2017年05月24日

某住宅メーカーのお粗末なセミナー

数ヶ月前、某住宅メーカーから研修の案内が来ていて、第二部の内容に興味があったので参加した。

テーマは「空き家にしない!させない!空き家こそ不動産提案の宝の山」というもの。当社の管理物件でも長く空いている物件があるから「何かの参考になれば」と、藁にも縋る思いで参加したのだが・・・、

全くの時間の無駄だった。

セミナーの中身はテーマとは全く違っていて、相続にかかわる話ばかり。最後は「〇〇ホームさんが相談に乗ってくれますから」で終わり。「こうすれば空き家にならない、空き家が埋まる」なんてヒントは全くなく、要は「紹介をください」ということ。手元の資料も、虫食いになっていて、講師の話を聞いて自分で書き込んでいくようになっていて、そんなのは、最初から全部書いてある資料を渡して「後で目を通しておいて」で足りる。

相続の話からこう提案すれば空き家問題の解消につながる、という話でもない。この講師だからこそ聴けた「目から鱗」の話も無い。てことは、誰が講師をやっても務まる、ということ。資料も使い回しができる内容で、こんな研修で幾ら講演料がもらえるんだろう・・・、と思ってしまった。我々は5万の仲介料を手にするのだって大変な思いをしているけど・・・。不動産屋を馬鹿にしている、としか思えない。

だいたいが、自分たちで戸建てやアパートをどんどん建てさせておいて「空き家にしない!させない!空き家こそ不動産提案の宝の山」は無いモンだ。まさか(その住宅メーカーの)紐付きのお抱え講師の話を聴かされることになるとは思ってもみなかった。私の見込みが甘かったようだ。

講演の後で質問タイムがあったので、よほどハッキリ言おうかと思ったがやめた。ああいう講演でも納得している人はいるだろうし、ぶち壊して主催者に恥をかかせることもないから思いとどまった。ただし、顔見知りの管理職の方を会場で見かけたので、その方には伝えたしアンケートにも書いておいた。

そりゃあホテルの大広間を借りて研修をしているのだから大変な経費が掛かっていることだろうけど、一時間以上も無駄に付き合わせておいて「紹介くれ」という魂胆が露骨に見えているのは頂けない。そんなこと言わなくても研修が役立てば参加した業者は「何か案件があれば紹介してあげよう」と思うもの。

住宅メーカーが不動産業者向けに研修を開くのは、直接的に「紹介をくれ」でなく、本当に役立つ研修を重ねることでの長期的なファンづくりが目的であるべき、だと思う。そういう地道な作業を飛ばしていたのでは、たいへんな経費を掛けて開催する研修も逆効果になるのではなかろうか。その住宅メーカーが、日頃どういう姿勢で家造りをしているのかが透けて見えてしまう話。

住宅メーカーが不動産業者向けにセミナーを開くのは、住宅メーカーからすれば最終的には「紹介の依頼」が目的だろうけど、それ自体を目的とするのでなく不動産業者の為に本当に役立つセミナーを継続的に開催することで自社のファンを増やして関係を深めていくことを目的とすべきだと思う。そのほうが、直接的な紹介依頼をするより遥かに多くの効果(成果)を生み出すに違いない。

結局、商売に役立つヒントは何も得られなかった。もうこの会社の研修に参加することはないと思う。

posted by poohpapa at 06:03| Comment(4) | 出入りの業者、各種営業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
poohpapaさんおはようございます。

こういうのは多いですね。

年金の活用の講習だとか、新築マンション投資や、株や債権などの購入など、資産活用の無料セミナーがありますね。

こういうので役に立つ情報はありません。結局セミナー終了後に住所氏名など調べあげられます。無料セミナーという餌で釣られるだけでしょうね。
Posted by たか at 2017年05月24日 08:44
たかさん、おはようございます

中には「目から鱗」という話が聴けるセミナーもあるのでしょうが・・・、ここまでテーマと内容が違っているセミナーも珍しいですね。仕方ないのでしょうが、紹介カードが資料の中に同封されていて、親切ではなく、あからさまな要求で・・・。

経費を掛けてセミナーを開くのですから紹介の2件や3件出ないと割に合わないものでしょうけど、直接的に働きかけないほうがいいでしょうね。私なんかもお客さんに「部屋探しする友だちや知り合いを紹介して」とはお願いしていませんが、売り上げの7割は「ご紹介のお客様」によるものです。

たぶん、私の声は反映されないことでしょう。セミナーも、タダより高い物はない、てことですね。

Posted by poohpapa at 2017年05月24日 08:54
空き家の原因は、住宅の需要と供給のバランスが崩れているからという理由に尽きます。
抜本的な対策としては、需要を増やすか、供給を減らすかの二択しかありません。

これらは国策でしかコントロールできない部分ですので、
住宅の需給自体は変えることができない前提で、
空き家の対処方法を記載してみます。
poohpapaには釈迦に説法かとは思いますが、プロの方以外も見ておられるかと思いますので。


まず、住宅がどれくらい過剰なのかという需給比率から見ていくことにします。
現在のところの比率は「需要:供給=1:1.2」となっています。

つまり、どのようなことをしても20%程度が空き家になることは避けられないことであり、限らた居住者を取り合っていることになります。

不幸にも現在空き家になっているのであれば、リフォームで手を加えて類似物件よりも選ばれやすい物件にするか、家賃を下げて競合する類似物件のレベルを下げるかで、「類似物件の中で下位20%に入らないようにする」ことが、有効な対処方法と言えるかと思います。

全ての住宅で需要が均等にあるのであれば、類似物件の中で下位20%に入らないようにすれば良いことになりますが、
実際のところは、駅からの距離等の立地、周辺環境、建物の床面積等で需要がばらけます。

今の時代は、住居選定の際に、立地が重要な要素となりますので、立地が悪いのであれば類似物件で上位50%を目指さなければならくなります。

しかし、立地や周辺環境は変えようがありません。
そうかと言って、リフォームで上位50%を目指すと、そもそも採算自体が成り立たないこともでてきます。

残された方法としては、特殊な需要を取り込んでいくしかありません。
子供可、ペット可、水商売系の人可、外国人可、ヤクザ在日生活保護可、なんでもござれと。

これらは両刃の剣でもあります。
例えば、ペット可の物件であれば、ペットを飼っていない人が「わざわざ」選ぶ理由がなくなります。
ペットの鳴き声や、独特の獣臭さ(ペットを飼っている人は気付きにくい)がありますので、敬遠されてしまいます。
特に獣臭さは、非常にやっかいでして、ハウスクリーニング程度ではまず落ちません。
一度、ペット可にしてしまったら最後、ペット不可に戻すことが非常に困難になります。

特殊な需要を取り込むということは、それを嫌う「普通の人」からの需要を、これから先は諦めるということになります。

立地が悪いところは、この先「普通の人」からの需要が増えることはあり得ませんので、現状から何も変更をしたくないのであれば、後戻りできない覚悟を持って、特殊な需要を受け入れるより方法がありません。


空き家対策で重要なことは、現状のままいくら待ったとしても「普通の人」から選ばれることがないと理解することですね。

理解はできても納得はできないという場合が多くありますが、そこに時間がかかってしまえば対処も後手後手になっていき、特殊な需要すら逃していくことになります。
そういった場合は、性格的に不動産賃貸業に向いていないことになりますので、「売却」が一番良い方法であることは間違いありません。


Posted by AK at 2017年05月24日 08:59
AK さん、こんばんは

いつもながらに実に的確に事実を把握していらっしゃって驚きます。

<<空き家の原因は、住宅の需要と供給のバランスが崩れているからという理由に尽きます。
抜本的な対策としては、需要を増やすか、供給を減らすかの二択しかありません。

それ以外は考えられませんよね。ただし、需要を増やすと言っても必要なだけの住宅が行き渡っているならこれ以上の需要は産み出せませんし、供給を減らすと言っても、それで飯を食っている人がいるのですから売らざるを得ないことでしょう。無理にでも新たな需要を産み出すか、騙してでも建てさせるか・・・。いずれにしろ矛盾してますね。

そんな中で「空き家にしない!させない!空き家こそ不動産提案の宝の山」と住宅メーカーがセミナーを開く・・・、オマエが言うな、という話です。私としては、アパートの空室をどうやって埋めていくかのヒントを期待していて、それは AK さんのコメントの中に全て書かれているので、先に AK さんのコメントを読んでいたならそんなセミナーなど受けなくても良かったほど。

その住宅メーカーは相続問題と絡めて、被相続人に建て替えを勧めることで新たな需要を産み出そうとしているだけ。空家が宝の山、というのは住宅メーカーにとってだけ、です。それでどこが「空家にしない!、空家にさせない!」になるのか、むしろ空家を産み出す結果になるだけ、まやかしです。

で、アパートの空室率は今は20%よりもっと高くなっているかと思いますが、それでも AK さんのコメントにある数字はとても正確なものですね。どうしたら空室を埋められるか、は AK さんのコメントに全て書かれているので、そのまま印刷して当社の家主さんに見て頂こうかと思うほどです。特殊な事情の客を入れるのが嫌なら、そうするしかありません。リノベーションする費用が捻出できなければ値下げするしかありません。そうすると、特殊な事情の客しか借りてくれなくなります。悪循環です。

(相続と関係なく)借り手が付かなくなったら取り壊す、という選択肢しか残らなくなるかも知れませんね。それも、固定資産税が更地の場合は6倍になるので空家のまま残そうとする人が多くなっていて、先ずは税制を改革すること、ゆくゆくは一世帯(1軒)の敷地面積を広くする政策を取ることになったりして・・・。住宅ローンの融資条件の最低敷地面積を広く設定すればウサギ小屋からの脱却が図れるかもです。首都圏と地方の土地価格の格差も影響してくるので難しいですけど。

私は地方公共団体が新たな公営住宅を建てずに、古くなって入居希望者がいないアパートやマンションを一括借り上げして生活困窮者に安く貸すのもアリかな、と思います。などと言うと、人権団体が「差別だ」とうるさいでしょうけど、自力で生活している人のほうが福祉の世話になっている人より劣る部屋で生活しているほうが逆差別だと思えます。

うちの街にも、普通に働いている家族より生活保護家族のほうがいい暮らしをしているケースがまま見られます。自由に部屋を選ばせないで行政が指定した部屋で暮らして頂くのが望ましいと思います。

とにかく、もしAK さんが今回のテーマで講師をなさったなら、参加者はきっと喜んだと思いますね。

Posted by poohpapa at 2017年05月24日 18:29
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