2021年05月29日

これも不動産屋(管理会社)の大切な仕事

昨日の夕方、16時41分、隣町のアパートの、ある入居者さんから電話があった。

「隣の部屋で大量の蠅が発生していて、最近姿を見かけないし、ドアポストの蓋を開けたら物凄く臭いんですけど、見てもらえませんか?」、とのこと。

隣の部屋の入居者は、66歳の男性で独り住まい。実は家賃が遅れていて、調理師としてのバイトを二つ掛け持ちしていて、何とか少しずつでも追いつかせようと頑張っている。家賃を振り込むと必ず私に、「今、1ヶ月分を振り込みました。来月の15日には0.5ヶ月分振り込めます」とか「今月は体調を崩して仕事ができなかったので来月の15日まで待ってください」などと連絡をくれる。そんな滞納者は他にいない。だから家主さんに「待ってくださるよう」お願いして了解を頂いていた。

直ぐに管轄の警察に電話すると、「これからアパートに向かいますので、不動産屋さんも来てもらえませんか?」とのこと。「来てくれ」と言われても、当社は車が無い。カーシェアの利用はできるが、急な話だし、この2年間というもの車の運転はしていない。徒歩で行くことになるから40分は掛かる。

そう伝えると、「それでもいいから来てくれ」とのことで、仕方なく出掛けた。他にも事情があって、時間を考えたら本音では「明日の朝に電話すれば良かったかな」と思ったりして・・・。

現場の近くまで行くと、救急車と消防車が来ていて、物々しい雰囲気。警察官に声を掛けたのが6時過ぎ。「最後まで立ち会ってもらえませんか」と言われて了解したが、かなり時間が掛かることだろう、と覚悟した。実際に、解放されたのは9時過ぎ。いつもなら就寝している時間。

で、私は合鍵を持っていない。警察が鍵の業者を呼んで開けるが、「その費用を用意して来てくれ」とも言う。その費用は家主さんに請求できない。家主さんはご高齢で施設に入っているし・・・。

「ともなければ、(1階の部屋なので)窓を一部割ってサッシの鍵を開けて、そこから入りますが、いいですか?」と私に了解を求めるが、元に戻すことを考えたら鍵屋さんを呼んでもらったほうがいい。結局は、サッシの鍵が緩くて窓から入れて安堵。中からドアを開けてもらった。

私は中に入らず、外で待機していたが、やはり亡くなっていた。室内は蠅と蛆虫で大変なことになっていたようだ。ご遺体は一旦は管轄警察署で保管されて、事件性が無いか司法解剖されるらしい。その際に、お姉さんのDNAが必要とのこと。亡くなった人を特定するためなんだとか。

滞納で電気は切られていた。いつ切られたかは不明だが、真っ暗な中で作業は出来ないので、東電に電気を繋げてもらうため横浜のTさんと、うちのに協力を仰いだが、時間外で音声ガイドが応答するのみ。東電の担当者が出ても「イタズラかも」と疑っていたみたいで、電気を繋げてくれなかったそうだ。結局、真っ暗な中で懐中電灯で作業。だから、一通り室内を調べてご遺体を搬出し終わったのが9時過ぎ。

部屋から飛び出してくる蠅も多かったが蚊も多くて、外で待つのは辛かった。かと言って、中に入る度胸も無い。警察から「外で待つよう」言われているし。何もせず待っているのも辛いもの。

隣の住人の方が先月、「タバコを持っていたら10本100円で譲ってくれませんかね」と頼まれたようで、その頃まではご存命だったようだ。あとは郵便物の消印なんかでも推測できそう。いずれにしても、一月半くらいは経っていそう。あの Cyber の時と同じくらいかな。それにしても、こんな死に方は寂しい。

連帯保証人・・・、滞納分と、後片付け(通常より高くなる原状回復費用)の支払いには応じないだろな。せめて、どちらかでも責任を取ってくれたなら助かるのだが・・・。家主さんのためにも頑張ろう。

解放されて家に向かって歩き始めたその時、メールで別の訃報が入った。うちの店の隣、今は珈琲豆の店になっているが、2年前までスナックで、そこのママさんが亡くなったようだ。コロナ禍でもお通夜と告別式はするようで、その案内も入っていた。娘さんとお孫さん、奄美大島から上京する。行き届いた案内を頂いた以上、どちらかは出席させて頂こう。娘さんご夫妻、当時、誠実に対応してくださったのだから。




posted by poohpapa at 07:06| Comment(8) | お客さん(入居者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
文章読んでいるだけであの臭いが思い出されるようです・・・・独特なんですよね(;><)

今はご近所づきあいもしないのが当たり前、干渉しないのが当たり前でどうしても発見が遅れますよね。これからの時代はもっとかも。
Posted by はなくろ at 2021年05月29日 09:32
はなくろさん、おはようございます

死臭は独特の臭いで、一度嗅いだら忘れませんね。以前、旧甲州街道の府中駅の近くを歩いていて、「あ、この臭いだ・・・、どこかで誰かが死んで発見されていないな・・・」と思いましたが、私が騒いでも何の根拠もない話なので立ち去りました。

その後に事件の報道などありませんでしたが、絶対に誰かが死んでいたと思われます。

近所付き合いはしておいたほうがいいですね。結婚も、です。最期が孤独死では辛いですもん。

Posted by poohpapa at 2021年05月29日 09:40
うちも独居老人がおられるので他人事ではありません。
事故物件の告知義務が緩和されて、3年経過すれば告知不要になるとか。
病気、老衰での死亡は告知義務無しですが、腐乱までしていた場合はやはり事故物件になるんでしょうか?
Posted by バーダック at 2021年05月29日 09:58
あのスナックの上に住んでいた頃、夜中にカラオケの曲がよく聞こえてきていました。また蒲田行進曲だよ、とか。
お客さんとの会話もうっすらと聞こえてきたりして、声が途切れるとまだ帰ってないはずなのに何してるんだろ、と悶々としたものです。ご冥福をお祈りいたします。

あと、電話でご相談した仕事は細々と続けております。この場を借りて感謝申し上げます。
Posted by 元長屋男子 at 2021年05月29日 13:24
バーダックさん、こんにちは

これから増えると思いますね、覚悟していなければなりませんね。

ところで、病気死亡とか老衰の場合も、発見が遅れて異臭がしたり、ウジが湧いていたとかで特殊清掃をした場合などは殺人事件や自殺と同じく事故物件に、つまり3年間は告知義務ありになるとか。

身寄りがいない場合、住宅総合保険や共済で保証が受けられるプランが有ったりしますので、高齢者の場合は必須にしたほうが良いかも。保険料も2年間で3000円くらいしか変わりませんし。
Posted by poohpapa at 2021年05月29日 14:17
元長屋男子さん、こんにちは

感謝なんてとんでもない、私はそんなに役に立ってなどいませんよ。

ところで、スナック、私が何かで8時くらいまで店にいると男性客のカラオケの歌声がよく聞こえてきました。それがまた、めちゃくちゃヘタで、仕事の調子が狂っちゃいましたね。

でも懐かしい思い出です。あの頃は元気でいらっしゃったのに・・・。時が流れるのは早いですね。

こちらに来られることがありましたらぜひお寄りください。ランチでもご一緒しましょう♪
Posted by poohpapa at 2021年05月29日 14:23
poohpapaさん、こんばんは。
お疲れ様でした。今朝、記事を読んでコメントを書くのに時間がかかってしまいました。

Cyber氏の時は冬だったけど、今回は春でGWは暑かったですよね。最悪の状態になり残念です。ご冥福をお祈りいたします。
Cyber氏の遺品整理を手伝ったこと、強烈に私の記憶に刻み込まれました。大晦日、歩行困難であったけど近くのスパーで値引きの惣菜を買い、それにほとんど手をつけずに亡くなったこと。ウィスキーの空き瓶が散乱していたこと。別れた奥様が死亡保険を受け取らなかったこと。娘に対する愛情。もろもろ。一人で死ぬことが怖くなりました。

亡くなった方は料理人だったとのこと。コロナ禍で仕事が減ってしまったのかもしれません。タバコのバラ売りを頼んだエピソードが辛いですね。

これからが大変だと思います。頑張ってください。
Posted by バラキ at 2021年05月29日 19:13
バラキさん、おはようございます

バラキさんにとっては一面識もない故人に対する温かいお悔やみと、私なんかに対しての労いのお言葉、有り難うございます。心に沁みます。

バラキさんが仰るとおり、コロナ禍で仕事が激減していたことでしょうね。コロナ以来、ほとんど満足に食べていなかったかも、と思います。仕事のある時は、店で「賄い」が出たでしょうけど、それ以外は食べていなかったかも知れません。

Cyber(亡くなったからといって敬称など付けませんが)の時は本当にお世話になりました。ものすごく助かりました。もしバラキさんのご協力がなければ片付けも相当に遅れていたに違いありません。

あの時、別れた奥様が( Cyber が娘さんのために掛けていた)生命保険金の受け取りを拒否した、というのもお気持ちはよく解かります。リスクは無いワケですし、「カネに色は付いていない」のですから、普通なら、娘さんのために、故人の遺志を尊重して受け取っても良さそうなものですが、それでも拒否をした、それが Cyber の生き様と人柄を如実に表していると思います。

立川警察に出向いて、「あの男(私)は詐欺師だから直ぐ逮捕しろ」と申し入れたり、日本政策金融に出向いて、「全額一括で返金させろ」と言っていて、それだけのエネルギーがあるなら他で有効に使えば?、と思ってしまいます。誰か一人に攻撃目標を定めて徹底的に潰しにかかる、そのためには何をやってもかまわない、赦される、まさにサイコパスでした。私が Cyber から恨まれる理由など全く心当たりは有りませんし、昨日まで仲良くしていたのに急に変わるのです。

人柄は真逆ですが、今回亡くなられたTさんも、Cyber と同じくアルコール依存症でした。元気な頃は、診断と治療のために、私が付き添って保健所や病院に行ったことがあります。警察官によれば、部屋には酒の空きビンや缶が大量に残されている、とのことでしたから、あの時と同じですね。

20年前に離婚して、一人で生活していて、家主さんには申し訳ない言い方ですが、あんな不便な場所にあるアパートで暮らしていて、さぞかし寂しかったと思います。今のアパートに入居する際に「ここしか入れてもらえるアパートは無い」という状況で、選択肢がありませんでした。

生命保険も入っていなかった(そんなおカネも無かった)ことと思います。Tさんに関しては、「酒を買うカネがあるなら少しでも家賃に回せよ」とは思いませんね。真面目な性格で、少しずつでも追いつかせよう、と無理をしているのは知っていましたから、責める気にはなりません。むしろ、たまにはランチでも誘ってあげれば良かったかな、と悔いが残ります。

部屋から財布が出てきて、警察官が中を見たら、お札は一枚も無く、小銭が1300円ほど。それが全財産だったことでしょう。

正直な所、私も自分のことで精いっぱいで、それでも、どうして「Tさんがほとんど食べていないのではないか」と気付いてあげられなかったのか、もの凄く悔いが残ります。もしかしたら、餓死だったのかも・・・。Tさん、家賃を滞納していて、「何か食べさせてもらえないか」と言えなかったんでしょうね、私にも親族にも。

連絡をくださった隣の部屋の男性、実は「引き籠り」で、よく連絡をくれたもの、と思います。15年くらい前には、Tさんが店にアパートの鍵を忘れてきてしまい部屋に入れなくなって、真夜中に隣の青年(当時)を起こして、「オタクの部屋に入れて寝かせて欲しい」と頼み、一つ布団で一緒に寝たことがあるそうで、驚きました。

不動産賃貸仲介管理業は人生の縮図ですね。もちろん、他人様の私生活に入り込まなくても仕事はできますが、私なんかが手を貸さなければ生きていけない人がいるのも事実です。私は、人と関わって生きていたい、そういう思いでこの仕事をしています。それだとリスクのほうが大きいですけど、損得の問題ではありませんしね。自己満足でもかまいません。

嫌なこともたくさんありますが、いい出会いもあります。これから、どう片付けをしていくか、家主さんもご高齢で施設にお入りですし、同居してお世話をしていらっしゃった娘さんも大病を患っています。なるだけご負担を掛けないように頑張らなければ、と思います。

温かな励ましのコメント、本当に有り難うございました。
Posted by poohpapa at 2021年05月30日 06:10
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