うちの管理物件に、障害をお持ちのお客さんが入居していて、最近、考えさせられる出来事があった。
医師から「ゆくゆくは車椅子を利用する生活になる」、との診断を受けて市から保護を受けていらっしゃったのだが、最初の医師の診立て違いで、そうはならない、ということが判ったとか。
それは「とても喜ばしいこと」なのだが、問題も出る。
車椅子生活者と一般の生活保護では、市からの家賃補助額が違ってくるので、今入っている部屋を出なければならなくなることである。
アパートには市の負担で「窓側から出入りする為の車椅子昇降機」まで設置していて、その費用がおよそ40万。退去に当たっては再び市の負担で原状回復しなければならない。しかも、そのお客さんは更新契約を済ませたばかり、である。無駄だらけ、になってしまう。
そこで、私が市の福祉課に「そのまま入居してもらっていたほうがいいのでは?」と電話すると、以前では考えられない返事を頂いた。
「○○さんは、自身で車椅子をリース会社に返してしまったので、規定では補助額を変えざるを得ません。でも、お話を伺うと、たしかにそのほうがいいので、もし○○さんが、これからも車椅子を使うかも、ということで車椅子を戻してもらえたら、そのまま入居して頂けるようにします」、とのこと。だが、リース会社は既に○○さんから戻ってきた車椅子を処分(?)していた。
その「車椅子を業者に戻す」「処分した」「家賃補助の額が変わる」というのが、どういう繋がりがあって、なぜ「その戻した車椅子を再び返してもらう」のでなければならないか、の理屈はよく解らないが、少なくとも市の対応が杓子定規でなくなったのは事実である。
しかも、今までは絶対に認めていなかった「規定より高い家賃の物件を借りて差額を本人が負担する」というのもOKのようなのだ。
理屈は解らないが、とにかく部屋を出なければならないことだけは確定してしまった。
で、この○○さん、非常に、私以上に、「せっかち」な人である
あちこちの不動産屋、というか、通りの全部の不動産屋に声を掛けたようである。だが、ほとんどの業者から断られてしまったとか。
うちでも2件、受け入れてくれる部屋を紹介すべく連絡して来店を待っていたら、○○さんがやってきて、
「ごめん、○○ホームさんで申し込んじゃった。だって、裁判で忙しそうだったから、悪いかな、と思って」、と屈託なく笑う。
「オイ!、そこは気を遣うトコじゃないだろ!」という言葉を飲み込んで、「どんな物件なの?」と訊くと、その物件は、以前は生活保護のお客さんは拒否された物件、であった。
それで翌日、ふだんから懇意にしている○○ホームに出向いた。
「昨日、○○さんてお客さんがオタクで申し込み入れたでしょ?、そのお客さん、すごく固くて全く心配の要らないお客さんだから、もし元付け業者が審査を通すのを渋ったら、何とかプッシュして通してもらえるよう頑張ってやってよ」、と頼んできた。
そのお客さん、「悪徳」の初期の頃に記事にさせてもらっている。
「子供の頃両親に捨てられたんだけど、今はこの世に産んでくれたことを感謝こそすれども恨んでなんかいない」と言った青年である。
その時の感動を今も憶えている。私は「そういう話」には滅法弱い
私は、良心的、なんかではない。一生懸命生きている人に「私が出来る範囲で協力しているだけ」のことである。もちろん逆も有り得る。
責任転嫁ばかりして家賃滞納を繰り返したり、勝手なクレームを申し立てる客に対しては、全く逆のことをすることも有り得る(*^^)v
本音では、審査が通らずに戻ってきてくれることを期待している
障害者に関する記事を読ませていただき,過去の記事ですがコメント(質問)を書かせていただきました。
内容とは関係なく,だいぶ古い記事なので無理かもしれませんが,返信をいただけたら幸いです。
私の友人のことで質問をさせていただきたいのですが,友人は脊髄小脳変性症という難病を患っております。
いずれは寝たきりになってしまう病気ですが,友人は進行が遅く32歳の今でもゆっくりと歩行は可能であり,アルバイトもしています。
その友人は一人暮らしをしたいと考えています。
難病を抱えた友人は部屋を借りることが難しいでしょうか?
友人は障害年金を2ヶ月に1度,13万円支給されており,アルバイトの収入も少しあります(おそらく8万円前後)。
保証人は1人なってくれる人がいるそうです。
一人暮らし希望の理由はいろいろありますが,大きな理由として,家族には頼れる状態ではなく,いじめを超えた虐待を受け始めていることがあります(お金も搾取されている)。
部屋を借りるにあたって良いアドバイスがございましたら,ぜひ聞かせていただきたいと思います。
おそらくホームヘルパーを入れての生活になると思います。
それとも,実際は難しいのでしょうか。
お手すきの時がございましたら,返信をどうぞ宜しくお願いいたします。
久保真美
久保真美さん、こんにちは
とてもデリケートなお話なので、今夜帰宅しましたら、ゆっくり返信させて頂きますね。どうぞご了承ください。
返信が遅くなりまして相すみません。
<<難病を抱えた友人は部屋を借りることが難しいでしょうか?
久保さんは、お友だちのことを真剣に心配していらっしゃるので、賃貸市場の現状をありのまま、正確にお話しさせて頂きますね。
率直に申し上げて、簡単ではないことでしょう。家主さんや管理会社が心配するのは火災、そして一人でいて倒れた時のこと、ですね。それはお年寄りに対する懸念と同じです。ですが、もちろん、「無理」ということではありません。
方法としては、先ず、親身になって相談に乗ってくれそうな業者に当たりをつけます。クチコミやネットでの評価が参考になると思います。
賃貸専門の大手業者は避けたほうがいいと思います。親切な担当者に当たる確率、かなり低いと思います。理由は、ノルマに追われていたりして、簡単にまとまりそうなお客さんを好む体質だから、ですね。いい担当者に当たっても直ぐ辞めてしまったりしますし。
これ、けっこう判断が難しいのですが、このご時勢、借手市場ということで審査を緩くしているのか、ちゃんと理解してくれたか、が大切です。どこで見分けるかと言うと、「リスクに関して詳しく説明を求めてくるかどうか」で判るかと思います。
不動産会社の担当者には、現在の病状、これから予測される進行の程度、自活が困難になった際のサポート体制など、包み隠さず話してください。ただし、気を付けてほしいことがあります。「説明」はしても、「説得」はしないでください。それは、正しく理解してもらって契約をしないと、後でご本人が苦労することになるから、ということです。
難病であれば、役所の福祉担当者に先に相談して「家賃の支払いの心配はない」との裏づけを取っておくことも有効ですね。
病状が進行してからですと、それだけ部屋探しが困難になりますので、少しでも元気なうちから一人暮らしを始めると、将来的に別の部屋に移る際にもスムーズに話が進むでしょう。
何かあっても私たち(お友だち)がいつもついているから大丈夫、という(業者に対するアピールの)雰囲気づくりも大切ですね。
でも、心配することはありません。最近の不動産会社は、ハンデを背負ったお客さんの相談にもだいたいが丁寧に乗ってくれるようになっています。ご本人とお友だちの意欲が伝われば、きっと良い部屋探しが出来ると思います。
何かありましたら、私で良ければご遠慮なくコメント欄からご相談くださいね。稀に、うっかり尻切れトンボになってしまったことがありますので、あまり「胸を張って」は言えないのですが^_^;
あ・・・、この世に「友情」ほど美しいものはありませんよね。感動を有り難うございます。
いままで気が付かず,本当に申し訳ありません。
お恥ずかしい話,書き込んだ後にだいぶ前の記事だということに気付き
返信コメントはあきらめていました。
あの後,友人も一人暮らしを半分あきらめており,
しばらく様子を見ていたのですが,とうとう仕事のお金までとられることになったため,
何とか家を出られないかと調べたら,この記事が出てきました。
(ネットで調べて,「同じ人がいる!」と見てみたらここでした)
本当に丁寧なコメントをありがとうございました。
これを参考に,本人と相談して進めてみます。
問題は,勤務地が繁華街であり,近くに借りるとなると家賃が難しそうです。
あと,障害のためにかなり条件が出てきてしまいます。
正直,私も中途半端なことは出来ないので,慎重にすすめていきたいと思います。
何とか少しでも良い結果になるといいのですが…。
友情といえるほど,私は何もしていません。
実際はお茶するぐらいです。。。
何か進展があったら,報告させてください。
本当に,ありがとうございました。
こちらこそ、ご丁寧に有り難うございます。
このサイトは、「読み手さんとのコメントのやりとりが全て」でありまして、記事そのものだけでなくコメントのやりとりも含めて「ブログという形」が成り立っています。なので返信をさせて頂くのは当然のことなんです。もっとも、ちゃんと記事を読まずに「攻撃的なコメント」を入れてくる人もいるので辟易することも多々ありますが^_^;
久保さまはとても謙虚に「お茶するくらい」と仰ってますが、障害をお持ちの方や高齢者は、いつも誰か傍にいてくれる、誰かが気遣ってくれている、と実感できることが何より大切なんだと思います。そしてそれが最高の友情ですね。
私も、特別に一生懸命尽くすのでなく、自分の出来る範囲で協力させて頂くという姿勢でいます。そのほうが長く続きますし。日本中の皆が「無理なく自分の出来る範囲で協力する、いられる時に傍にいる」というだけで社会はとても豊かになるものですが、残念ながら私や久保さまのような考え方は少数派でして、ほとんどの人にとっては「他人事」であって、「人任せ」なんですね。
私の経験上、というか、うちの町では、市の生活福祉課より社会福祉協議会の方たちのほうが親身に相談に乗ってくれますね。早いうちから何でも相談できる(社協の)担当者を見つけて日頃から懇意にしておく、というのもいいかと思います。既にコンタクトなさってるかも知れませんが。
あと、その地域の不動産組合の幹部の店に行く、というのも手ですね。「こちらの社長さんが宅建の支部の理事をなさっていると伺ったので、こちらなら親身に相談に乗って頂けるかと思いまして・・・」と、相手の逃げ場を塞いでしまうのもいいでしょう。HPなどで調べると誰(なんて会社)が役員をしているか、すぐ判ります。それとクチコミの評判を併せて店を選択すれば良いでしょう。
不動産業者には「全宅」と「全日」の二つの組合があって、その場合は「全宅」の加入業者のほうがいいと思います。「全日」はバラバラなので、あまり信用とかは気にしない業者が多いですし。
もし分からなければ、全宅の(お友だちの住まいに該当する)支部に直接電話して、「こういう事情なんですが、相談に乗ってくれそうな業者さんを紹介してください」と頼んでみてください。事務職員、最初は教えてくれないと思いますが、熱心にお願いすれば答えてくれると思います。職員はけっこう加入業者の評判を知っているものなので、職員の情報は正確だし役に立ちますね。
ところで、私はけっこうガラが悪いんですよ。先日も、立川市の生活福祉課の担当者を怒鳴りつけました。明らかに生活保護者を見下した対応をしているもので・・・。向こうは「この不動産屋、ヤクザか・・・」と思ったことでしょう(*^^)v
これからも、(役所との対応も含めて)何か困ったことがありましたらご遠慮なくコメントなさってください。こちらこそ、どうぞ宜しくお願いします。