昨日、このお客様(記事前半部)の引越しの立会いに行ってきた。
入居時に何のリフォームもしておらず「現状渡し」であったので、当然に敷金は全額返還される。それは家主さんも了解している。
ただ、問題はその後である。私は、「次の募集に当たっては、汚れている壁紙は全て剥がして、全体クリーニングをして、トイレの壁紙だけは家主さん負担で張り替えておく、というのが良いでしょう」、と進言したのだが、家主さんが難色を示しているのである。
私からすれば、汚れたままお客さんに見てもらうのはイメージが悪く、せっかく見てもらっても断りが入る可能性が高くなるから、いくらスケルトン渡しの店舗と言っても、「ここまではやっておきましたので、後はお好きなようにリフォームしてお使いください」くらいのところまでは準備しておきたいのである。しかも、今回の短期貸しの床屋さんの前の入居者からはクリーニング代とリフォーム代の一部として10万を置いていってもらっていて、私は「それを超えない範囲での工事と清掃」ということで業者とも打ち合わせをしている。要するに、家主さんの持ち出しはゼロである。にも関わらず、自分は極力何もしないで、できるだけ次の入居者に負担させようと考えているようだ。
過去には、その物件ではこんなこともあった。
結果的に、家主さんの懐には残らなかったおカネではあるが、私としてはスジは通して、私は家主さんに損害を与えていない。
同じことを何度もゆっくり説明して、家主さんはやっとこう仰った。
「解かりました、○○さんがそこまで仰るなら・・・」
(良かった、これでようやく帰れる)
「息子ともよく相談してみますから」
(ズコッ!!、なんだよ、解かってくれたんじゃねーのかよ!)
疲れがドッと出た。会社に辿り着くのが精一杯だった。
会社に戻ってしばらくすると、その家主さんから電話があった。
「さっきのお話ですけど、工事の見積書はもらえるのですか?」
(はは〜ん、こっちが水増しするとでも思っているな・・・)
「はい、もちろんですよ。以前も見積書は出ていましたが、床屋さんが『現状で良い』とのことでしたので家主さんにお送りしていないだけです。10万をオーバーしている分は業者に値引きしてもらう話になっていました(本当の話)。それと、その10万は、前々入居者からお預かりしているおカネであって、もし余らせたならお返ししなければなりません。それを結果的にくすねた、ということになってしまったのでは家主さんも私も不本意で寝覚めが悪いものですよね。せっかく前々入居者が気持ち良く出してくださったリフォーム代ですから、残すことなく使わせて頂きましょう」、と言ってやった。
家主さんは「ああ、なるほど、そういうことですか。では息子と相談して」、と電話を切ったが、おそらく解かってはいないだろう。
私は床屋さんが入居時に依頼してきたエアコン清掃に対しても、本来は賃料10万の店舗を15万で借りてもらっていながら費用を出し渋る家主さんとの間に入って、業者に「短期貸しの床屋さんが退去したら必ずリフォームをお願いするから、前倒し、ということで面倒をみてもらえないか」、とお願いしている。今さら、「今回もリフォームは見送ることになったから」、などと言えるものではない。
ご高齢の家主さんと付き合うには、忍耐と根気が不可欠である。
2005年10月12日
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