2005年09月26日

「ハートの無い家主」の話(2度目の体験)

最初は一般常識くらい持っている普通の家主夫婦だと思っていた。
私は以前にも一度、全く同じ体験をしているが、何とも空しい話だ。

ある人から「私の知人が奥多摩でアパート経営してるんだけど、ちょっと困ってるみたいなんで相談に乗ってやってくれないかなあ」との依頼を受けて、車で1時間かけて出掛けてきた。

相談内容は、「空室がもう半年も埋まらなくて、管理会社に不信感を持っているから管理会社を換えたい」、というものであった。当節、半年や1年、空室が埋まらないのはよくあることで、その家主のアパートに限ったことではない。話を詳しく聞いてみると、どうも、その物件の広告は全く打たれていないようであった。これは、家主が気が付いたのではなく、ふだん全部の広告に目を通している私も「その部屋の広告には全く見覚えがなかった」、ということである。

家主に「広告費の負担の取り決めはどうなっていますか?」と聞くと、「とくに管理会社と話し合ったことはないし、何も決めていない」とのこと。私の場合は、「専任で当社だけに募集の依頼をしてくれるなら広告代は(何度打つことになっても)全て当社負担」と決めているが、他社はそうでないことが多い。家主も何がしかは負担して当然でもある。もっとも、その都度は負担していなくても、成約後に広告代としてバックして頂いたりもするから、バランスは取れている。

その業者が広告を打たないのは、「広告代の負担をしてもらえないのが分かっているから、自分の店に直接来店した客だけに勧める」という方針でいるからだろう。業者の気持ちはよく解かる。

それで家主にこう勧めた。「部屋が空いたままでいれば家主さんにとっても辛いことだと思いますから、家主さんが広告代を負担する覚悟も必要です。その業者さんも、なかなか決まらなくて家主さんに連絡しにくくなっていて、それで意思の疎通がなくなってしまっているのでしょう。出来れば、広告代の負担の件も含めて、一度業者と腹を割ってじっくり話し合ってみてください」、と。

その家主は、ハナから管理業者を換える気でいたから、私が「ならば是非、当社に」と言えば、うちの管理物件になっていたと思う。

だが、私は引き受けない。今、他社に頼んでいて、「それでも換えたい」という理由は、ほとんどが家主の我が儘や身勝手である。腹を割って業者と話し合い、家主として負担すべき費用を気持ち良く出していたなら、何のトラブルも起きていなかったであろう。もし私が色気を出して「ならば私に」と言ったなら、今の管理会社に代わって私が苦労を背負うことになるだけの話である。だいいちそういう家主は私が気に入らなくなればまた直ぐ他の業者を探すようになる。だから、似たようなケースの話も過去には有ったが、今まで全て辞退している。おそらく、業界では私のような人間は少数派だろう。他社が日々どんな苦労と経費を掛けて管理していようが、スキさえ有れば「お構いなし」で管理を横取りしていくのがこの業界である。

で、アドバイスだけして帰ってきたが、知人の紹介、ということもあって、その後も気には掛けていた。しばらくして、都内の業者から当社の物件の空室確認の電話が入った。その物件は決まっていてもう無いのだが、先日の家主の物件と条件が似ているので、「当社の管理物件では有りませんが、こういう部屋があります。管理会社は○○不動産で、電話番号は・・・・です。当社は抜いて頂いて構いませんので直接問い合わせてみてください」、と教えてあげた。

翌日、その業者から「お陰さまで申し込みが入りました」との挨拶を頂いた。それで、家主にその間の事情を説明すべく電話をした。
恩に着せる為ではない、紹介者の顔を立てる為、である。

数日後、客付け業者から再度「契約終了」のお礼の電話を頂いたが家主からは何の挨拶も無かった。電話の一本でさえも、である。

私は、おカネが欲しいのではない。私が欲しているのはハートである。悲しいかな、この手の家主は多いし、過去にも全く同じ体験もしているから「またかよ!」とガックリもくる。紹介者には経緯を説明したが、「家主から電話一本入らなかった」とまでは伝えていない。

紹介者は善意であって、厚意で紹介してくれたに過ぎないから何の責任も無く、私が愚痴や文句を言ったなら「次の紹介を出す」のは躊躇してしまうだろう。正直なところ、「ただ迷惑になる」ことも有る。

まあ、この家主の物件は引き受けなくて正解だった、ということか。
posted by poohpapa at 06:00| Comment(0) | 家主さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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