昨日の夕方6時過ぎに、約束していたお客さんが来店し、お勧めの物件を案内することに。
物件は当社から徒歩で10分ほど。お客さんは近所にお住いで、夕方18時から20時に宅急便の配達指定をしていて、届くとスマホに通知が来るので、いつでも戻れるように自転車を引き摺りながら一緒に歩いていた。ちょうど中間地点、裏通りを歩いていたら、お客さんが「あれ、ヒトじゃないですかね」と言う・・・。たしかに、100mくらい先の道の真ん中に誰かがうずくまっているように見える・・・。
近付いていくと、高齢の男性がヘタリこんで座っていた。道の真ん中だし、危ない。私が「どうしました?、大丈夫ですか?」と声を掛けると、「大丈夫・・・、家はそこだから・・・」と言う。どうやら目の前のアパートに住んでいるようだった。私が「手をお貸ししましょう」と言うと、「大丈夫、大丈夫」とは言うが、動かない。具合が悪いのでなく、疲れ切っているふう。
実は2時間ほど前、私はこの老人を店の前の通りを駅方向に200mほど行った所で見掛けている。私は通りの反対側を駅に向かって歩いていたが、老人は自宅方向に歩いていた。ただ、その歩き方が、歩幅5cmくらいに小刻みで、ほとんど足踏み状態であって前に進んでいかない。たいていはそういう高齢者は歩行補助器を使っているものだが、杖もついていないし、「うわあ、たいへんだなあ・・・」と思って見ていた。だから覚えていた。その歩き方だと、私が見掛けた場所からアパートまで2時間掛かっていても不思議ではない。とにかくそのままにしておくのは危険なので、本人の意向に逆らって手を貸すことにした。
お客さんも「後ろから車が来たらクラクションを鳴らされたりしますよね、早く移動してもらわないと・・・」と言っていて私も同感。私が老人の脇の下に腕を入れて体を持ち上げるようにしても、なんせ歩幅5cmである。遅々として進まない。すると、そこにワゴン車が来た。運転者も異常を察して降りてきて、「大丈夫ですか?」と声を掛けてくれたので、私が事情を説明したら反対側の脇の下を支えてくれた。優しい男性で良かった。車は同乗者がいないのでお客さんに見ていてもらうことにした。
私が「アパートのどの部屋?」と訊くと、老人は「2階の奥」と言う。え?、この老人が2階に入居??。毎日一度だけ階段を上り下りするとしてもたいへんだろう。不動産会社や市役所は何も言わないんだろうか・・・、と思って、歩きながら「失礼ですが、生活保護は受けていらっしゃいますか?」と訊くと、「受けてない」とのこと。それじゃ市役所は気付かないか・・・。だが「ヘルパーは来て世話してくれてるよ」と言う。だったらヘルパーから市の福祉保健部に相談が上がらないのがおかしい。
「このアパートの管理会社はどちらですか?」と訊くと、「通りにあったけど今は別のところに引っ越しちゃった」と言う。「ああ、それじゃSハウジングですね」と訊くと、「そう」と言う。今日にでも管理会社に連絡して、この老人を2階に住ませておくのは無理では、と伝えよう。
そのアパートは老朽化していて風呂も無いが、老人は小ザッパリしていて臭くない。着ている物も清潔感がある。だが、銭湯までは遠いから、どうやって通っていることやら・・・。
老人に「市会議員に相談に乗ってもらうといいですよ。どなたか知り合いの議員さんはいますか?」と訊くと「いない」と言うので、「でしたら表通りにO議員の事務所があって、もう引退してしまいますが親身になって相談に乗ってくれますから行かれては如何ですか?」と勧めた。
私も車が気になっているので、手伝ってくれている運転者にお礼と共に「後は私がやりますのでどうぞ車にお戻りください」と伝えて二人で階段を上り始めたが、途中で何度も手摺にしがみ付いて動けないでいた。ようやく部屋の前に着くと、郵便受をゴソゴソ・・・。鍵を入れていたのだ。鍵を開けると、また郵便受けに鍵を隠す・・・。「それじゃ危ないですよ」と注意したが、「いいや、大丈夫だから」と、聞かない。
室内の様子を見ると散らかってはいないから生活はしっかりしているみたい。だが、このままでは病気で倒れたりしたら誰も気付かなくて処置が遅れる、なんてこともあるかも知れない。そういうのを気遣うのも、我々不動産会社(管理会社)の務めであろう。公益法人でもあるのだし。
で、アパートの目の前にうずくまっていたところから室内に入るまで、距離にすればたかだか10mくらいだが、所要時間は15分・・・。その10mの間にも辛そうな老人に何度か「少し休みますか?」と声を掛けたほど。もしかすると、アパートの前まで辿り着いた安心感からヘタリこんで座ってしまっていたものか・・・。この老人の行き着く先・・・、孤独死しかないように思う。
老人を部屋の中に入れ、私の仕事、「案内」に戻った。幸い、後続車も来なかったし、宅急便到着の呼び出し音も鳴らなかった。部屋も気に入ってもらえて申し込みを頂いた。
いろんな意味で、いい仕事をしたかな・・・、との満足感に浸ることが出来た。
>>市役所は気付かないか
あの立川市の生活福祉課? のこと?
いえね、生活保護受給者でないとしたら、直接は生活福祉課は知らなくても仕方ないでしょうけど、ヘルパーさんが付いているとしたら当然に「耳には入る」と思うのですよ。ほとんど歩けない、歩いても前になかなか進めない人が、風呂無しのアパートの2階の部屋に住んでいる・・・、おかしいですよね。
ヘルパーさんも毎日来ているワケではないでしょうし、誰かが気付いて動いてあげないと、救急車も呼べずに孤独死、ということも有り得ます。部屋の中には緊急時に役所に通報するボタンがあるようですが、本当に急に症状が出たら、そのボタンのことなんか吹っ飛ぶものでしょう。
何らかの資産があって生活保護が受けられないとしたら、その資産を市に提供することで生活保護が受けられて様々な形で保護されるようにするのもアリだと思うのです。
ま、立川市の生活福祉課は、そんな知恵も浮かばないでしょうね。自分のことで精一杯で、何か言われれば「それは私たちの仕事ではありません。私たちの仕事は生活保護費を生活保護受給者に支給するところまでです」などと言い切るくらいですから。
長年住んでいる高齢のお客様はそれなりの年齢になると「1階が空いたようだから1階に移らせてほしい」という申し出が出るのは当然のことかと思っていたけどそのまま住んでいる人もいるんですねぇ(−−;
自力歩行がままならない高齢者は主に老人車(手押し車みたいなやつ)を使用することが多くなりますが、それを使用し始めたお年寄りって長生きする気がするのは私だけ?
支えがありながらでも歩くことってやっぱり健康につながるんだなーって勝手に思ってました。
この間来店されたおばあさんは老人車押して毎日市営のお風呂に入りに来るそうで(2kmくらい離れてる)足が悪いって言う割に毎日通ってるってパワーに圧倒されたものです
今、昨日案内した分の申込書を管理会社に届けに行ってきました。いろいろ補足説明や交渉事が入るもので、直接お会いしてのほうが良いかと思って・・・。それで、昨日の出来事を話したら・・・、
「たぶん、それだと管理会社に言わないほうがいいと思いますよ。きっと判ってるでしょうから。だいいち、その業者、怖いですよ」とのこと。そうなんだ・・・。
でも、そういう場合、たいていは本人から「1階の部屋が空いたら教えてください。1階に移りたいので」とか話があるものですが、そういう雰囲気は無かったんです。そこが不思議です。階段を上るのにあんなに難儀しているのですから本人も辛いでしょうに・・・。
生活保護を受けさせることで市の生活福祉課の管理下に置くのがベスト、だと普通なら思いますが、立川市じゃねえ・・・。保護申請を却下された母子が病気で亡くなって、残された幼い子供が(食べるものが何も無くなって)トイレットペーパーを食べていて餓死して、胃の内容物からそのことが発覚するような市ですから、何も期待できませんね。歳を取ったら「立川から出て府中」です。
あ・・・、立川市はそれが狙いだったりして・・・。