件名は、everyday read
(43)とあるから、その前に42話あることになる。「悪い口癖」シリーズの(43)てことかも。
悪い口癖(43)
六十歳になる石井に再婚の話が持ちこまれた。相手の女性は四十八歳。これまで独身を通してきた人だという。
縁談を持ってきたのは息子の嫁で、「とにかく一ペン会ってみたら????」と勧める。
「だけど、この齢で再婚というのもな????」
石井はあまり乗り気になれなかった。妻とは十五年前に死別し、いまは息子夫婦と別居して独り暮らし。不自由なこともあるが、気ままに過ごしている。
「せめてもう十年も前ならば、わしも考えないではないが????」
石井が正直な気持ちを言うと、息子の嫁はムキになってたしなめた。
「おとうさん、その口癖、やめたほうがいいわよ。何かと言うと、十年も前、なんだから。まだ老け込む齢じゃないでしょ」
「まあ、それはそうだ??????」
「大丈夫、相手のひとだっておとうさんの年齢は十分承知しています。こんないいチャンス、二度とないわよ」
石井はとうとう押し切られて、相手の女性に会うことになった。
会ってみると、石井が想像していたよりも若わかしい女性だった。着ているものも落着いた色調でセンスがいい。
「どうも、始めまして?????」
石井は型通りのあいさつをしたが、気持ちははっきりと弾み出していた。
「こちらこそ、よろしく????」
相手はにっこりと微笑んだ。さすがに目尻に皺はできたが、はなやかな笑顔だった。
__こんな魅力のある女性がなぜいままで独身だったのだろう?
石井はあっけにとられる思いだった。
話してみると、言いことは齢相応にしっかりしている。相手をまっすぐ見る話し方に気の強さも感じられたが、石井はそれも好ましかった。何よりもときどき見せる彼女の笑い顔がすっかり気に入った。
__これから先の人生、この女性といっしょに過ごせたらどんなにいいだろう。
会話の間、石井の頭にそんな思いがしきりに浮かんでくる。 いっしょになるとして生活面は薬局を経営しているのでまず心配ない。気になるのはやはり年齢だった。
まだ若さが残る相手に比べて自分は六十歳。齢をとり過ぎたという思いが先に立つ。そんな引け目を感じた石井の口から、ふといつもの口癖が飛び出した。
「こうしてお会いするのが十年も前でしたらね、私はすぐにもプロポーズをしたんですが?????、残念なことをしましたよ」
石井は彼女に対する好意を精いっぱい表したつもりだった。
だが、石井がそう言ったとたん、彼女の表情が急に固くなった。彼女は冷たい目差しをむけると吐き捨てるように言った。
「失礼なことを言わないでください。十年前でしたら、わたし、あなたとお見合いなどしていません!」
(原文のまま)
実話を元にした話かどうかは不明。「ユーモアメディア」と言いつつちっとも明るくない。うん、まあ「あるある」という他愛もない話。でもって、年齢差12歳・・・、うちなんか16歳と8ヶ月も離れてるけど年齢差で違和感を感じたことは一度も無い。この話のお見合い相手の女性が、「十年も前でしたらね」と言われて怒るのが私には解からない。腹の中で思っても聞き流せばいいだけのこと、プライドが高そう。
年齢差による違和感は本人同士の価値観次第。3歳差でも違和感がある時(相手)もある。
このネガティブ思考の親父、お友だちにはしたくないタイプ。自分に自信が無いのと謙虚とは違う。卑屈になるのとも違う。私の場合は、「俺と同じことができると言うならやってみろ!」という傲慢さと、「お陰さまで」という謙虚さ(感謝の心)の両方を備えている。だが、損得を考えて相手によって使い分ける、なんてことはしない。損得が行動の基準になることは無い。ネガティブ思考だったり計算高い人間は大嫌い。
まあこれ、相手の女性に「この男と暮らしていても楽しくない」と看破されたに過ぎない、そういう話。商売をしていて、たまに、度を越して感謝の言葉を並べる人がいて閉口する時がある。程度問題であって、感謝の度が過ぎると不快になる。伝え方が下手なだけかも知れないけど・・・、国語の能力は大事。
この話の前にあるハズの42話は、読まなくてもいいかな。あまり参考にならないし他で使えそうもない。
あ、そういうことが言いたかったんじゃなくて、ただ「頼んでもいないメルマガが届いたよ」という話ね。
でもって、いつものことですがコメントの返信、少々お待ちください。今日は店に出ます、定休日だけど。