この件は、「それは間違っている」と言ってしまっていいか、もしかすると私のほうが間違っているのか、正直、完全な自信が無いので、読み手さんのご意見を伺えたらと思う。
数ヶ月前に、立川支部に新しい業者が加入したのだが、その会社名が、
仲介手数料40パーセント株式会社
そのものズバリの会社名。私が疑問に思っているのは、その会社の加入を認めたことの是非である。
通常、不動産業を開くには、1000万円を(供託を扱っている)法務局に供託するか、全宅、全日、いずれかの業協会に加入して(皆で支え合う形で)60万円を供託する必要がある。高額の商品を取り扱うワケだから顧客に不測の損害を与えることが無いよう、何かの際に補填できるようにしている。業協会に加入すれば1000万円を供託したのと同じことになる。もちろん、1000万で足りないこともあるが。
大手業者はともかく、ほとんどの業者は業協会に加盟している。ちなみに、私が開業した当時は、協会に加入している全国の不動産屋の85%が全宅、残りの15パーセントが全日に加入していたが、今はその差が縮まってきている。理由は、全日のほうが協会に加入するための諸費用が安くて審査が早いから。言い換えれば、それだけ全宅のほうが堅実に運営されていたということ。今思えるのは、正直、どっちもどっち。立川支部の実情だけ見ていると、全日のほうがマシだったかな、と思える。
で、協会に加入するためには、どちらも審査がある。アパートの入居審査と同じようなもので、担当者の面接も受ける。そこで書類に記載された内容だけでなく、人柄も見られることになる。
前述の、「仲介手数料40%株式会社」という社名の会社が加入の申請をしたワケだが、審査を通している。私には、そこが解からない。そもそもが、ADが入るのを前提にしている経営方針なんだし。
社名がそうなっている、ということは、そういう経営方針の会社だと解かるワケで、「お客さんや取引内容に応じて手数料を減額しますよ」という話でなく、全て頭から一律で、ということ。ホームズの紹介文によれば、「当社の仲介手数料は、条件・例外など一切なく賃料の40%(別途、消費税)となります。他社様、他サイトに掲載されている物件でもご相談ください。」とある。
うちも、手数料を貰わなかったり、減額することはある。だが、それは、交渉事が上手く進まずお客さんに迷惑が掛かってしまったとか、(私のポリシーに反して)納得いく結果にならなかったとか、そういう場合であって、他社の顧客を横取りするために「会社の方針として最初から謳っている」ものではない。
私が以前に記事にした「ウチミル」の経営方針よりはマシと思えるが、そういう会社名の会社の加入を認めるのはどうかと思う。
たしかに、不動産屋の仲介料は「上限が決まっている」だけで、それ以下なら法律に違反しているワケではない。タダでも問題はないことになる。「ウチミル」も、法律には違反していないことになるが道徳的には問題である。「当社は仲介手数料は頂きません。仲介手数料がゼロにできない物件は60%引きにします」と謳っていて、他社の顧客をも横取りしそうな方針。私が「そんな業者が立川支部の役員をやっているのはおかしいだろ」と支部に抗議したら、ウチミルのT社長を可愛がっていて今も副支部長をしているKが猛烈に私に噛みついた。その時に、「坂口社長、嫌われていますねえ・・・云々」という発言が飛び出した。以来、Kとは付き合っていない。互いに嫌っているし軽蔑しているから。
元々そのつもりで、というのでなく、協会に加入した後で途中から、食べていくためにそういう経営方針に転換した、というならまだしも、最初から仲介料を値引きすることを謳っている、しかも社名にまでして、ということになると、プロとしての知識と経験を生かして真面目に仕事に取り組んでいる同業者(仲間)に迷惑を掛けることになるのだから、いくら全日に新規加入者を奪われている現状があったとしても、加入を認めてしまうのはどうかと思う。最終的には支部長が判断したんだろうけど。
まあ、立川支部、自分たちも当たり前のようにADを貰っていて、私の改善提案を無視する役員ばかりだから、「ADを当てにして仲介料をタダにしたり割引する業者」のことを排除しにくい、ということもあるんだろうな。断る理由が無かった、とは私は思わない。「そういう経営方針であるのなら、立川支部への加入は承認できません」(実際には理由は非公開)にすべきだったのではなかろうか。この件は、役員による「末端の仲間に対する裏切り行為」だと私は考えている。
仲介手数料に関しては個々の業者の裁量に任せるのでなく、ADなどの(ほぼ不法な)金銭を貰わずに健全に経営できるよう協会が指導をして、受け取るべきものに関しては堂々と貰えるような環境を作っていかなければならない、と私は思うのだが、役員たちは目の前の利益しか見ていない。
新しく1万円札の肖像画になる「日本資本主義の父」渋沢栄一氏の、「商売をする上で重要なのは、競争しながらでも道徳を守るということだ」という言葉はとても深い真理だと思う。立川支部の役員たちで、この言葉の意味を理解できる人間は皆無じゃないかな。いちおう、某役員には私の意見を伝えたが、明確な回答は得られなかった。それは立場上致し方ないと思う。
というのは私の考え。皆さんは、この業者の立川支部への加入、および、それを認めた支部の判断を「当然」「問題ない」と思うか、「おかしい」と思うか、忌憚のないご意見をお聞かせ頂けたらと思う。
>>それを認めた支部の判断を「当然」「問題ない」
認めない明確な根拠がなかった。よって認めた。つまり法律違反をしているか、または業界に多大な迷惑をかけるかかの判断。
>>不動産屋の仲介料は「上限が決まっている」だけ
昔、安売りスーパーのダイエーが電気製品の値引きで安く販売した。これを松下幸之助が、適正な原価と販売費を決めて定価を定めているのに、安売りするとは業界をつぶす気かと怒って松下製品をダイエーに卸させなかった。
今では定価で買う場合は特殊な製品か超人気で品薄の場合で、定価では買わない。ヨドバシが4割引きで売ってもビッグカメラが安すぎるとは言わない。
薄利多売で経営が成り立っているといえる。
今回の「仲介手数料40パーセント株式会社」も表向きは、その方針なんだろうが、ADが入るのを前提にしている経営方針なら問題となってくる。そして結局、借り主、大家がそれを負担することになる。
早速に有り難うございます。
認めない明確な根拠がなかった。まさにそこ、なんですね。まあ、協会(支部)としては、法律違反ではない、と思いたいんでしょう。この会社の加入を認めなければ、「じゃあ、アンタらはどうなの!?」ということになりますから。
この会社は、まだ可愛いほうで、以前記事にした(80歳で宅建に合格した)和田京子不動産なんか、ADが入る前提で「他社で紹介された物件も当社で扱えます」(当社は仲介料が掛かりません)とHPで謳っていたくらいで、それに比べたら、まあね。ま、私は、そんなに大きな影響は出ないでしょうけど、たまには他社の客を横取りすることはあるかな、とは思います。商売は正々堂々としたいものです。
ダイエーと松下電器の話は聞いたことがあります。もっとも、今は家電品を定価で買う人なんかいませんし、どれもオープン価格になっていて、ネットで最安値を探して買っていますもんね。
ただ、不動産業は売買の取引であっても「物を売る」のでなく実質的にはサービス業なので、だからこそ、値段で競争する、値引きで客を勧誘するのはどうかな、と思います。最終的に、どこに頼むか決めるのは客ではありますが。法律に違反してなくても道徳的にどうよ、と私は考えてしまいます。
<<結局、借り主、大家がそれを負担することになる。
その通りなんです。貸主、借主、仲介業者、の3者のうちで、ADで得をするのは仲介業者だけなんです。たとえ、そのことで仲介料がゼロになって借主の負担が軽くなったとしても、ですね。
あまりに「そのものズバリ」の社名で、近所の業者さんはどうお考えなのかも気になっています。
ともすれば他社からお客さんを奪い取って契約するような、他社にケンカを売っているような名前の不動産会社ですねぇ。少しも絡みたいと思わないそんなとこ!
うちもたまに友達がアパート探してるときなんかに「他社の物件でも気になるところあったら言ってー。こっちから申し込みして仲介料をこっちに貰えるなら半分にするから」とは言ったりするけど←
この記事へのはなくろさんのご意見、首を長くしてお待ちしてました、「早く夏休み終わってくれ」と。
<<仲介手数料を家主からもらう前提で借主からの徴収を少なくするならありだと思いますけどADありきの方法は無しだと思います。
今、「当社は仲介手数料は頂きません」と謳っている業者は全て「ADありき」ですね。経費削減などで工夫して仲介料を安くしよう、というのでなく、ハナからADを当てにしているのですから。
もう「どんな方針で営業するか」が社名から判る、ほんと、喧嘩を売ってるような業者の加入を認める支部の決定は、私はおかしいと思うのですが。経営方針はそれぞれの自由だとしても、ですね。
ある役員さんの話では、「断る決定的な理由が無かったからでは・・・」とのことですが、私からすると、その会社名だけで「十分に断る理由になっている」と思うのです。
ただ、私がそう思いこんでいるだけで、もしかするとほとんどの同業者さんからすれば「かまわないんじゃないの?」ということかも知れませんので、同業者さんのご意見が伺いたかった次第です。
まあ、審査を通さなければ「じゃあ、アンタらはどうなのよ!?」と言われるでしょうね。だからと言って「まあ、しょうがねえか」は無いもの、と思ってしまいます。
あ、友だちの部屋探し、うちも同じです。丸々は頂けませんし、タダってワケにもいきませんもんね。
ADそのもののお話ではなくなりますが・・・。(門外漢ですし)
高度成長を経て、1980年代から「物の価値」が変わってしまいましたからねぇ。
僕が子供の頃は、「希少である」、「丈夫である」とか本来の性能や価値に対して価格が存在したと思います。ところが高度成長を過ぎてしまっても経済の成長率を維持するために「虚構の価格」がでてきたわけです。本来の価値ではない部分に「価格」をつけてるんですね。古くはバブル時のゴルフ会員権とか、ファッションブランドも大半はそうではないでしょうかね?最近では「アイドリングストップ機能」とか。あれ本当にエコではないでしょう。ほんの僅かなガソリンを節約するために、膨大な製造エネルギーと廃棄(再利用)のエネルギーを費やすシステムと思っています。
ところが、「消費者側がそれを求めるからメーカーは作る」という悪循環が出来上がっています、その原因の大半はマスゴミですが。
ADのシステムも同様に、消費者側から見て、「見かけ上お得」が重要なのです。
リボルビング払いと同じですね、支払い総額はとんでもないことになる(と私は思いますが)にもかかわらず利用する人は大勢います。
名目を付け替えてるだけなのに、(大げさに言えば)騙されるんですね。
僕個人としてはpoohpapaさんの考えに100%同意ですが、「世の中の流れ(たいていはダメなほうへ流れる)」を変えるのは難しいでしょう。正規の労働対価としての仲介手数料は払ったら損で、広告料なら喜んで払います、っていう消費者が多数なのです。悲しいですが現実はこんなとこではないでしょうか?
支部で審査を通して会員(私たちの仲間)になっているのですから、「方針を変更しろ」だの「脱退しろ」だのとは言いませんが、少なくとも、自社の方針が同業者に少なからず迷惑を掛ける、裏切ることになる、という認識を持ち合わせていてほしいですね。ま、それが解かっていたら、そもそもそんな社名にはしなかったと思いますが・・・。自分さえ良ければ、の典型だと思いますね。
消費者の意識、価値観は、これまで日本人が築き上げてきた「日本人の美徳」から離れていってしまっていますね。深く考えず、何の疑いも持たずに、欧米型の文化や価値観を受け入れてきた結果で、いわゆる文化人と呼ばれる人たちやマスコミの悪影響によるところが大きいでしょう。
消費者は、目に見える部分だけで「どっちが得か」を判断していて、直接自分が払うものでなければどうでもいいんですね。申込時に渡される精算書に、例えば「礼金1ヶ月、敷金1ヶ月、仲介料、保険料、保証会社保証料、AD200%」とか書かれていたら「これは何だよ!?」と怒るでしょうけど、書かれていなければ気付きません。でも、書かれていないだけで、自分が払っているのですが。
公益法人であるなら、「消費者が気付いてなければかまわない」「自分たちが潤えばいい」という姿勢は改めるべきで、そうしなければ「一部の大手しか生き残れない業界」になってしまうでしょう。
poohpapaさんの論理は、慣習の中で皆が食べているのだから、慣習を乱すような者は業界から排除すべきということですね。
慣習を乱す行為は、法律的に問題はなくとも、道徳的に問題があると。
でも、その論理は「慣習が道徳的に正しい」という前提があってのことになります。
業界全体でカルテルを結んで価格の自由競争を妨げていることが、道徳的に正しいのかどうか。
カルテルで価格維持がされることで、時代の変化に対応せずに済んでいる中、真面目に仕事をしていると言っても、社会からの理解を得られるかどうか。
poohpapaさんは、「媒介報酬の上限固定」の慣習には肯定的ですが、「広告料」の慣習については否定的な意見ですから、ここの整合性は問われることになるのかなと思います。
カルテルのほうが違法性も悪質性も高いため、矛盾が生じてきています。
道徳性の論理が(悪質性が高いカルテルを是としていることで)破綻してしまっているのです。
協会の判断は、結果から見れば
・カルテルは非
・広告料は是
ということですから、違法性と悪質性からの線引きであるとすれば、こちらのほうが論理は通っていると思いますよ。
私は、仲介料の基準(ルール)を守っていることがカルテルだとは思わないのです。まあ、暗黙の了解として皆が守っているだけのことで。本当は「仲介料を割引したりとか何か独自の策を打ち出したいな」と思っても、それで他のお仲間さんに迷惑が掛かるかも、と考えて躊躇っている会社もあるかと思います。どうしても仲介料を最初から固定で割り引く、ゼロにする、というのであれば、協会に入らず自分で1000万を供託すればいい、と思いますね。そうしているなら、私は文句を言いません。
少なくとも、他社の顧客を奪ってでも自社さえ儲かればいい、と考えていることは否定できないと思います。仰るように、我々が常に道徳的な商売をしているのか、と言えば、そんなことはない、と思いますが。
そこで、協会の役員の指導力が問われる、と思うのです。一方でADに胡坐をかいていたのでは、そういう業者が出てきても批判はできませんよね。
すみません、今、もの凄く気持ちが悪くなりましたので、このへんで。