2005年10月09日

盗難自転車は見つかったが・・・

当社の管理物件を或る業者さんが案内してくれて、現場から電話が入った。「今、お客さんにお部屋を見てもらったところですが、ちょっと警察の方と代わりますんで」、とのこと。え?なんで?、である。

「ああ、もしもし、私、府○警察の○○と言います。こちらのアパートの101号室に○○さんて方、いらっしゃいませんでしたかね?」
「○○さんは先月退去なさっていまして、今は別のところにお住まいですが、何かありましたでしょうか?」

「いえ、先日、○○さんから自転車の盗難届けが出されてまして、その自転車が見つかったもので、ご本人に確認して頂きたかったんですよ。○○さんの連絡先が分かったら教えてもらえませんかね」
「そう言われても、私は直接、警察の方とお会いしている訳では有りませんので、迂闊にお客様の情報を提供する訳にはいきませんが」

「なるほど、それはそうですね。それでしたら私が明後日、そちら様を訪ねて警察手帳を提示した上で、なら大丈夫ですかね?」
「それでしたら結構ですよ」

とのことで、私は元々警察が嫌いなので、ちょっと意固地になって遣り取りしていたが、「自分の為」でもないのに低姿勢な対応をする警察官が可哀想になってきたので、ちょっとだけ配慮することにした。

退去者に連絡して、「自転車の盗難届けを出していたか」確認をして、裏付けが取れたので本人の了解の下に警察に情報をFAXをすることにしたのである。それでわざわざ来てもらわずに済む。

私が直ぐ教えなかったのは、警察に対する個人的な悪感情から、だけではない。個人情報保護法の下、「職務上の必要があったり、全くの善意で相手の為に何かしようとしていて、それでも責任を問われるようなことになったら堪らない」からである。宅建業法上の守秘義務以外にも余計な法律に縛られることになって何とも疲れてしまう。

最近は国勢調査票の回収でも「個人情報保護法」を盾にした非協力者が増えているとか。これは「個人情報保護法」という法律が不完全であって明確な指針を示していないことが原因で、国勢調査の意義が有るかどうかは別にして、改めるべきは5年後の実施方法ではなく法律の方であろう。ふだんプライバシーだの個人情報だの意識しないで暮らしていた人間にまでいたずらに守秘意識を持たせてしまったし、悪用する人間も増えている

私は基本的にオープンな人間なので、「大して護るべき情報も無いクセに解かったような顔をしてやたら個人情報に拘る人間」が滑稽にさえ思える。予め「護るべきはコレとコレ」と決めておけば、それ以外はどうでも良く、仮に情報漏れがあっても心の備えだけしていれば慌てることもない。「そういう安易な気持ちが危険を招く」と思われるかも知れないが、預金も無く、子供も誘拐されるような年頃ではなく、今知られて困るのは各種カードの暗証番号くらいのものである。家族構成や連絡先を知られてもDM送付や営業電話が増えるくらいだし、メルアドを知られてもスパムメールに鬱陶しい思いをするだけで、致命的な損害を被ることもない。(とるに足らない)個人情報の保護と(例えば)犯罪捜査への協力を天秤に掛ければ、どちらが重いかは常識的に考えれば誰にも直ぐ解かりそうなものである。

ところで、退去者に連絡した時に、こんな質問をしてみた。
「○○さん、盗難届けを出した自転車というのは、返ってこないと困るような自転車でしたか?」、と。
「う〜ん、あの時は『うわぁ、盗まれちゃった!』と届けを出したけど、もう相当にガタがきてたし、本当はもうイイんですよね。でもせっかく警察が連絡してくれたんだから受け取りに行きますよ」との答え。

私はアパートを訪問する度に、その部屋のドアの前に置いてあった自転車を見ているから、警察官の話に、正直、「へえ、あんな自転車でも盗難届けを出すものかねえ」くらいに思っていた。だが、自分で届けを出して「見つかった」と連絡をもらったなら「処分しといてくれ」とは言えなくなる。互いに無駄なことをしている。

警察官も、「個人情報保護法が施行されて以降、我々の仕事もずい分とやりにくくなりました。皆が個人情報を護るという意識を持つことは良いことですが、ハッキリ言ってマイナス面も多いです。困ったものですね」と言っていたが、気持ちはよく解かる。

郵政民営化法案も個人情報保護法も、最初から完全なものでは有り得ないし、時代の流れによって修正を重ねる必要も出てくるものだろう。既に施行されている法律ではあるが歪が有るのは明らかなのだから、せめて「護るべき個人情報の範囲と、除外されるケース」の明確な指針くらいは早急に打ち出して欲しい、と思う。
posted by poohpapa at 07:07| エピソード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする