昨日のお昼、うちのと買い物に行っていたら携帯が鳴った。登録していない番号である。
出ると高齢のご婦人の声で「今、店の前に来ているのですが、お留守で・・・、何時頃戻られますか?」とのこと。「30分ほどで戻りますが・・・」と言うと、「難しいかと思いますが・・・、相談に乗って頂けますでしょうか?」と続ける。実に謙虚でいらっしゃって、それだけのやり取りでだいたい相談の内容を察したので、「ご心配には及びませんよ。何でもご遠慮なく仰ってください」と言ったら、もう涙声になっていた。
用事を済ませて急いで店に帰ったら、私が店に戻るまで床屋さんで時間をつぶしている、との話だったが、店の前でお待ちになっていた。中に入ってもらい、用件を伺うと、想像したとおりの内容。「高齢者だし、どこも貸してもらえないんじゃないかと思って・・・」と言うので、「そんなことはありません。必ず見つけますから安心してください」と言うと、涙を拭き始めた。涙もろいご婦人である。
「どこに行っても『うちじゃ貸せる部屋は有りませんね』と言われるものとばかり思っていました」と言う・・・。それで「うちは何軒目の不動産屋ですか?」と訊くと、「実は、ここ数日、この前の通りを何度も歩いていて、何となく、こちらに入ってみようと思ったので、こちらが初めてです」とのこと。数年に一人くらい、そういうお客さんがいる。過去には「吸い寄せられるように入りました」なんてお客さんもいた。
先日も、生活保護のお客さんで、やはり店の前から電話してきて、私がすぐには戻れなかったのに他の店には行かずに待っていてくれたお客さんがいて、「電話で話して、ここで決める、と思ってたから」とのこと。ご縁なんだろうけど、ここんとこ新規のお客さんは生活保護の人ばかり・・・。
で、状況を伺うと、いろいろ苦労なさっていた。ご主人を15年ほど前に亡くし、一人息子も後を追うようにくも膜下出血で失っている。今は天涯孤独の79歳で、驚いたことに、ちょうど一回り違いの兎年で誕生日は私と同じ。長くこの商売をしているが、私と同じ誕生日のお客様は初めて。
生活保護なのだが、引っ越し費用は役所からは出ないらしい。今のアパートは7年も入っているし、同じフロアの住人から嫌がらせを受けているので、交渉次第では契約金も引っ越し代も出るのでは、と思えた。「再度役所の担当者に交渉して、ダメならもう一度来てください。別の方法を考えましょうね」と言うと、また涙。
「ずっと悩んでいました。こんなことなら、もっと早くこちらに伺えば良かった・・・。不動産屋さんにこんなに優しくしてもらえるとは思わなかった」と泣いている・・・。不動産屋冥利に尽きるお言葉であるが・・・、私は現在「自己嫌悪」の真っ最中。そんなふうに褒めて頂けるような人間ではない。
「いえいえ、実は2面性も3面性も持っていて、相手によりけりなんですよ。家賃を滞納して不誠実に逃げ回ってる相手には、『テメエ、ふざけるな!』と怒鳴りつけることもありますから」と、言わなくてもいいことを言ったりして・・・。感激してもらって、泣きたいのは私のほうだった。
それにしても、店のウィンドーに(理由を添えて)「当店は武蔵村山市と立川市の生活保護受給者の方の部屋探しはいたしません」と貼り出しているのに、誰も見てくれていないみたい。ま、ご紹介とか来店されたなら門前払いはしないけど・・・。心中複雑ではあるが、必ず、良い部屋を見つけてあげよう。
>>吸い寄せられるように入りました
ボロで傾いているから入り易いのでしょうかね。
>>涙を拭き始めた。涙もろいご婦人
これは最大の武器ですね。
>>同じフロアの住人から嫌がらせを受けている
これは、理由を確認した方がいいのでは、なんで?どういう理由で?その原因は他の住人なの?もし、その原因(ゴミ屋敷とか)が高齢のご婦人なら考えるべきでしょうね。
そう、高級店は敷居が高くて入りにくくても、うちはボロで傾いてますもんね(いつか殺してやる)
女性の涙は武器ではありますが、それは若い娘さんの話で、いかな私も老女の涙には騙されませんよ。
で、私も、この老婦人が嘘をついているとは思えませんが、念のため、調べてみようと思っています。片方の言い分だけ聞いて決めつけると、取り返しのつかない失敗に繋がりますから。
そういうことって、よくありますもんね。私も、何度も失敗しています。後で「あれが嘘だったなんて・・・」と驚いたり後悔したり・・・。近所なんで今日あたり訪ねてみます。当事者には話を聞けませんけど。
この御婦人も他の生活保護者も、張り紙に気づいていないのではなく、それを見た上であえて入ってきているのですよ。
「当店は武蔵村山市と立川市の生活保護受給者の方の部屋探しはいたしません」
これだけで必要な情報は足りています。
ところがご丁寧にも理由(言い訳)を添えている。
生活保護者の部屋探しを断ることに後ろめたさを感じていると白状しているようなものなのです。
悪意を持った生活保護者からすれば、つけ込みやすい騙しやすいと小躍りするような情報がそこにあるのです。
性分は変えようがありませんが、張り紙は変えられますよ 笑
貼紙・・・、生活保護者の部屋探しを断ることに後ろめたさを感じている、のでなく、ただ単に「当店は武蔵村山市と立川市の生活保護受給者の方の部屋探しはいたしません」だけだと、武蔵村山市と立川市に限定していても、上っ面を捉えて「この店は生活保護受給者を差別している」と言われかねませんので、その予防線として理由を添えています。読解力のある人ばかりじゃありませんもんね。
それと、「店の前に、『当店は武蔵村山市と立川市の生活保護受給者の方の部屋探しはいたしません』と貼り出していますが、ご覧になっていませんでしたか?」と訊くと、今まで全員が、「そうなんですか?、見ていませんでした」と言ってまして・・・、私が甘いのかなあ・・・。
貼紙は、実は生活保護受給者に店に入ってこられないようにするのが目的でなく、武蔵村山市と立川市の生活福祉課に対する嫌がらせなんですよ。お客さんから「どうしてですか?」と訊かれたら、その都度、詳しく説明しています。皆さん納得してくださいます。表向きかも知れませんが。
テレビドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」に出てくるような市職員(ケースワーカー)みたいな人ばかりだったら嬉しいんですけど、立川市なんか上から下までクズばかり。もちろん、向こうも私のことをそう思っていることでしょうけど。
なので、貼紙は替えません (^◇^)