元ママさんのお通夜に参列させて頂いた

うちの店の隣で長くスナックをやってみえたＳさんが今月２８日にお亡くなりになり、昨日がお通夜。お孫さんから連絡を頂き、私も参列させて頂いた。このご時世で、こじんまりしたお通夜だったが、ご遺族の方の参列者に対するご配慮も行き届いていて、とても良いお通夜だった。故人のお人柄ゆえじゃないかな。あまり多くの方には連絡なさっていなかったのだろう、私以外は、ほぼご親族だったかも。

会場に着くと、先ずお線香をあげ、棺の顔の部分の小窓を開け、ママさんと対面させてくださった。死化粧を施されているせいか、スナックをやっていた３年前より若くて綺麗だった。まるで寝顔みたいで。

厳密に言うと、ママさんは当社のお客様ではない。私より早くから営業していたので、その店舗は他の業者さんで管理していて、私は酒を飲まないし、店の前や道端でお会いすると挨拶していただけのお付き合い。病に倒れて、店を開けずに長く放置していたことで家主さんから相談を受け、あちこち連絡をしていて娘さんやお孫さん、そして、当時ママさんと同居していた Ｉ さんと知り合うことになった。

連帯保証人は多摩地域に住む実の妹だが、「私は知らない、もう何年も連絡を取っていないくらいだし」と言っていて、「それはそちらの事情、だからと言って連帯保証人の責任からは逃れられるものではありませんよ」と言えば、「もう私も歳だし、自分たちが生きていくので精一杯」と逃げようとする。

無断で店を片付けるワケにもいかず、娘さんに連絡すると、遠く奄美大島から来てくれて、溜まっていた家賃を清算して私物も持ち出してくださった。法的には何ら責任が無いのに、しかも、そうお伝えしたのに、である。なので、家主さんとも相談して原状回復までは求めないことにして、溜まっていた家賃も全部はご負担頂かないことにした経緯がある。そういうのは「相手の出方次第」で、ま、世の中、結局は、人柄の良い人は得をするし、人柄の悪い奴は損をするようにできている。

連帯保証人だった実の妹、通夜と葬儀の連絡をしたが「行けないから」との返事で、通夜に来ておらず、今日の告別式にも参列しないことだろう。娘さんたちは奄美大島から来ている。実の妹は会場から電車で３駅、病で倒れているのでない限り、物理的には問題なく来られると思う。何かおカネを請求されるかも、と警戒してのことかも知れない。この後は完全に親戚付き合いは無くなることだろう。それだと、施設にでも入っていない限り、自分の最期は孤独死、ということになる可能性が高い。

この仕事をしていると、何かあって（ほとんどが滞納だが）連帯保証人に連絡しても「私に言われても知らない。もう長いこと連絡を取ってないから」と言われることは多い。いや、ほぼ１００％そうである。目先の損得ばかり考えないで、不義理しないで生きたほうが良いものだが・・・。

なので、ママさんの娘さんのケースは極めてレアな話。誰だって、生活が懸かっているし、降って湧いたような話をいきなり切り出されたら逃げたくなるもの。資産家が亡くなって「あなたが唯一の相続人です」と言われるのでなく、「本人と音信不通になっていて家賃も溜まっているのですが・・・」と言われたのだから。そういう話で逃げずに誠実に対応してくださったのは、業界歴３３年間でたった二人しかいない。

娘さんが、「（母親がやっていた元スナックは）今は珈琲豆屋さんですってね。今度ご挨拶がてら買いに行きます」と仰るが、隣町とか隣県ではない、奄美から、である。なので、「遠い遠い、でしたら私が豆をお送りしますよ」と約束した。豆を買うのが目的ではないのは承知しているが、母親がやっていたスナックの場所で売っている珈琲豆を早く味わって頂きたいから。この娘さんなら、もし上京される機会があれば本当に「小梅」に挨拶に訪れるかも。いや、きっと訪れることだろう、そういう人である。

通夜の最中、私は会場の中にいて全く気付かなかったが、帰り際、会場のスタッフから「さっきまで物凄い雨で、視界が真っ白でした」と言われた。雨も「強い思い」でママさんを見送ってくれたんだろうな。


ところで、３日前に孤独死しているのが発見されたＴさんのご遺体、お姉さんが昨日小金井警察まで（葬儀屋さんと）引き取りに行ってくれたみたい。それも安堵した。

不動産の賃貸仲介管理業は人生の縮図、それも、人間の醜い（汚い）一面を見ることのほうが圧倒的に多い。素晴らしい出会いもあるが、そうでない出会いもある。この仕事は私の天職ではあると思うけれど、生まれ変わったら絶対に不動産屋にはならない。ついでに、生まれ変わっても私はうちのと夫婦でいたい。私にとっては最高の女房だから。うちのは「絶対に嫌だ（他の人と結婚する）」と言っているけどね 💧

Comments

poohpapaさん、おはようございます。

昨日の夕立、凄かったですね。お疲れ様でした。

Tさんもご親族に引き取られたということ。安心しました。調べたら2017年6月2日の記事で、駅の近くで会った記述がありました。poohpapaさんがTさんに対して色々と気遣っていたことはよくわかります。そして残念な気持ちも。でも、管理する不動産屋として十分すぎる対応です。後悔する必要はないですよ。

記事にあった共済の件がちょっと気になります。支払っていたのか不明ですが、Cyber氏の時のように残された書類をチェックして分かることもあります。お姉さんは高齢でしょうから難しいでしょうね。業者が片付け清掃を行いクリアされてしまうのかな。孤独死って寂しいですね。

Posted by バラキ at 2021年05月31日 08:06

>>世の中、結局は、人柄の良い人は得をするし、人柄の悪い奴は損をするようにできている。

世の中、「その人の最後の人生のバランスシートの辻褄は合っている」ということなんですな。

そういう意味では、いい奥さんと結婚した悪徳さんはうらやましーなー。
グヤジイ！

Posted by Occhan at 2021年05月31日 09:05

＞実の妹は会場から電車で３駅、病で倒れているのでない限り、物理的には問題なく来られると思う

きょうだい　って子供の頃を共に生きて来てるのに、両親の血を分けた同等の存在であるのに・・・・・意外と遠いですよね。
よほどのことがないときょうだいに相続が回ってこないってことを考えてもやはりそれほど近い存在ではないような気がします。

奄美大島からくる娘さんと電車で3駅の妹さんを並べて比較するのは酷だと思います（笑）

Posted by はなくろ at 2021年05月31日 09:30

賃貸業をやっていて気持ち良く退去されたケースはほんとに少ないですね。
大抵は部屋の片付けもせず汚れたままですし、ペットを無断で飼っていてめちゃくちゃなままだったり。
大音量で騒ぎを起こしていて退去を迫り、一旦は了承した老人の連帯保証人がゴネだして、騒ぎの元は他の住人の嫌がらせが原因だと言い始めました。
アパート住人の誰かが玄関引戸を叩いたり、罵声を浴びせるので老人が対抗して大音量をたてるのだ、という主張で、
証拠として録音すると言ってるようです。
原因がそうであっても、前に再度騒ぎを起こせば退去するという念書をとってるので、それを盾に退去を迫ろうと思うのですが、どうでしょうか？

Posted by バーダック at 2021年05月31日 10:11

バラキさん、おはようございます

私は、バラキさんからのコメントで、「そうだよな、飲食業、しかも居酒屋の調理師のバイトを掛け持ちしていて、どちらも自宅待機になっていた可能性もあるのだから、食事も取れていなかったんだろな」と初めて気が付きました。遅いですよね、なんでもっと早くそのことに気付いてあげなかったんだろう、と悔いが残ります。「飯くらい奢るよ」って声を掛けていたなら、と。

私の頭の中には、ご高齢で施設に入っていらっしゃる家主さんと、現在大病を患っている娘さんのために、如何に滞納家賃を追いつかせてもらうか、それしかありませんでした。もちろん、Ｔさんの誠実な人柄はよく知っていますので督促じみたことは一言も言っていませんが。

近いうちに警察から鍵が返却されますので、室内に入って、共済の証書を探してみようと思います。私はすっかり忘れていましたので凄く助かります。もう継続して掛け金を払っていないかも知れませんけど、とにかく探してみます。本当に有り難うございます。

Posted by poohpapa at 2021年06月01日 06:42

Occhan さん、おはようございます

＜＜世の中、「その人の最後の人生のバランスシートの辻褄は合っている」ということなんですな。

そうなんですよね。どんな人にも、チャンスや幸福を掴む機会は平等に与えられていたハズで、それを掴むのも逃すのも本人（の努力）次第。でも、Occhan さんが仰るように、「最後の人生のバランスシートの辻褄は合っている」と私も思います。資産家も貧乏人も、ですね。価値観の違いもありますし。

嫌味でなく、うちのは私にとっては本当に最高の女房なんです。ただし、他の男と結婚していたなら、物凄い悪妻になっていたかも知れません。相性が全て、と言えますね。

そういうのはご縁ですから、Occhan さん、今からでも「いい人」に巡り会えるかも知れませんよ。はい、もちろん気休めですが （こら

Posted by poohpapa at 2021年06月01日 06:51

はなくろさん、おはようございます

兄弟は、歳月とともに疎遠になりますね。それぞれの子供や孫が巣立って行って、自分たちだけになると、再び交流したりしてね。でも、私の場合は、もう修復不可能ですが。血を分けた兄弟だから、かえって難しいのかも知れませんね。他人のほうが言いたいことが言えたりしますし。

あ、ママさんの妹と娘さんの話ね、普通なら、立川で葬儀をするなら、拝島に住む妹が「奄美にいて段取り組むのは大変だから、私が引き受けるよ」と言いそうなものです。いえ、私ならそう言いますね。少なくとも、「何か手伝えることある？」と声を掛けます。

だから、娘さんの寂しさ、落胆するお気持ちはよく解かります。スナックの後片付けで娘さんたちが示してくれた十分すぎる誠意と、連帯保証人でありながら「私は無理」と逃げていた妹との違いは「雲泥の差」と言えます。妹が通夜や葬儀に来なかった話を伺って納得してしまいました。

だから、「奄美大島からくる娘さんと電車で3駅の妹さんを並べて比較するのは酷」ではありません。

Posted by poohpapa at 2021年06月01日 07:05

バーダックさん、おはようございます

当社の場合、契約時に「退去する際はお掃除は全くしなくてかまいません。部屋に残って掃除なんかしないで荷物と一緒に転居先に行ってください。どのみち、素人の方に掃除して頂いてもプロのクリーニングが入りますから無駄になります。その費用を敷金から引かせてもらいますが、そのほうがいいですよね」と説明していて、１００％納得して頂いております。

ペット不可の物件でペットを飼っていた、という話は今まで３３年間で３件ほどしかありませんでしたし、実害は発生しておりません。たまたまラッキーだけだったのかも知れませんが。

隣人から、「ここ、ペット不可のハズですが、お隣、猫（犬）を飼ってるみたいですが」と連絡が入ることがあります。その場合は当然に退去してもらいます。もめたりはしませんね。

バーダックさんの、「音」（騒音）による退去は、念書を取っていても、相手が納得していなければ追い出すのは難しいかも知れませんね。裁判でしか追い出せないかも知れません。まあ、録音でも何でもとってもらってかまわないでしょう。まず（都合よく）録音できないと思いますね。裁判になれば、その時の念書は生きてくると思います。

ゴネている年寄りのほうが悪そうですが、念のため、どちらが悪いと決めつけないで対応してください。似たようなケースは当社でもありまして、その時は片方が施設に入ってトラブルが終わりました。その老人、施設に入ってくれるといいのですが・・・。なんか、片方が出ていっても、同じトラブルが起きそうな気もします。

音のトラブルは難しいですね。正直、管理会社としては一番関わりたくないトラブルですね。

Posted by poohpapa at 2021年06月01日 07:26

アドバイス有難うございます。
騒音騒ぎで退去した女性は生活保護で精神疾患がある人で、その人の評判も良くなさそうです。
女性の気にしすぎかもしれませんが、老人の上階に住む人からも騒音苦情が来ています。
少なくとも老人が騒音を出してることは間違いないと思いますので、施設に移ってもらう方向で対応したいと思います。

Posted by バーダック at 2021年06月01日 09:30

バーダックさん、おはようございます

返信が遅くなりまして済みません。

私は７年くらい前までは精神疾患で生活保護を受けている人の部屋探しもしていましたが、精神疾患の人、今は一切お断りしています。体に障害があって生活保護を受けている人の部屋探しはします。

精神疾患の人を入居させてしまったら間違いなく物凄いトラブルに見舞われます。それは偏見でなく。そうなると、家主は不動産屋に「何とかしてくれ」と言ってきます。自分で審査を通していても。

私は、役所が「何かあったら役所も全面的に協力しますので」と約束してくれなければ部屋探しなどできません。「例の気違い」の時に立川市の生活福祉課が、「うちの仕事は生活保護受給者に保護費を渡すところまで。そこから先は知らない」と言ったことで、精神疾患の人に部屋は紹介しないことにしました。でなければ、自分も家主も守れませんから。

バーダックさんの入居者の人も、施設に入ってもらうのが良いと思いますね。大変だとは思いますが。

Posted by poohpapa at 2021年06月05日 07:46