で、交渉が成立して目出度く借りることが出来ました、というだけなら在り来たりな話でしかない。家主さんとの交渉の過程で、賃貸業の深さ、というものをお客さんと共に知らされることになったのだ。


 
                               (続く)
posted by poohpapa at 04:43| Comment(4) | エピソード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
そうですね!仕事だけで経験を積むのではなく、色々な場面でどう対応しそれを自分の身にしていくか。時にそれが仕事でも活かされる(@_@)フムフムと思いました。
点と点は何かしらの形でいつか結びつくと過去を振り返ってもそう思えます。
やはりこのブログは勉強になりますねぇ(>_<)

早速の不動産ネタ 感激です!!
しかも今回のお話はかなりおもしろそうですね。ここからの展開を自分で想定し自分ならどうするか?
考えて更新を待つ事にします。
Posted by えびす けんたろう at 2007年05月31日 11:10
えびす けんたろうさん、こんにちは

実は、この記事の家主さんは、私のブログで何度も登場していらっしゃいます。もちろん、良い家主さんの例として、です。この家主さん、経済的にゆとりがある、ということだけでなく、心にゆとりがあるんですね。しかも、「アンタんとこに管理させてやっている」などという態度や言葉で私に接したことは一度もありません。

幸いなことに、私は良い家主さんに恵まれているほうですね。
カッチーン!と来ることは滅多にありませんから。以前はありましたけど管理を断ったりしていますから。

そうそう、下ネタを希望されている読み手さんもいらっしゃるので、今後はリクエストには応じかねる場合もございます(爆)

いつも有り難うございます。
Posted by poohpapa at 2007年05月31日 11:42
poohpapaさん、こんばんは〜(*^_^*)
随分と、ご無沙汰をしております。私のことを覚えていらっしゃいますか?2年前、ウチの立ち退きの件で随分ご相談に乗って頂いた者です。(当時はumiというHNでした!)その節は大変お世話になりましたm(__)m
あれから、しばらくしてコメント欄がクローズされていましたので、こちらからご連絡できませんでしたが、いつも楽しくブログを拝読させていただいていました。
最近は少しお邪魔させていただいていなかったのですが、一昨日コメント欄が開いていることに気づき、その日にコメントさせていただきたかったのですが、出来ず、今日こちらへ書き込みさせて頂きました。
その後、平穏に過ごさせていただいております。これもpoohpapaさんにアドバイスを頂いたお陰です。今回のネタが丁度立ち退きのお話ということもなんだか運命のような気が・・・(笑)
この後、どのような展開になったのか、私もとーっても気になっています。世の中には、色んな方がいらっしゃいますよね。続きを楽しみにしています。(長々とすみませんでした!)
Posted by カミュ at 2007年05月31日 21:59
カミュさん、おはようございます

詳細な内容までは浮かびませんが、umiさんというお名前はちゃんと憶えていますよ(*^^)v
その際は失礼しました。

コメント欄をクローズしてると、「傲慢だ」「ブログの双方向性というものを理解していない」などと非難も浴びるんだろうな、と解かっていましたが、体力的にも精神的にもキツイものがあって、長く閉じていました。申し訳ありませんでした。

さて、世の中には、というか人生には「縁」と「運」は付き物で、その縁や運は人任せや待っていて転がりこんでくるもの、ではなく、モノによっては自分で掴み取ることができるケースもあります。

今回のお話は、ちょうどそんなケースでした。もちろん、自分がお役に立てて何より嬉しかったですね。

コメント有り難うございます。今後ともどうぞ宜しくお願いします。
Posted by poohpapa at 2007年06月01日 05:07
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