2005年09月09日

続続・入居者は「アルコール依存症」

3回目にしてジャンルが「プロとしての見解、アドバイス」に!
と言っても、私の見解、アドバイスではなく、専門医の、である。

昨日、アルコール依存症の入居者の件で、連帯保証人であるお姉さんと、江戸川区に住む妹さんとの3人で、多摩立川保健所における専門医相談を受けてきた。非常に有意義なお話を伺えた。

その入居者はGWにアパート内で倒れて、救急車で総合病院に運ばれている。その時は本人が回復したので一晩だけ入院して翌日には退院している。駆けつけたお姉さんに医師は専門医に診せることを勧めた。

その後お姉さんが付添って、専門医のいる吉祥寺病院で診察を受けたが、担当した若い医師の態度が横柄で、しかも「そんなのは突き放せばいいんだ!」「本人が治療を受ける意欲が無いならどうなっても知らない」という言葉ばかりで、言っていることは間違っていないとしても、藁にもすがりたい家族にすれば何とも冷たい言い方で、その時の様子をお姉さんは、落胆し憤慨もして話してくれた。そんなでは専門医がいたとしても治療を任せる訳にはいかないだろう。昨日の相談医から、「依存症専門医はそんなことは言わないものなんで専門外の医師だった可能性はありませんか?」と聞かれて、お姉さんが「いえ、専門の科の先生でした」と答えると、「それはキャリア不足ですね、そんなことを言ってしまったのでは治療になりません」と驚いていた。単に言葉の選び方の問題でなく人格の問題であろう。

幸い、昨日の年輩医師と保健所の担当者はとても親身に相談相手になってくれて、素人にも解かりやすい言葉でゆっくり丁寧に話してくれたので、お姉さんも妹さんも充分納得することが出来たようだ。

「本人が『死にたい』と言ったとしても、本音はそうではありません。本人の言ってることを鵜呑みにしないことが大切です。できればやはり専門病院に入院させたり通院させるといいでしょう。本人の治療以外にも利点があるからです。他の患者とも交流することになるので、病気と闘っているのは自分だけではない、もっと重症で辛い人がいる、ということを知ってもらうことで病気と闘う意欲が継続します。本人が入院や通院を拒絶するようなら、本人が来なくても家族だけで診察を受けても良いのです。依存症は麻薬中毒と同じです。本人は、飲まないと不安になる、眠れない、体のどこかが痛くなる、食欲がなくなる、だから飲む、の繰り返しになります。時間が掛かりますが、先ずは、本人がどうしたいのか、を聞いてやってください。そこからのスタートです」、等々いちいち納得いく話だった。病気の治療というものは本人が行かないことには始まらない、と思っていたが、家族が相談を受けるという治療法があることを初めて知った。

良い相談相手に巡り会えたことで確実に治療の一歩が踏み出せそうである。帰り道、安堵の表情を浮かべるお姉さんに、しっかり家主さんの振込先口座のメモは渡してきた。滞納家賃の取立てこそが、今回の私の仕事だから、である。
posted by poohpapa at 06:00| Comment(0) | プロとしての見解、アドバイス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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