家主さんから「或るご依頼」を受け、それを受けさせて頂いたら、家主さんから「そしたら来月から家賃を5千円下げさせてください」とのお申し出があった。私が受けた依頼内容なんて、どれほどの手間も掛からない。対価にすれば100円にもならないようなことで、辞退をさせて頂いたのだが、「その分で奥様と月に一度くらいは美味しいものでも食べに行ってきて」、とまで仰る。
こんな場面、どこかで見たことがあるような・・・、と思っていたら、
「ゴルゴ13」に有った(*^^)v
年老いた父親がミルクの空き缶(牧場で使っている大きな缶)を定期的に家の前に出すことをゴルゴ13から依頼されていて(父親には誰が依頼主か判っていないのだが)、ミルク缶が出してなければそれが何かの非常事態の合図になっていて、たったそれだけのことをするだけで高額な報酬が毎月振り込まれる、というもので、父親が息子に「私が死んだらお前が引き継ぐんだよ。それだけで高額な年金をもらえるんだから」、と言っていて、まさに、その話に匹敵する。
で、押し問答の末にお受けさせて頂いた。お気持ちが凄く嬉しい。
ハッキリ言って「不動産屋をタダで使おう」という家主さんは多い。「不動産屋を何だと思ってるんだ!」、と怒りたくなる時もある。
家主さんは「オタクに管理を任せているんだから」というお考えなんだろうが、入居の募集や更新契約を任せている=管理を任せている、にはならない。管理料を支払っていて初めて「管理をさせてやっている」になる。管理料や都度の対価を支払わずに「あれこれ依頼する」「不動産屋の責任として処理させる」のは、プロに「無償で働け」と言っているようなものである。
そのことを理解できないでいる家主さんは実に多い。だからと言って「常に対価を支払ってくれ」と言っているのではない。
仮に「本来は対価が発生するものですよ」ということを言ったなら、どんなに柔らかく説明しても、関係は拗れてしまうものだろうし。
もちろん悪意でなく、「そういうものだ」とご存知なかったり、昔から「サービスはタダ、という感覚が染み付いていて」ということもあるだろう。不動産屋が教育していないのがいけない、とも言える。だが、世の多くの不動産屋はきっと私と同じことを考えていると思う。我々不動産会社が求めているのは、管理料という対価より「心」なのだ。
もっと言うなら、「家主として自分の責任で自分ですべきこと」と「管理会社の責任ですべきこと」の区別を正しく認識して欲しい、ということ。そして、本来は家主として自分ですべきことを管理会社に依頼するなら、せめて「労いの心」は持っていて欲しい、ということ。それが伝わってきさえすれば対価は無くても気持ちよく働けるのだ。
NYの家主さんからの電話を切った後、「せっかくのご厚意だから、これから月に一回は贅沢な外食をしよう」、という話になった
