2018年05月17日

LPガス業者の熾烈な戦い

8年ほど前に、飛び込みでLPガス納入業者のF氏がやって来た。

うちの管理物件でも「ガスがプロパン」という物件はいくつかある。当然に、それらを「当社に替えてもらえませんか」という話である。以前は大手のレ〇ンガスの営業がやって来て「当社に変更してくれたら一部屋ごとに、或いは一物件あたり〇十万の謝礼を差し上げます。その後、入居者の利用額の一割を御社にバックすることもできます」とのこと。実に魅力的な提案だが、管理会社と言えどもガス納入業者を決める権限は無いから断った。

だが、断った本当の理由は「権限の有無」ではない。そんなものを受け取っていたら、何かあって事が明るみに出た際に今まで20年もコツコツ積み上げてきた家主さんとの信頼関係がいっぺんで崩壊するから、である。つまりはリスクのほうが圧倒的に大きいのだ。それに、裏金を貰っていたら言いたいことも言えなくなる。

そのF氏も、「変更してくれたら紹介料を出します」と言っていたが、きっぱり断った。辞退したのでなく断ったのだ。すると、「今まで立川の不動産会社さんはほとんど廻らせてもらいましたが、紹介料をハッキリ断った業者さんは御社を含めて2社しかありませんでした」と言う。もう一社がどこか訊いたら「T不動産さんです」とのこと。露骨にカネを要求する業者もあれば、要求も辞退もしない業者もあるようで、ほとんどが後者。成り行きで、もらえるのならその時に考えよう、ということなんだろう。

うちの入居者からも「LPガス料金が高い」という苦情が何件か届いていたので、「バックは要らないから極限まで下げてもらえないか?」と提案すると、話を持ち帰って数日して回答があった。今の(他社の)料金より4割ほど値下げになる金額である。それで、家主さんに事情を説明して「もしかするとLPガス料金が高いということも理由の一つになって入居者が退去してしまう、ということもあるかも知れません。ガスの納入業者を変更なさっては如何でしょう」と勧めると、多くの家主さんが応じてくださった。

一方で、今の納入業者と裏で「一部屋に付き10年に一度給湯器の交換費用をガス会社が持つ」といった約束が結ばれていて、既に何台か交換してもらっていて、業者を替えたくても替えられない、なんてこともあった。その場合、ガス料金はガス会社の言いなりになる。ガス会社を替えるとなれば当然に「今まで負担していた給湯器の交換費用を支払ってくれ」という話になる。「そういう話になったら私がガス会社と交渉しますから、替えましょう」と伝え、実際、替えた後で3件は既存の業者と揉めた。揉めた、と言うより私が突っ撥ねた。20年も同じ業者を(言い値で)使っていたんだから、元は取っているハズなんだし。

ガス会社を替える際、F氏には、「最低でも3年間は値下げした料金を維持すること。たとえ天然ガスの相場が高騰しても値上げは認めない」という条件を飲んでもらった。そういうのも、うちが紹介料だのバックマージンを受け取っていないから言えること。F氏は約束をしっかり守ってくれたが、その後、ガス業界に再編の嵐が吹き荒れて、今は元の価格に戻っていたようだ。徐々に値上げしていたのと、ガス料金の請求書に基本料金や単価が書かれていないから入居者が気付かなかったみたい。

そこで、久しぶりにF氏がやってきて、ガス料金を値下げ時の水準近くまで戻させる相談をすることになった。バックマージンを貰わない代わりに「まったりキャット」を買いに行かせたりはしているが、まあ、それくらいは許容範囲だろう。ちなみに、私は「どんな場合でもバックマージンは断っているのか」と言えば、そんなことはない。貰っていい、と私が判断したものについてはしっかり頂いているし、時に(実際にはその分を負担している)家主さんにも内容を伝えている。打ち明けられたら気分は良くないだろうけど、それで「嫌だ」と言われたら付き合えない。不動産屋は「タダでさせられている仕事」が多いから、私としては、それで帳尻を合わせているのだ。陰でコソコソやるのは不本意だから、「正当に堂々と仕事の対価をもらいたい」というのが本音。

そういうのも立川支部に「不動産業者が知識と経験を生かしてプロの仕事をしたならちゃんと対価を貰えるようなシステムを構築すべき。そうすることで不明瞭なカネを受け取らないようにすべきでは」と他にも10項目ほど提案したが、「理事の総意で回答いたしません」との返答だった。いくら前支部長が私を嫌っていても、それは無い話。5年間で不動産仲介管理の売り上げが12600円という人物が(対立候補が出られない仕組みの)八百長選挙で支部長をやっていたんだから、まあそうなるもの。30人近く理事がいて、誰も「それはおかしい」と言わないのだから立川支部は腐っている、と私は思っている。当時の理事は今もほとんど残っていて、「理事のなり手がいないから我々は仕方なくボランティアでやっている」と言う役員もいるが、不動産屋が何の見返りもなくボランティアで働くワケがない。何かで旨味があるから続けている。当たり前である。

で、この続きは・・・、もしかすると住宅新報のほうのブログに書かせて頂くかも。





posted by poohpapa at 05:59| Comment(8) | 出入りの業者、各種営業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
坂口有吉不動産にいい条件を飲ませるなら、気の利いた若い美人に営業に行かせればいいだけなのにね。σ(^┰゜)
Posted by ハリケーン at 2018年05月17日 08:31
poohpapaさんおはようございます。

私も在職時によく、仕事の打ち合わせ時に材料納入業者から、自宅の住所を教えてくれ、ということをよく言われた。なんで?か聞いたら、お中元やお歳暮などを送りたいからといわれて、全部断っていたが、どこから聞いたのか、お歳暮などを贈ってきた業者もいた。
やはり、もらっちゃうと、断りにくいし、やっぱり仕事に差し支えるからである。まあ、上司には自分から住所を積極的にいう人もいましたね。
やっぱり、仕事の時、この業者を採用してくれ、なんて圧力がかかったりしたが、相見積もりをとって、拒否したことが何度かあった。まあ、これで出世できなかったのか?でも束縛もなく気楽でしたけどね。
Posted by たか at 2018年05月17日 08:59
私の場合はバックマージンがもらえるからガス屋を変えるのではなく現ガス会社に不満がある時って感じですかね。2月に2ヶ所(ひとつは戸建て、もうひとつは6世帯のアパート)のガス会社を変更しましたが・・・
どちらも同じグループ会社で、6世帯のアパートの方の給湯器修理などの件で素早く対応はしてもらってそれに関しては満足だったんだけど「大家さんとの間で給湯器の契約はどうなってますか?無償で交換する契約なのかどうかそれを聞いていないので」って聞いたのに「調べてみます。とりあえず間に合わせで中古のものですがつけて行きますね」と言って帰ったんですが・・・その後何の返答もなく。今年の冬は寒かったので別の部屋でも給湯器がパンクしてその際にも念を押して「調べてもらうようにお願いしてあるのですが」と言ったのに返答が無かったので・・・こちらからその返事を求めることなく知り合いのガス屋に変えちゃいました。

私は現行のガス屋に不満さえなければ変えないシステムですww
Posted by はなくろ at 2018年05月17日 09:28
ハリケーンさん、こんばんは

そう、気の利いた若い美人に・・・、って、なワケ・・・あるよね(おい)

昔ね、某証券会社の新人営業さんが飛びっきりの美人で、口座も開設したし株も買いました。あんなキレイな女性と仕事ででも付き合えるなら一財産失っても文句は言いません。それくらいの美人さんでしたが、今は退職して結婚しています。携帯の番号も知っていますが私からは掛けません。

もしも、あの営業さんが今はガス会社にいて・・・、というなら何でも要求を聞き入れますね。私が今まで出会った女性の中で一番でした。ハリケーンさんにも紹介したかったなあ・・・、いいカモとして。

Posted by poohpapa at 2018年05月17日 18:42
たかさん、こんばんは

うん、たかさんのお仕事は巨額のカネが動きますから、口利き料も大きいでしょうね。

いえ、たかさんも、そういうカネでは動かない人ですよね。付き合っててよく解かります。ひも付きのカネほど怖いものはありませんから、こっちから要求したら負けですね。最近は向こうも会話を録音してたりするようです。ま、当然でしょう。

しかし、自分から自宅の住所を伝える、なんてのは・・・、アホですね。一度受け取ってしまうと、次からは断れなくなりますよね。相手からは「堕ちた」と言われて蔑まれるんだとか。表向きはヨイショしてきますが、考えたら怖いですね。

私は根が小心者なので、袖の下とか賄賂は遠慮したいです。ハニートラップなら経験したいですが。



Posted by poohpapa at 2018年05月17日 18:54
はなくろさん、こんばんは

そういえば、はなくろさんの会社はバックマージンを受け取らないんですよね。それは凄いですね。

おカネでなく、連絡をくれなかったことへの不信感から切る・・・、立派だと思います。そう言えば・・・、ちょうど1ヶ月ほど前に国交省にある件で問い合わせの電話をしましたが、「担当者に伝えて後ほど電話させます」と言ったきり今も連絡がありません。たぶん連絡してこないだろうな、と思っていたのでかまいませんが、そのことで国交省は後々困ったことになるんですがねえ・・・。

これからLPガス業界、大変なことになりそうです。自分たちのことだけ考えていたツケが回ってきます。不動産業界も他人事ではありません。不謹慎ですが、いろいろ面白くなりますよ、きっと (^◇^)


Posted by poohpapa at 2018年05月17日 19:03
バックマージンを受け取らないわけじゃないです!バックマージンに釣られることはないけどくれるというものは受け取ります!(笑)
今回の変更したガス屋は大家さんが契約したガス屋だったんですが、そのガス屋は悪評高いところでして。契約を取る専門の外注さんを歩かせて「今よりガス代を安くします!」って言って契約を取り次第に値上げしていくっていう・・・。
そんなガス屋に変えると言ったときもそれは大家さんの意思だし大家さんに何らかのメリット(給湯器サービス)とかがあるんだと思って止めはしませんでしたが、今年の給湯器の相次ぐ故障の際の対応でやっぱりちょっとないなーって思った感じの流れです。
Posted by はなくろ at 2018年05月18日 10:14
はなくろさん、こんにちは

いやあ、はなくろさんとこは、お話を伺ってると「凄く良心的」だと思いますよ、本当に。

LPガス業者は、たいていは「契約を取るまで(いい会社)」で、納入業者に選定されれば後は徐々に判らないように値上げしていきますね。今回、うちも別の(元の)業者が来たことで発覚しましたが、お客さんでさえ気付いていませんでした。それくらい巧妙ですね。昨今のLPガス業者はヒドイです。

最終的には家主さんがお決めになることですが、ガス会社の事情で家主さんや不動産会社が振り回されるのはご勘弁頂きたいものですね。

ガス屋さんに限らず、どんな業者でも、契約を取った後に、クレームなどに対してどれだけ誠実に対応するかで「どの程度の会社か」が判りますね。

Posted by poohpapa at 2018年05月18日 14:41
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]