当社の管理物件に中国人の家族から申し込みが入った。部屋は、例の「中国人の業者が中国人客を案内して電気点けっぱなし、窓開けっ放しにされてしまったアパート」である。問い合わせをしてきた業者さんにはその話もして、「もしかすると審査が下りないかも知れませんが、お客様の内容を拝見してから家主さんと相談してみます」と伝えておいた。たいていはその時点でテンションが下がって案内もして頂けなくなるものだろうが、業者さんはチャレンジャーであった(*^^)v
実は、私は当社に飛び込みで来店したお客さんに、よく「大手さんで部屋探しをするなら、A社とM社とH社はやめたほうがいいでしょう。大手で、良心的なのはP社ですよ」と話していて、そのP社である。
業者さんからの申込書のFAXに添え書きが付いていて「とても人柄が良い方なので宜しくお願いします」とのこと。そういうのは大事である。元々が私は「何度騙されても人を信じたい」タイプの人間なので、私同様に中国人に嫌悪感を持っていらっしゃる家主さんを説得して審査を通して昨日の契約を待っていた。
来店した中国人は、「日本人の中にもあれほどの人格者はいないかも」と思わせる人物で、上辺だけで言っているのでなく、日本にいて今の日中間の外交的な軋轢や反日暴動に心を痛めているようであった。私が日頃から言っているように「自分が母国を代表している」という意識をしっかり持っている人である。
契約が終わり、直ぐに家主さんに報告すると、家主さんも安心してとても喜んでくださった。
夕方になると、今度は先日の記事の韓国人営業レディが上司を伴ってやってきた。うへっ、私は新人研修に協力するつもりで機種名などのアンケートに答えただけなのに、提案書を持ってくるって!?
その上司、店に入るなり「社長さんのブログ、以前から拝見してました」だと!

「汚ったねえ」である。ブロガー心理を突いて最初にしっかり外堀を埋めやがった。こういう奴は信用できない。どうせ社名から検索してブログに当たって、いくつかの記事を流し読みして話を合わせているだけだろう。魂胆がミエミエで姑息である。以前取材に来てくださった某新聞社の若い女性記者さんは、いくつか質問するだけのために私の本まで購入して相当に古い過去ログまで読んでいてくださったのだが、それに比べたら、この上司の言葉の軽いこと、「適当にあしらって早々にお帰り頂こう」と思っていたのだが・・・、
ちょっと違っていた。
いや、どうせマトモに読んではいないのだろうが、ハートがある。部下に対する思いやりに溢れているのだ。もしかすると「大事な部下が変態不動産屋の餌食にならないように」と、私を見極めにきたのかも

彼女を面接して採用したのもその上司なんだとか。最初は(書類選考の段階で)少し迷ったそうだが、とにかく面接してみようと考え、面接してその上司の判断で決めたとのこと。先日のブログで私は、彼女が「本当は不動産会社に就職したかった」と言っていて、それに対して宅建試験を受けるよう勧めた、と書いているが、ということは「会社を辞めなさい」と言っていることになるのだが、そんなことが書いてあれば「勝手なことを言わないでくれ」と上司はカチーンとくるもの。だが、その上司は違っていたのだ。
「社員が夢を持っているのは良いことで、その夢の実現に向かって本人が努力するのなら、会社(上司)としても応援してあげたい」と言うのだ。つまり、それだと過程や結果によっては社員が退社してしまうことになるのだが、「それでも良い」と言うのだから何とも懐が深い。今時そんな会社は少ないだろう。
会社側はいつまでも社員を縛り付けておく気はないのだから、逆に、使い捨てにしない方針であることも分かる。ならば社員が会社に見切りをつけて辞めていくことも少ないだろう。
辞めていくとしたら会社に見切りをつけたのでなく、自らに見切りをつけたから、であろう。もちろん、本人は気付かないだろうけど。
実は、せっかくお持ち頂いた提案書だが、1時間以上も話していてもその話は全く出ず、最後に資料を置いていったのみ、である。当社への営業戦略としてはそれが正しい、と私も思う。
ああいう上司なら彼女を上手く導いて伸ばしていってくれることだろう。それは嬉しかった。ある意味、会社も社員も「顧客が育てる」部分が大きいと思う。それに気付かない企業や営業マンも多いが、たいていは淘汰されてしまうことになる。私は、いい営業マンが来てくれたなら、そういう面での協力は惜しまない。我々営業に最も必要なもの、それは「商品知識」よりも「感謝の心」と「ハート」なんだと思う。
昨日はもう一つ面白いことがあった。彼女が「先日お伺いした時にボールペンを持ち帰ってしまいました」と返してくれたのだ。そんなボールペンなど気にして頂くことなどないのだが、人柄がよく表れている。もし、わざと、だったとしたら凄い。これは営業テクニックとして使えるかも

ナンと言っても、相手は韓国人だから「後で返す」なんてことは今までの経験では有り得ないこと。そのことでハッキリ分かるのは、彼女のご両親が立派な方である、ということ。いろんな若者と話したり接していて、「親はどんな育て方をしたんだ!」と呆れたり、ちょっと話しただけでも「ご両親の立派な人柄が伝わってくる」ことがある。これは、彼女より「そういう人に育てたご両親が偉い」と思う。ま、それほど感心することでなく日本人であれば当たり前のことなのかも知れないのだが。
正直に返してくれたので、交換に、昨年私がミュンヘンのBMW博物館で購入したボールペンをあげることにした。今夏のドイツ旅行で、現地ガイドさんが忘れていなければ「3本買っておいてくれるハズ」だから。
ちなみに、そのボールペンがこれ(既出)で、とくに高級品ではないが、さすがにBMW、センスがいい。


話していて、彼女が上司を信頼しているのがよく伝わってきた。そういうのはとても気持ちが良い。その会社の前途は磐石だろう。社員を使い捨てすることなく、しっかり「人材」として考えているのだから。
今、私は思っているし、期待もしている。
この、たった一人の若くて謙虚な韓国人女性が、もしかすると、長いこと私の心に深く巣食っている嫌韓意識を変えさせてくれることになるのかも・・・、と。
国同士の政治や外交問題、歴史認識問題は置いておいて、日中韓においてはとくに、正しい(正常な)お付き合いをする為には民間でのハートのある交流や信頼関係の構築から始めなければならないものだろう。残念ながら日本人も含めて、そういう意識の足を引っ張る人たちは多い。気が遠くなるような作業ではある。
posted by poohpapa at 08:23|
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