2008年04月16日

ある慢性滞納者からの逆襲

半年も家賃が遅れていた若い女性入居者に散々督促し、9ヶ月がかりでやっと追いつかせたのだが、そこから女性の逆襲が始まる。

遅れを追いつかせた後、直ぐに私に電話をかけてきて、こう訊く。

「家主さん、無断で私の部屋に入ってないですか?」
「そういうことは有り得ませんよ」

「そんなの判らないじゃないですか!」
「家主さんは、大家だからといって勝手に入る方ではありません」

「だって、私が出ていった時と、物の位置が違ってるんですよ」
「お天道様が西から昇っても、家主さんは入ったりしません」

「本当なのに、私の言ってることは聞いてくれないんですね」
「私も本当のことを言っています」

冷たく突っぱねるのは、その家主さんだけでなく、うちの家主さんは緊急時でもない限り、無断で貸室に入ることは決してないからだ。

「今日の夜だって、私が帰って来るのを外で待ってたし・・・」


攻撃的な言葉を投げかけていた女性が無言になるのを見計らって、
ゆっくり、こう話した。

「家主さんはね、あなたのことを心配してるんですよ、実の母親みたいに・・・。あなたは、半年も家賃を滞納していながら同じ敷地にお住まいの家主さんに一度も声を掛けてなかったでしょう。それはとても不誠実なことですよ。それでも家主さんは私に『督促して欲しい』などとは頼んでいないのです。それどころか、あなたの健康のことをとても気遣っていらっしゃいました。払い終えて頂いた後も『無理をさせたんじゃないか』とご自分を責めていらっしゃいました。親の心子知らず、ですね。私が督促したのは、それが私の仕事だからです」

と言うと、小さな声で「すみませんでした」と言って電話を切った。
電話を切った後、泣いていたかも知れないが可哀想とは思わない。

実は家主さんは部屋には入ってないが、私に督促は依頼していた。
もちろん、家主さんが外で彼女の帰りを待っていたのは「家賃を請求しようと思ってのこと」、と私は家主さんから聞いて知っていた。

ウソは良くないが時と場合による。憎まれるのは不動産屋でいい。

払うべきものを払わずにいて請求されたのを逆恨みし、イチャモンを付けるネタを探して、反対に詫びを入れさせることで自分を正当化しようとする・・・、慢性的な滞納者に有りがちなパターンだ。

その女性の滞納は入居直後から始まっていて、最初のうちは見るからに病弱で心の病を持っているかのような様子に配慮し優しく催促していたが、数度の話し合いを経て、見かけによらず「したたか」だと気づき途中から方針転換していた。逆襲に出てきたことで、その判断が間違いでなかったと判る。

家主さんには、「気になさらず強く言っても大丈夫だと思いますよ。それで彼女が潰れてしまうことはないでしょう」、と伝えておいた。

その後、その女性は「漂わせていた病弱そうな雰囲気」を消した。
posted by poohpapa at 07:15| Comment(8) | エピソード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんだかぞくぞくする恐ろしいお話です。滞納者って意外と賢いというかしたたかなんですね。。。
芝居の練習でもしているのかな笑。

うちの物件にも慢性滞納者がいるので関連する記事は非常に興味があります。
これからも何かありましたらよろしくお願いします。
Posted by 星輝 at 2008年04月16日 10:18
星輝さん、こんにちは

家賃は、収入があるから払える(払ってくる)、収入が少ないから払えない(払ってこない)ということではありませんよね。

入居者は、借りる時点で「家賃が払っていけるかどうか」は判っていたハズで、たしかに、入居後にリストラや転職等で支払い困難に陥ることはあったとしても、全く払えなくなる、ということは有り得ません。

テレビも観ているでしょうし三食は食べてるハズです。それを1円も払ってこない、というのは明らかに不誠実で詐欺のようなものです。

慢性的滞納者が「したたか」というのは、払えるのに払わずに、いつまでもノラリクラリかわして知らん顔が出来るから、ということですね。

経験上、生活に困窮していても払う人はキッチリ払ってきます。払わないのは「払う気がない」ということに他なりません。

いつも書いてますが、たった500円のラーメン代でさえ、払わなければ「無銭飲食」で交番に突き出されます。にもかかわらず、何十万も家賃を滞納しているのに「お咎めなし」というのは、借主側の権利に偏っている、と言わざるを得ません。貸主の権利を侵害していながら、なぜ「犯罪」にならないのか不思議です。民事でなく刑事でしょう。

督促には気が遠くなるほどの忍耐力が必要です。不動産屋は滞納者以上に「したたか」でなければやっていけませんね。
Posted by poohpapa at 2008年04月16日 11:21
ご無沙汰しております。

時期は忘れたのですが、TV放送で家賃滞納者のドキュメントをしていました。

督促会社が滞納者に直接会いに行くと、忘年会が入っているとかでお金が必要。今すぐ家賃は払えない。なんて言ってました。

本当にこんな人がいるのかなぁ。。って思いながら見ていました。
やらせでなければ^_^;」
Posted by えびけん at 2008年04月16日 13:55
初めて一人暮らしをしたアパートの大家さんご夫婦が、poohpapaさんがついた嘘のようなご夫婦でした。
連日夜昼働いてヘロヘロになって帰ると「あんた、忙しすぎて満足にご飯も食べてないんじゃないの?ちゃんと食べないと体壊すよ」と鍋に温かい煮物を入れて持って来て下さったり。
言葉は荒かったけど、色々気にかけてもらってました。
両親を早くに亡くしていて、貧乏してたのもありますが、そこまでしてくれる大家さん夫婦に迷惑を掛けちゃいけないって思いはあったので、食べるものを削って、結果として大家さんご夫婦からお裾分け(いや、わざわざ私の為に作って下さってるんですが)を頂く結果になっても、家賃だけは何が何でも遅れまいと頑張ってましたよ。
無理な生活を続けていたのも、家賃と相続したマイナス財産を減らして生活する為でしたし(笑)

私も今現在二十代半ばなんで、この滞納者とさして変わらないと思うんですが、意識の違いがあるのは親の躾けの差なんでしょうかね。
Posted by 空ママ at 2008年04月16日 13:59
えびけんさん、こんばんは

いる、いる、いるよ、いっぱいいますよ(*^^)v

TVでよく出る家賃補償(取立て)会社はたぶん日本セーフティーという、とても紳士的な会社でして、あんなに穏やかに請求していたんではナメられてしまうだろうに、という催促の仕方ですよね。

滞納者は、笑っちゃうような理由を並べますよね。本音では「暴力金融のようにやりたい」と思うこと、よくあります。

やらせ、なんかじゃありません、現実ですとも<`〜´>

Posted by poohpapa at 2008年04月16日 19:04
空ママさん、こんばんは

空ママさん、若い!、羨ましい!、私の半分の年齢じゃん!

って、そういうことではなかったですね^_^;

空ママさん、ハートがある入居者さんなんですね。偉い!

よくしてくれたら裏切れませんよね、当然です。

うちの家主さんの中にも、そういうふうに気を使ってくださる方、何人もいらっしゃいますよ〜、本当に。

私も、過去ログで書いてますが、頑張っているけど家賃が払えなくて滞納している人に、米を配って歩いたことがあります(エヘン!)

その場合、催促の言葉は一切言いません。逆効果になりますから。

もちろん、ハートがない無責任な滞納者に対してはそんなことしません。お米が可哀想ですし、通じなけりゃ無駄になりますもん。

ね、い〜い不動産屋でしょ?、相手によりけりですが(爆)

Posted by poohpapa at 2008年04月16日 19:49
おはようございます。

うちにも居ます、ハートの無い・払う気が無い!
入居者が・・・
先日こんな事がありました
入居以来一度も支払日に間に合う事なく、そして4ヶ月の滞納!(しかも入居以来無断で二人で住んでました、ワンルームですから困るんです)
で、再三の催促の甲斐あってか2ヶ月分入金があった翌日の事、当の本人がパチンコ屋さんに入って行くのを見かけた後1時間後、会社に電が・・
誰かと思うと彼です、『あの〜、お金貸してもらえませんか?昨日入金した分から少しで結構なので・・』 今までに経験した事のない展開にしばし唖然となりました。

今月の彼の入金日は昨日でした、モチロンまだ入ってません!    
           駄文失礼いたしました。
Posted by お人好し! at 2008年04月17日 11:01
お人好し!さん、おはようございます

生活が乱れている人、というのは、家賃も滞納しますね。それでいて、自分が誰かに迷惑を掛けている、モラルに反している、という認識は持っていません。どうかすると開き直ったりします。

そもそも、契約内容に反して二人で入居するくらいですから、家賃なんてものはどうでもいいのでしょう。今は良くても、そういう人は、結局幸せにはなれませんね。

そういう契約違反者を簡単に追い出せるような法改正を望みたいです。我々管理会社からすれば切実な問題ですもんね。
Posted by poohpapa at 2008年04月18日 08:48
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