2008年03月21日

その年収で部屋探しかい!?

去年の秋、一人の寡黙な青年が部屋探しで来店した。

30歳に近いその青年の職業は、土木関係のフリーターであった。

ネットの広告を見て店までやってきた青年は、「この部屋、まだありますか?」と、家賃4万の部屋の有無を訊く。うちの管理物件だったので部屋があることは判っている。紹介すると気に入って、直ぐ申込書を書いたのだが・・・、年収欄に「50」と書く。

「へえ〜、土木関係のフリーターの月収は凄いもんだなあ」と、一瞬思ったが、そこは年収欄である。それで、「これ、年収?」と訊くと、

「あ、はい・・・」と言う。

(オイ、家賃は4万で共益費が千円だから、それじゃ年収の全部が家賃で消えるだろ!、それじゃどうやって食っていくつもりだ!?)

「あのね、この部屋、申し込んでも審査下りないと思うよ」と言うと、落胆して、元々口数の少ない青年は更に口を開かなくなった。

「家賃、どうやって払っていくの?」と訊いても明確な回答はない。
現状では「自分で払えない」のは明白だが、ま、正直ではある。

収入面は不安だが性格は真面目なようだ。母親からは「いいかげん独立して暮らしなさい」と、家を出るように言われたとのこと。私も私の長男が25歳の時に家から出したから、母親の気持ちは解かる。

どこの不動産屋に行っても、間違いなく「審査は下りない」ものと思われたが、何かあれば家主さんに代わって私が対処すれば良い。

覇気もなく暗い感じの青年ではあったが、この青年を信じてみよう、と思った。というより、母親の思いに共感したのかも知れない。

それで、「私が言っているのは、あなたが申込者では審査が下りないということで、方法がない、ということじゃないよ」と言うと、怪訝な顔をしている。無理もない。不動産屋にとっては簡単な理屈であっても、お客さんには解からないことだろう。

「ご両親が健在なら、お母さんを申込人、あなたを入居者、お父さんを連帯保証人、ということにすれば、家主さんは受けてくれるかも」
と、助け舟を出すと、青年は少しだけ笑った。

考えてみれば「おかしな話」である。学生の申込みなら、年収50万どころかゼロなんだから、学生はOKでフリーターはダメ、というのは理に適ってない。もっとも、最近の学生にはバイト長者は多いが。

申込みを入れて審査は下りたものの、結局はキャンセルしてきた。

そして、半年後・・・、その青年から再び電話があった。

「こないだの部屋、まだ有りますか?」


残念ながら・・・・・、(この不景気で)まだ有ったたらーっ(汗)


青年は、半年がかりで契約した部屋で、一人暮らしを始めている。

何事もなければ応援などしないけど、まずは一人で頑張れよ!わーい(嬉しい顔)

posted by poohpapa at 08:30| Comment(6) | お客さん(入居者) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
仏心の悪徳不動産.....顛末は如何に!!。

 弱いんだよねこの様な弱気で真面目で宙ぶらりんの独身青年(チョット年が食い過ぎか?)に、
ヨシ!!俺の心意気で一肌脱ごう、この青年を自立出来る様に教育してみよう..。

 さてお楽しみ...。
 本当の「悪徳」が試されますね。

 好きよ...その心意気大好きです。
Posted by goen at 2008年03月21日 11:36
毎日楽しく読ましてもらってます。

このような配慮が出来る男こそが、男の中の男じゃないですか!?

誉めすぎ・・・爆

リターンなしの高リスク頭が下がります。
Posted by まねき at 2008年03月21日 12:09
こりゃ門前払いかなと思いきや、部屋探しの経緯を聞き出し、人間観察を瞬時にしてアドバイスをする・・・。不動産屋さんは「人を見る術」が多分に求められる仕事なのだと感じさせられました。

実家に住まわせておけば、お金は最小限のリスクですみますが、自立心が育たない。だから結果的に多少のお金がかかっても、息子に人生勉強させたいと、この青年の母親は感じたのかなぁ・・・とか思いました。

不動産屋さんも商売でしょうが、粋もなければできませんね〜!
Posted by コロラド at 2008年03月21日 17:27
goenさん、こんばんは

この青年、寡黙ではありますが、感じは悪くなかったんですよ。

その歳で、年収50万でも部屋が借りられる、と疑いなく信じてたようで、世間ズレしてなかったですし。

実は、この青年の件では、少し光がさす後日談がありまして、いつかご紹介させて頂くつもりです。宜しければご覧くださいませ。

いつも有り難うございます。
Posted by poohpapa at 2008年03月21日 20:42
まねきさん、こんばんは

いつも有り難うございます(*^^)v

<<このような配慮が出来る男こそが、男の中の男・・・

もっと言って、もっと言って!(爆)

<<リターンなしの高リスク・・・

いえ、ちゃんと手数料もらってますし^_^;

でもね、不動産屋の手数料・・・、他の業者さんもたいていはそうだと思いますが、2割くらいはお客さんや家主さんに何かの責任を取る形で消えていくんですよ。あ、愚痴言っちゃいました、すみません。

今後とも宜しくお願いします。
Posted by poohpapa at 2008年03月21日 20:50
コロラドさん、再び、こんばんは

不動産屋は粋でなければ、というほどのこともありませんが、遊び心は必要ですね。話していて面白くない営業マンが「良い仕事」ができるワケがありません。あ、でも、遊び心ばっかりでもダメですが(汗)

この商売をやり始めた時は、先輩から教えられたマニュアルどおりの対応をしてまして、ほとんど融通を利かさないで営業してました。

でも、保証人はイザとなると当てにならないし、本人は逃げるし、で、結局は自分の目しか信じないことにしました。同業者からの申込みで、審査を下ろす時点で自分が本人と会っていない場合は別にして、今は本人だけで判断することにしています。

本人がダメなら保証人もダメ(これは100%確かなこと)
本人が確かなら保証人の内容は問わない。これで事故は皆無です。
もし、何かトラブったら自分が責任を取るだけの話。そう覚悟しています。なので、この青年がコケたら私も共倒れになります^_^;

きっとこの青年は短期間で変わっていく、と、私は信じています。
Posted by poohpapa at 2008年03月21日 21:24
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