うちの管理物件の家主さんのお宅の前(南側)は永く駐車場になっていて、そのお陰で陽当たりも良く、家主さんご夫妻は快適に暮らしていたのだが・・・、駐車場の地主に相続が発生して開発業者に売られてしまい、2階建てのアパートが建ってしまった。家主さんは地主から(何年も前から)「何かで売却することになったらオタクに真っ先に声を掛けるから、良かったら買ってよ」と言われていたが、声は掛からず、知らない間に開発業者に売られてしまっていたのだ。そのせいで、家主さんのお宅は全く陽が当たらなくなってしまい、1階に家主さんが暮らす賃貸マンションの家賃を全室一律1万値下げしている。
家主さんからは「売る、という話をされたら買おうと思っているんだけど」との相談を受けていて、「目の前にマンションや建売住宅が建ったら今のマンションの資産価値も落ちてしまうので、買っておいたほうがいいでしょうね」と私も勧めていた。もちろん、私が仲介させて頂ける、なんてことは無い。
2階建てのアパート(ワンルームマンション)を建てた建設会社はよく存じ上げていて、完成間近に内覧会を開いていて、顔なじみの営業マンが現地当番をしていて、前を通りかかった時「ぜひ中を見てやってくださいよ」と言うので後学のため見せてもらうことに・・・。
さすがに最近の建物は賃貸向けであっても造りは素晴らしい。設備も内装の仕様も一昔前の建物とは雲泥の差である。営業マンが、「お客さんがいたら是非紹介してくださいよ」と言うので、こう答えた。
「さすがに素晴らしい造りだけど、お客さんがいても私は紹介できないよ。今、うちの家主さん、このアパートが建ったことで陽当たりが悪くなって、入居者の家賃も一律1万も下げていて辛い思いをしていて、それなのに、その原因になっているアパートに客付けして私が手数料を頂いて喜ぶワケにはいかないから」と言うと驚いていた。実は家主さんからは「そんなこと気にせず商売なんだからお客さんを紹介すればいいのに・・・」と仰って頂いているが、不義理はしたくない。黙っていれば分からないとしても。
綺麗事を言うようだけど、私にとっては「幾ら儲かったか」でなく「何で稼いだか」が重要なのだ。「カネに色はついていない」というけれど、寝覚めが悪くなるカネは持ちたくない。
内覧の帰りに営業マンが「これ、持って行って」と言って内覧土産のお菓子を持たせてくれた。「いいよ、お客さんを紹介しない、って言ってるんだし・・・」と辞退したが、「見てもらえるだけで有り難い」と言う。先々「新築する客」の紹介に繋がれば、ということなんだろう。有り難く頂いて帰った (おい)
今、そのアパートは完成して2ヶ月ほど経つが、まだ半分ほどの入居状況のようだ。新築で満室にならないのは辛いことだろう。私も、前を通る度に気にして見ている。
2018年01月16日
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