2017年07月13日

更新契約で、ある入居者さんを怒らせた話

と言っても、私も怒っているのだが・・・。

更新契約の期限ギリギリになって来店の日時の打ち合わせで電話してきた若い入居者。忘れられていたりして期限を過ぎていなければとくに問題はないのだが、その電話の最初に、こんな話が出た。

「うちの親父が不動産屋で、『最近は更新料が半分のところもあるから言ってみたら?』と言ってるんだけど、更新料、半分になりませんか?」

それはピンポイントの情報で、「更新料0.5ヶ月分」というのは、むしろ「更新料ゼロ」より少ない。

私が「半分というところもありますが、ほとんどが1ヶ月ですよ」と言うと、「ほとんど、ってことは半分のところもある、ってことですよね」(だったらここも半分でいいじゃないか)と食い下がる・・・。「あなたから言われて『ああ、そうですか、分かりました』と受けたなら他のお客さんも更新料を半分にしなければ不公平になります。そんなことはできません。更新料は契約時にご説明したとおり1ヶ月分です」と答えた。

親が不動産屋であるのなら、むしろ当然に「更新料の意義、それによって護られる入居者の権利」などは解かっていなければならないハズで、そこが私には解せない。

私も、そういう言い方をされると意地でも「家主さんと相談してみましょう」とは言わない。それでも相手は引き下がらず、その話を打ち切ろうとしたら、「黙って聞けよ!」と私に命令する。さらに・・・、

「うちの親父んとこでも保険を扱ってるし、『そこのアパートの保険は高いんじゃないか』と親父が言ってるんで、親父んとこで掛けてもいいですか?」とも言う・・・。その部屋の保険料は2DKなので安いほうから2番目。それも断って、「非常に不愉快です」と叱った。何を訊いてもかまわないが、モノには言い方があるから。

うちの娘も次男もアパートを借りているが、管理会社に対して「私も不動産屋だから保険はこっちで」などとは言わない。それどころか、隣町でもあるので娘の管理会社には(ちょうど機会があって)ご挨拶にも伺って「何かありましたら私が責任を取りますのでご遠慮なく仰ってください」と伝えている。親族が不動産屋の場合、吉と出るか凶と出るか両極端だったりするから安心してくださったと思う。

余談になるが、私が挨拶に伺ったのは「鬼平犯科帳」を読んでいたから、である。ある物語の中で、平蔵の長男の辰蔵が、ある道場の門下生になる時、平蔵が装束を整えて道場主に挨拶に伺った話が出ていて、旗本の当主で火付盗賊改方の長官である長谷川平蔵でさえ遜って挨拶に伺うのに、われわれ庶民なら、しかも同業者であるなら尚更のこと挨拶に伺うべき、と思ったから。ちなみに、次男のアパートの管理会社には挨拶に伺っていない。法人契約で借りているから、である。

長男が当社の管理物件に入居する際にも、「親が不動産屋で管理会社だからといって『得する』などと期待するなよ。敷金は返ってこないし、むしろリフォーム代は全部負担させるからな。でないと『自分の子供だから手心を加えた』と思われてしまうものだから」、と言い聞かせていた。その家主さんを信用していないのでなく「人間なんてそんなもの。それくらいでやっと公平と思ってもらえる」と認識しているから。

それくらいだから、その親父が我が子に「そんなふうに知恵をつける神経」が私には解からない。入居者が悪いのでなく、明らかに「父親の心得違い」から起きたトラブルだと思う。

翌日、奥さんと乳児と3人で更新に来た際、私が飲み物を勧めると、ご主人は辞退。遠慮して、でなく、明らかに前日の電話でのやり取りを怒っている様子。だからほとんど口も利かないし顔も合わせない。奥様は私が「熱中症になるといけないから」と勧めるとお茶を所望してくださったが、帰る際、ご主人に「缶コーヒーでも持っていきませんか?」と再度声を掛けたが、「けっこうです」とのこと。

3人で店に入ってきた時に、私も「おや、最近子供さんが生まれてたんだ・・・」と初めて知ったのだが、ならば「更新料は半額でも・・・」とか「保険料が高い。保険は親父の会社で・・・」などと言わずに、「子供が生まれて生活が厳しくなっています。この部屋は気に入っていて、家主さんも親切にしてくださるので、できれば長くお借りしたいと思っていますが難しいかもしれません。恐縮ですが、いくらかでも家賃を下げて頂くことは可能でしょうか?」と訊いてくれたら良かったのに・・・、と残念に思う。ご主人にカーネギーの「人を動かす」を読むよう勧めたい気持ちをグッと抑えた。

更新料の意義や役割について入居者に説明しようかとも思ったが、相当に怒っているからちゃんと説明しても理解はしないだろうな、と思ってやめた。立場が違えば言い訳にしかならないものだし。

今もけっして相場より高い家賃ではないが、家主さんの人柄も良く、話の出し方によっては値下げの相談にも快く乗って頂けたと思う。だが、向こうから「失礼しました」と言ってきたならともかく、私のほうが気を回すのもおかしな話。更新契約後の今からでも値下げの相談ができなくもないのだが・・・。

もしも、ご主人が「人を動かす」を読んでいたなら、あるいは私の本を読んでいたなら、そしてもう少し苦労人であったなら、更新料半額どころか、次の更新までに確実に12万は得していたと思う。

息子の為を思ってだろうけど、中途半端な知識で安易にアドバイスした父親と、自分に都合よく受け入れて主張した息子の失敗であろう。お見掛けしたところ奥様は普通に常識人であっただけに残念。

まあ、ご主人は「すごく感じが悪い会社」と今後も思い続けることだろうけど、私はそれでかまわない。次の更新までには退去するんじゃなかろうか・・・。家主さんに報告しておくべきかどうか悩むところだ。




posted by poohpapa at 05:30| Comment(4) | お客さん(入居者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。

ちょっと話は違うかもしれませんが、夏になると思い出すことがあります。
私の両親は二人とも教師でした。
土曜日がまだ休みじゃない時代なので夏休みは比較的家に両親がいることが多かったのですが、
プールとか映画に連れて行ってくれるのは、決まって日曜日だけでした。
せっかくの休みなのに混んでいる日曜日しか連れていってくれないのは理解できませんでした。
一度父に何故か聞いてみると、

「学校の先生が平日に遊んでるとみる人がいる。勿論ちゃんとした休みなのだがそういう風に見る人がいる限り、学校の先生としてそういうことはできない。だから平日には出かけない」

今と違いモンスターペアレンツも少なかった時代ですが、こういう父に育ててもらってよかったです。

このお客さんに限らず、自分の背中を子供が見て育つことを考えてほしいですね。
Posted by oft911 at 2017年07月13日 07:07
oft911さん、おはようございます

ご立派なご両親でいらっしゃいますね。読み進んでいっても、お父さんの言葉を読むまでは理由が分かりませんでしたが、それは納得ですし、そこまで周りに気を遣っていらっしゃるのは本当にご立派です。

我々の仕事でも、自分が何か悪いことをしたら同業者全部が「不動産屋はみんなそう」「やっぱり不動産屋は」と思われかねないので、そういう配慮や注意は必要なんだと思います。10日の記事でも書きましたが、「自分だけ儲かれば」というやり方は、やがて業界全体の信用を失墜させます。一時的に利益を上げることができたとしても長くは続けられないものでしょう。だから気付いた人が注意してあげるべきなんですね。

ご両親は、言われてなくても先回りして配慮なさっていたんですね。今はそういう人、少ないですね。

いいお話を聞かせて頂きました、有り難うございました。今、実は・・・、

ウルウルきております (´・ω・`)

Posted by poohpapa at 2017年07月13日 07:58
poohpapaさんおはようございます。

>>うちの親父が不動産屋で
だったら、親父に家を探してもらえよ!って言いたくありますね。

結局、この男、出て行くでしょうね。でも、他に行っても、仲介料0円ですっていうところに行って、反対にぼったくられるのでしょうね。
Posted by たか at 2017年07月13日 08:05
たかさん、おはようございます

父親の会社の管理物件の中には条件に合うものが無かったようで、申し込みはそこから入りました。

本当は、ちゃんと説明して理解や納得をして頂きたかったのですが、何を言っても通じないだろうな、と思ってやめました。私としては、「黙って聞けよ!」と私に言った時点でアウトでした。奥様、電話の傍にいたようで、ヒヤッとしたことでしょう。私も「そんなこと言って大丈夫?」と思いましたもん。

ただ、乳飲み子を抱っこしている奥様の様子を見ていたら、今からでも家主さんに相談して差し上げたほうがいいのか悩むところです。2千円下がっただけでも更新料が半分になるより大きいのです。

不動産屋だけでなく、相手に「この人のお役に立ちたい」「このお客さんに喜んで頂こう」と思わせることができるかどうか、それが作ったものでなく自然にそう思わせられるか、その差は大きいですね。

Posted by poohpapa at 2017年07月13日 08:34
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]