2018年07月21日

アパートの火事

昨日、うちのと Jonathan's で遅めのランチをとっていると、携帯に電話が・・・、

見知らぬ PHS の番号である。出ると、「〇〇さんですか?」と訊かれたので、「違いますよ」と答えたのだが、「この電話は〇〇さんのお電話ではありませんか?」と重ねて訊く。〇〇、というのは私の独立前の元社長の名前。よく、古い名簿で営業電話が掛かってくるから「どうせ営業だろう、そんな古い名簿を使ってんじゃねえよ」と思ったのだが・・・、様子が変・・・。それで用件を訊いてみた。すると・・・、

「実は私、立川消防署のものですが・・・、そちらで管理している○○アパートで火災が発生しまして・・・」と言う。「それを先に言ってくれよ」くらいの話である。たぶん、古くから入っている入居者から連絡先を訊いたんだろう。ご高齢の方だと、私の名前でなく前の社長の名前で憶えていたりするもの。

「直ぐにこちらに来られますか?、間取り図なんかもあると助かるのですが・・・」と言われたので、「それだと一度店に戻ってからになりますので1時間くらいは掛かってしまいますが・・・」と答えると、「では近所に立川消防署の支署がありますので、そちらに先に来てください」とのこと。「火元はどの部屋ですか?、怪我人はいますか?」と訊くと、「火元は102号室で、本人が少し怪我をした程度です」と言う。

安堵した。直ぐに家主さんと保険会社に連絡して、アパートに向かった。先ず消防署の支署に寄り、アパートに行くと、本人は救急搬送された、と聞いていたが既に戻っていた。「火元は102号室」と聞いて、私は「まあそうだろうな・・・」と妙に納得していた。102号室、ゴミ屋敷状態である。40歳前後の独身男性の一人暮らしで、6部屋ある貸室は全て1Kなのだが、「モノが捨てられない」性分で部屋の中は段ボールの山・・・。ん?、何処かで見た光景・・・、と思っていたら、私の長男の部屋だった (おい)

「どうして火事になっちゃったの?」と訊くと、「コンロの火をつけようとしたらボーッと燃え上がっちゃって・・・」と言う。台所もユニットバスの前にもゴミや段ボールが山積みで、煙突効果で炎が一気に上がったんだろう。それより、これでどうやってトイレに入っているのかが不思議なほど。以前から玄関前のビニール傘が徐々に増えているので、「部屋の中もたいへんなことになっているだろうな・・・」と思っていたのだが、想像以上で、リアル「ゴミ屋敷」だった。しかも、他にも大問題があった。

猫を飼っているのである。そうでなくても狭い部屋にこの荷物とゴミ・・・、そして衛生状態・・・。猫にとって「良い環境」であるハズがない。ヘタしたら猫も巻き込んで焼死である。

私が、「今晩、飯、食べられる?、カネあるの?」と訊くと、しばしの沈黙の後、「1万5千円あります」と言う。「そのおカネ、今、あなたのポケットに入っているの?」と訊くと、再び沈黙した後で、「あの箱のどこかに・・・」と言う。それで「おカネは無いな」と確信した。「私はいつもカードケースに2千円だけ現金を入れていて、これを置いていくから、ちゃんと晩ご飯を食べて、水分もしっかりとりなさいよ」と言って渡すと、「後で返します」と言う・・・。「返さなくていいよ、お見舞い代わりということで」と言うと、泣きだした・・・。ま、「返さなくていい」と言って渡すのにはちょうどいい金額だと思う。

この男性は、生活苦ではあるけど家賃は常にキッチリ遅れずに振り込んでくる人である。家主さんも「このままずっといてくれるかなあ・・・」と心配していた。出ていったら次が入らないから、という計算ずくの話ではなく、「追い出されたら行く所が無い」と知っているから、である。実は、隣の101号室は家主さんが事務所として使っているから、102号室の室内がどんな状態、つまり、ゴミ屋敷になっている、とご存知である。普通なら、ボヤ騒ぎを起こしているのだから「出ていってもらってくれ」になるもの。私も、家主さんの言葉に驚いたし、話していて声が詰まってしまった。本人に家主さんの言葉を伝えると、やはり泣いていた。追い出される、と覚悟していたようで・・・。そりゃあそうだろう。

もちろん他の住人の皆さんは不安になっているだろうから、夜になって電話して、「片付けが一段落したら挨拶だけはしておいてね。それと、猫のことを一番に考えてやってください。今のままで猫が幸せだとは私には思えませんから」と伝えて、業者に依頼してゴミの片付けをすることで話が纏まった。ただし、次におカネが入るのは8月6日とのことで、「それまで待ってもらえますか?」と言うので、「それはダメ。支払いを待ってくれる業者を探すから、片付けるのは先行してやりましょう。火種が無くても自然発火することもありますから怖いんで」と言うと納得してくれた。

有り難いことに、消防署でも「今晩は1時間おきにアパートを見回ります」とのことで、なかなか行き届いている。みんな、自分の知らないところで、いろんな人の仕事や善意で「生かされている」と判る。

「生きているといろいろ嫌なことが起きるけど、負けないで頑張ろうな」と伝えた。嫌なことが起きた時に「だから人生って面白い」と考えられる人は幸せだし、「どうして私ばかりこんな目に・・・」と悲観する人は鬱になる。私は前者だが、それは、私の愚痴に辛抱強く付き合ってくださる人が周りにいっぱいいるからに他ならない。

家主さんにご報告して、昨日の仕事はそれでお仕舞い。今日は保険会社に問い合わせたり、その後の様子を見なければならない。それにしても、頭がフラフラする・・・。


別のアパートで、部屋をキレイに使ってくれてはいるがいつも家賃が数ヶ月遅れていて、その都度の連絡もなく、こちらから電話すると、悪びれることも無く「ああ来月の末には必ず」と、まるで「待ってくれるのが当たり前」のように言う男がいる。それでいて約束どおり入らないから「どうなっているんだ!?」と訊くと、「予定が狂って、入金が来月になっちゃったんで、来月末には必ず」と言う。「申し訳ない」とは言うが心が籠っていない。私もつい言葉を荒げて「アンタの『絶対間違いない』は常に信用できないんだよ」と言うのだが、笑って「いやあ、今度は間違いなく」と返す堂々巡り。家主さんと相談して事前に「最初の約束どおり振り込まれなければ退去してもらう」と決めて通告もしてあったので、入居者の要望は蹴って「出ていってくれ」と伝えた。夫婦ともに高齢で、奥さんは病弱だし、猫も飼っているから気の毒には思うが、我慢には限度がある。

支払いを(今回も)猶予したら舐められるだけ。いや、もう十分に舐められているか。

「8月中にはカネが入る」と言っていたんだから、それなら滞納家賃の清算も出来るだろう。それが出来ないなら支払期限を猶予したとしても、また約束を反故にされることになる、と後になれば判る話。

火災の男性とは全てに対照的な話であって、こういうのは「最後は人柄がモノをいう」と思う。

posted by poohpapa at 04:22| Comment(4) | お客さん(入居者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
poohpapaさんおはようございます。

あらあぁ、アパートが全焼したのかと思いました。
小火程度でよかったようです。

>>ゴミ屋敷状態である
まあ、40歳前後の独身男性の一人暮らし、ってそんなもんかもしれませんね。
後片付けが大変かもしれませんね。
他人ごとと思わず、この際、断捨離も実行しましょう。。。
Posted by たか at 2018年07月21日 07:51
たかさん、おはようございます

まあ、小火で良かったです。良かったのですが・・・、実は夕方、わざわざ休暇を取って更新契約に来てくださる予定のお客様がいて、急遽、別の日にしてもらいました。それは申し訳なかったです。

(もちろん、仕方ないことですが)消防隊員によって外に放り出された家財とかゴミを黙々と片付けている様を見ていたら、なんか気の毒になってきて・・・。でも、お手伝いはしませんでしたけど。

以前は、他のアパートで、自分の住んでいるアパートに放火しようとした青年がいましたし、この商売をしていると、孤独死とかゴミ屋敷とか、精神異常者の入居とか、避けて通れないものですね。

断捨離は・・・、近々、記事にします (^^;

イタリア旅行まであと半月ほど・・・、早いですね・・・。体調維持にお気を付けくださいね。


Posted by poohpapa at 2018年07月21日 08:29
私でしたら、滞納よりもこの失火のほうが許せないですねえ。
失火は、被害額はもとより他の入居者さんの生命・財産・生活を脅かすようなことですから、迷惑の次元が異なります。
その原因が入居者さん本人にあるとすればなおさらです。


ゴミ屋敷は放火魔の欲情を刺激するようでして、頻繁に狙われますのからどうぞお気をつけ下さい。
私の近所でも、ゴミ屋敷が放火で全焼してしまいました。
Posted by AK at 2018年07月22日 00:38
AK さん、おはようございます

至極真っ当なご意見で・・・、私は思い違いをしていました。不注意だった、ではすみませんもんね。

もちろん、これから同様の小火が起きないよう、室内の片付けは早くさせるべく動いています。ですが・・・、こういうのは一旦はキレイに片付けても、また直ぐにゴミ屋敷に戻るんでしょうね。先に性分を治させなければなりませんが、そういうのは極めて困難ですもんね。強く言って聞かせても、今回の件で多少懲りたとしても、難しいかな、と思います。そういうのは心の病気ですから・・・。

退去してもらって、別のアパートに移ったとしても、今度はそこが危険に晒されるだけ、とも言えます。根本的な解決は、そういう病気を治してもらうしかないんでしょうか・・・。

昨日、記事の後半の滞納者から電話があって、以前は「この約束を守れなかったら出て行きますから」と言っていたのに、「8月の15日には必ず入金するからと先方が約束したので、8月には支払いますから」と、いつもの言い訳が始まりまして、「いいえ、8月末までに出ていってください。家主さんの意向でもあります」と言って拒否しました。私も家主さんも、振り回されるのが嫌なんです。

たしかに、火災は他の住人やご近所に取り返しのつかない被害を与える可能性が大で、そういう危険要素のある人が入居しているのは困りますが、私なんかは、約束を反故にして、向こうからは連絡なく、私から電話して、それで勝手に約束を変更して「私が必ず守ると言っているんだから」と、約束の変更を受け入れて当然、という態度でいる入居者のほうが嫌で・・・。ま、どっちも困ったものですが。

ゴミ屋敷・・・、持ち家だったりすると「出て行け」とは言えないし、法律を整備してほしいですね。



Posted by poohpapa at 2018年07月22日 07:08
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]