2009年12月06日

好きなように料理してやってください

先日記事にした、ワケありのお客さんが紹介してくれた「もっとワケあり」のお客さん、先日、案内して申し込みをもらったのだが・・・、

「昨年の源泉徴収票(収入証明)が出せない」とか「年収は、不動産の仕事も含めての話で、そっちは収入証明が出せない」とか、先方の管理会社から「イマイチ内容が不透明なので本人に一度来店してもらってくれ」と言われて「そんなうるさいこと言うならもういい」とか言い始めて、さて、どうしたものか、と思っていると・・・、

管理会社の女社長から電話があった。以前は当社の並びに店が有ったので私は年中お茶を飲みに行っていて、その社長とは旧知の仲で何でも遠慮なく話せるから、裏ではこんな遣り取りをしていた。

「その人、こないだ見せた3DKでなくちゃダメなの?」
「べつに、かまわないと思うけど・・・」

「だったら西砂(立川市の中では僻地)にレンガタイル貼りの3DKがあって、そっちのほうが2万以上も安いんだけど、そこまで引っ込めないかなあ?」
「そんなことないと思うよ。安けりゃ安いほどいいんじゃないかな」

「なら、そっちにしてよ。うるさいこと言わないで審査通すからさ」
「審査を通してくれるならそっちでいいな、今度見せてやってよ」

で、数日前、その僻地の物件を案内したら一発で気に入って契約する事になった。実は最初に申し込んだ物件は広告を打てば直ぐ決まる物件で、後のは何度広告を打っても決まりそうにない物件である。それでも本人たちが気に入って申し込んだのだから問題は無いが。

だいいち更新をせず退去する期限までに10日ほどしかなかったのだから、あれが嫌だ、こうしてくれ、などと言えたものではないのだ。

まあ、管理会社からすれば、そっちで申し込んでくれるならワケありでも何でも審査を通すつもりだったろうし、私も「自分の置かれた立場や状況が解かってなくて贅沢ばかり言っている」のと「そんなの聞いてないよ!」という話を後になってぽろぽろ出してくる客にそろそろ愛想がつき始めていたので、女社長にこう言ってやった。

「かまわないから、好きなように料理してやってください」、と。

もし、物件が気に入らなくて、或いは管理会社から断りが入ったなら、日にちも無いことだし以前見せて気に入らなかった当社の貸家に決めるしかなくなるので、私としてはどちらに転んでも良かった。その時は調理人が代わるだけのことである。ま、そういう客だ(*^^)v

そのことを後でワケあり紹介者に話すと、腹を抱えて笑っていた。

2万以上安い物件にはなったが、それでも手数料は8万近く入る。それで、近く紹介者とその旦那さんにご馳走することになった。

客はいいように料理され、紹介で儲けた不動産屋は宴会をひらく。

めでたし、めでたし、であるわーい(嬉しい顔)

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2009年11月27日

間違えるか〜?ふつう!

76歳の高齢男性が来店した。年齢の割にはシャンとしてはいたが、とにかく強烈なニンニク臭で、少し話していただけで鼻から脳天に抜けるような頭痛がしてきたし、涙目にもなってきた。

生のニンニクでもかじったのだろうか、餃子なんかではあそこまでは臭わないと思うのだが、正直、商談どころではなかった。

私自身は、商売をしているので基本的に(翌日が定休日の)火曜の夜だけしかニンニク料理は食べない。それ以外はニンニクの入った料理は極力食べないようにしているのだが、たまに入ってしまっていることもあって焦ったりする。だから店にはモンダミンを常備している。ま、一口食べて「ニンニク入り」と気付いても平らげるが^_^;


そのお年寄り、月17万の年金が入るとかで「予算は5万まで 風呂は無くてもいいから安いほど良い」とのこと。身寄りは無いが生活保護は受けていない。

3万の風呂なし物件を紹介すると「ああ、これで充分」と言う。物件は現空だが、車で案内する距離ではない。と言っても、見かけは実年齢よりずっと若いが、歩くのは相当遅い。左右の足を5センチずつ小刻みに前後する歩き方なので徒歩での案内はキツイし、お年寄りを待たせて駐車場まで車を取りに行ってくるのには10分くらい掛かるし、それに、あのニンニク臭である。悩んでいると・・・、

「これ、場所わかるから、先ず自分で外側を見てくるよ」とのこと。

助かった!、である。

それでも、お年寄りが出て行った後、直ぐに家主さんに電話して、「こういう内容のお客さんなんですが、もし申し込みが入ったら受けて宜しいでしょうか?」と伺って、了解を取り付けていた。

翌日お年寄りから電話があった。室内を見たいと言う。

次の日に現地で3時に待ち合わせることにして、私は約束どおり3時にアパートの前で待っていたのだが・・・、待てど暮らせどお年寄りは現れない。携帯を持っていないので連絡はつかない。

ひょっとして、店で待ち合わせ、と勘違いしている可能性もあるので一旦店に戻ってみたが、店の前にもいない。自宅に電話してみたが出ない。ということは、やはり遅れてアパートに向かっているのか、と思ったのだが、アパートには現れなかったようだ。

どうして判ったか、というと、家主さんが大工さんで、今、アパートの改修工事をしていて一日中そのアパートにいたから、ということと、夜になって私がお年寄りに電話して訊いたから、なのだが・・・、

私が「アパートの前でずっと待っていたのですが・・・」と言うと、それまでと打って変わって話す速度がゆっくりになった。

「ああ、まちがえてほかのとこにいっちゃったみたいで・・・」だと。


有り得ない言い訳、である。そのお年寄りが物件の場所を間違えることはない。長年地元で暮らしていて土地勘もあるし、前日に下見してその物件の特徴を私に話していて実際と合致しているのだから。

「他の不動産屋に行っちゃったんですか?」と念押しして訊くと、

「あ・・あ・・、ああ、そうかもしれない・・・」とのこと。

「行っちゃった」と言うより、「逝っちゃった」のほうが適切か爆弾

ここまで読むと、「その年寄りは呆けが入っているのでは」と思われるだろうが、頭は普通に明晰で、縞々健忘症でもなさそうである。

要は、「何股もかけている」のである。私が「現地で待っていた」と話しても「申し訳ない」という雰囲気でもない。かと言って、呆け老人を装っているのでもない。一言で言えば、「不動産屋を何とも思っていない」というのが一番当たっていると思う。

「どうしますか?、明日ご覧になりますか?」と訊くと、「そうだね・・、みてもいいけど・・・」とのこと。なんか、嫌な言い方である。

「なら、現地で家主さんが工事しているから一声掛けて見せてもらってください」と言うと、「ああ、そうだね・・・」と気乗りしない返事。

そうは言ったものの、このお年寄りが回りまわってその物件に申し込みをしてきたとしても審査は通せない。いろんな意味で怖いから。
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2009年11月09日

ワケありの人が連れてきたワケありの客

当社で既に6回も部屋を契約してくれたTさんから、「ワケありの友だちを連れて行くから、部屋を紹介してあげて」と電話があった。

そういう本人もワケあり、である。入籍せずに13年も付き合っている旦那がいる。その旦那には女房がいる。だからワケあり、なのだが、私はその前から知っている。旦那と知り合ったのは私とより後だ。

あ・・・、私とはそういう関係ではないので誤解なきようふらふら

Tさんが当社でしか部屋探ししないのは、「他に行くと最初から説明をしないといけなくなるから」なのだが、私とは阿吽の呼吸で互いの心情や考えを解かり合える。それが何より嬉しい。

私は「ワケあり」のお客さんが好きだ。なぜなら、自分の置かれている状況が解かっているのでアドバイスを素直に受け入れてくれるから。時には我侭の凝り固まりのような人もいるが、わりと少ない。

で、連れて来たのは52歳の無職の女性。28歳になる娘がいて、来年2月に出産予定の、言わば出戻り娘。旦那はタクシー運転手で、奥さんとは別居1年半だが離婚は成立していない。二人は旦那が奥さんと別居した後に知り合っている。その顔ぶれで暮らそうというのだからややこしい。それでは他の不動産屋には行きたくないのも解かる。現に、他の不動産屋を当たってみたが不調に終わり、Tさんに相談して、「だったら、ワケありでも相談に乗ってくれる不動産屋を紹介してあげるよ」と連れてきたものだ。私は「ワケあり専門」ではないのだが、このご時勢、紹介そのものは非情に有り難い。

当初は、娘の話、しかも「ポンポコリン」のお腹のことは聞いていなかったから2DKの部屋を紹介するつもりだったが、3DK以上は必要になるので方針変更。2件案内したうちの1件を気に入ったので、まさに今日、旦那が見て気に入れば申し込みが入る・・・、たぶんたらーっ(汗)

私はその女性のことはよく解からない。だが、Tさんのことは今までの付き合いで全面的に信頼している。だからその友人も信用する。

ちょうどお昼頃になったので私の奢りで一緒にランチをする事になり、食べ終えてレジで支払いした後に、二人に向かってこう脅した。

「飯まで奢ったんだから、まさかこれで申し込まないとかキャンセルとかは無いよね。もしそんなことしたら後が怖いよ」、と。

100%決まる確信があるからそんな冗談も言えるが、酷い不動産屋があるもんだわーい(嬉しい顔)

でもって、申し込みが入ってからが私の本当の仕事になる。

物件は当社の管理物件ではないから、上手く元付(管理)会社に説明しなければならない。ふだん仲良くしている同業者だが、正直に内容を話して、その上で不審に思われずに審査を下ろして頂けるよう細心の注意を払い、契約時には付き添う必要もあるだろう。

まあ正直なところ、契約期間である2年間借りているかどうかは微妙であろう。そのあたりは同じワケあり(実情は不倫)であっても「どちらかが死ぬまで添い遂げる」であろうTさんとは基本的に違う。

それなりに難しい条件があるものの、最初から本音でボロクソ言い合って、とても気分良く仕事ができた。きっとTさんは友人に「心配しなくても大丈夫だよ。その不動産屋だって不倫から結婚してるから」くらいに話してあったんだろう^_^;


契約が無事に完了して仲介料が入ってきたなら、私より遥かにグルメなTさんに、今度は少し豪勢な食事でも奢ってあげようと思う。
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2009年11月08日

せっかく来店してくれたけど・・・

店番をしていたら、珍しく若いカップルが来店・・・したのだが、

二人ともジャージ姿で、彼氏のほうは見るからに水商売。どこで知り合ったか彼女のほうは素朴で可愛い女の子。スレてもいないふう。

彼氏の職業は、私でなくても、誰が見ても判る。ホスト、である。ただ、話していると感じもいいし、けっこう将来を見据えていて、自分はいつまでも現役でやる気はなく近々店を持つ予定、とのこと。

ジャージ姿・・・、さっきまでこの格好で家で寝てました、という雰囲気も良くないが、座る姿勢も良くない。足を大きく開いて少し斜めにもたれかかっていて私を正面から見ない。

私は、早々に「この二人の部屋探しはしない」と決めて、部屋探しで不動産屋を訪れる時の心構えだけ教えることにした。挨拶の仕方、最低限のマナーとも言える服装や言葉遣い、椅子に座る時の姿勢、そして何より、「ドアを開けて入ってきた時から審査が始まっていて、それは申し込みをするかどうかに関係なく、それ以前に、紹介してもらえるかどうかが懸かっている」、ということを丁寧に教えてあげた。

もちろん、言って聞かせても無駄、というような相手ならそんな無駄なことはしない。ちゃんと理解する謙虚さは持っている、と思えたからそうしただけである。もっとも、説教している私が営業中もジーンズ姿なんだから「お前が言うな」くらいの話ではあるのだがたらーっ(汗)

それでも二人は私の話を頷きながら聞いていて、店を出る時には丁寧にお礼を言って出て行った。根は気のいい青年なんだろうが、うちの物件を紹介するのも他社に紹介するのも躊躇われる。

おそらく、一度家に帰って出直して、どこか別の不動産屋に行って部屋を決めることになると思うが、私は全然それでかまわない。
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2009年10月19日

昨日は珍しく寝つきの良い日に

昨日は、珍しく多忙な一日になった。

先ず朝イチで、当店で一番のお得意様が「帰省土産」を届けに来てくださった。うちのと同郷の岩手ご出身で、女性ではあるが私とは遠慮なく下ネタも話せる間柄で、既に当社で6回も部屋を借りてくださっている。途中更新契約のお客様がご来店して中座したが、お昼ごろまでいろんな話で盛り上がっていた。ストレスがいっぺんに発散されるので非常に嬉しい。もちろん、お土産も・・・(^^ゞ

午後からは、以前うちの管理物件に入居していたFさんのご来店。以前どころか、つい数ヶ月前に退去したばかりで、一昨日、「以前◎◎ハイツをお借りしていたFですが」と電話があった際には、(そんなハズは無いのだが)敷金清算のクレームかな、と思えるくらいのタイミングでドキッとした。と言うか、以前Fさんが入居していた部屋はまだ入居者募集中である。それくらい退去から間が無かった。

一旦は郷里の青森に帰ったFさんだったが、一度東京で暮らした後は青森の暮らしには馴染めず、東京よりもっと職に就くのが困難ということもあって、逆Uターンすることになった。それで夜行バスで再上京し、部屋が決まったら直ぐ青森に戻って荷造りをするとか。

なので、現在は無職で、これから職を探すのだから本来はどの不動産会社に申し込みを入れても審査が通るかどうか微妙である。しかも、猫がいる。だが、以前うちの管理物件に入居していた6年間で滞納したことは無い。その実績は大きい。もちろん、それはうちだけに通用する信用で、他社にとっては信用基準たりえない。Fさんもそれが解かっていて再び当社を訪ねてくださったのだ。

以前の部屋もまだ有るが、「どうせなら心機一転を」、ということで以前より広めの1DKを紹介する事にした。バス・トイレ別でエアコン付きの2階の角部屋で、家賃は43000円。駅からはバス便だし築年数は古いが、買い物便は良く、環境も静かである。一発で気に入ってもらえて申し込みを頂いた。

家主さんに電話して、「ペットを飼育する場合、敷金は+1ヶ月ということになっていますが、こういう事情で初期費用を抑えたいので、そのまま敷金1ヶ月でお願いできますでしょうか?」とお伺いすると、「ああ、結構ですよ」と快諾してくださった。現在無職であることも話したが、過去の支払い実績のことも説明したので「(私を)信頼してますから大丈夫ですよ」と仰って頂けた。もちろん、当社の直のお客様なので家主さんの広告代負担が無いことも大きい。あ、これは業者にしか解からない話ではあるが・・・^_^;

家主さんにもFさんにも喜んで頂けたので私としても気持ち良い。

で、その後すぐ、別の更新契約のお客様。こちらももう14年入居して頂いているので気心は知れている。「たしか京都の裁判では・・・」などと更新料について疑問を投げかけられることもない。ご存知であっても口に出すような人でもないし。

まあ、同じ疲れでも、暇で疲れるより忙しくて疲れるほうがずっと楽である。しかも一日に4人と接して、全員が「互いに解かりあえて信頼関係が成り立っている」人で、こういう日は年間に何日も無い。

良いお客様のおかけで、昨晩はとても寝つきが良かった眠い(睡眠)
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2009年05月10日

「待っていた男性」の、その後

4月20日付けの記事「待っていた男性」の、その後(結果)です。

先日、改めて来店してくださって、こういう流れになりました。

裁判を起こしていて、裁判所の調停で「地主に対して新たに保証金として200万を支払う」ことで合意したものの、所謂「ケチが付いた」物件には住みたくない、ということで自分たちは住まず転売することにしたそうです。

私が、「200万支払ってでもその物件に住んだほうがいい」「売るなら、千葉の物件であれば地元の優良な業者に依頼したほうがいい」との理由で売却の依頼を受けなかったことで、「直ぐ売却できる」と言っている業者に依頼して、売れる目処は立っているとか・・・。

ただし、その業者は「正規の仲介料とは別に100万の手間賃を要求している」業者なので、私としてはあまりお薦めはできませんし、「直ぐにでも客が付く」という話も眉唾では、と思うのですが・・・。

それでも、自身の落札価格よりいくらか高く売れそう、ということでマイナスにはならないので依頼するようです。

で、改めて、「多摩地区で中古の一戸建てを探して欲しい」との依頼がありましたが、私は以下の理由で辞退しました。

一、しばらく、そう、半年くらいは冷却期間を置いたほうがいい
一、予算的にかなりキツイ(正直、碌な物件にしかならない)
一、中途半端な中古住宅を買えば後々の維持費が高くつく
一、その歳で不動産(中古住宅)を買わないほうがいい
一、老後のことを考えたら不動産でなく現金で持っているのが最善

わざわざピンポイントで千葉からお越しですし、「定年後、せめて家内を持家に住ませてやりたい」、と考えたとしても当然ですが、年齢的に住宅ローンが組めないので現金購入になります。伺うところでは、その男性の貯蓄のほとんどが住宅購入に消えていきます。

そのあたりは充分に説明したつもりですが、男性の意志は固く、直ぐにでも購入したい、とのことでした。もちろん、このまま賃貸だと「年老いて貸してくれる部屋があるのか」という不安もあるでしょうが見通しは明るいのです。近い将来、高齢者向けに賃貸市場は必ず整備されます。私の見込みでは3〜5年くらい、てトコでしょうか。

夫婦で共に手を携えて生きてきて、「最後は持家を」というお気持ちは痛いほど解かります。正直なところ、うちで紹介して決まれば購入予算からして60万くらいの手数料にはなりますから有り難いです。

ですが、気が進まないのです。綺麗事と言われようと、気が進まない仕事で利益を得たくありません。これがもし、半年後に訪ねてきて改めて依頼されたのならゴチャゴチャ言わずに受けるでしょうが。

これ、意見は申し上げましたが私の考え方を押し付けるつもりはありません。私は「こうしたほうがいいと思いますよ」と話しただけで、「こうしなさい」とは強要していません。決めるのはご本人ですし。

何年か後に、「あの人が言っていたのはこういうことだったのか」、と気付く時がくるでしょう。その時があればまたご相談に乗ります。


プライベートでもよくありますね。感情的にもつれて大きなトラブルになってしまうと何を言っても理解できないものですが、何年か経った時に、「あ、こういうことだったのか・・・」と気付いたりして。

ま、それでは遅いですし、気付かない人、気付こうとしない人、気付いても自説を曲げない人、いろいろいるでしょうけど・・・。

さて、誠実を絵に描いたようなこの男性と奥様、どうか幸せになって頂きたいもの、と心から思います。嫌味ではなく本当に、です。
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2009年04月20日

待っていた男性

調布での引越し立会いで遠出をしていたら、携帯に公衆電話から何度も電話が入っていた。運転中は「ドライブモード」にしてあるし、公衆電話からだと私から折り返し電話するワケにもいかない。

しばらくして、家主さんの御宅で打ち合わせをしていると、また電話が入る。ようやくに出ると、「今、お店の前にいるのですが、何時ごろお帰りですか?」、と訊く。その時点で4時で、「今、調布にいまして打ち合わせ中なもので、たぶん6時近くになると思いますが」、と答えると、「でしたら待たせて頂きます」とのこと。

なんでも「私の家を売却する相談に乗って頂きたいのですが・・・」とのことなので、「ああ、近所の方で出直してくるんだろう。でも、そんなに待たされるなら普通は他の店に行きそうなものだけど」、と思いつつ急いで帰社すると、電話の主は店の前で待っていた。

店に着いたのが5時半で、最初の電話が3時半だから、なんと2時間も待たせてしまったことになる。

店に入って頂いて用件を伺って、なぜ2時間もお待ちになっていたのかが判った。年の頃なら60代半ばのその男性は、遥々千葉のA市からバイクで来ていて、ピンポイントで私を訪ねてきていた。

携帯も持たず、ネットもしてなくて、以前新聞で私の本の書評を見て購入し「何かあったらこの不動産屋さんに相談しよう」と思っていたとか。それで五月書房さんに電話して私の連絡先を訊いたようだ。

そうは言っても私の専門分野は賃貸で、これは売買の話だし、しかも物件は千葉県なので、一通りお話を伺った後で地元の優良な業者を紹介して差し上げるくらいしか出来ないかな、と思っていたのだが、詳しく伺うと「裁判で係争中で、何社かに依頼したものの条件が合わなかったり断られたりしている」とのこと。業者が「せっかくの儲け話」なのに逃げ出してしまう気持ちも解かるような事情が有った。

男性は老後の棲家に、と競売で「定期借地権で建てた一軒家」を落札したのだが、以前の所有者は病死して子供たちも相続を放棄していた。以前の所有者は地主に保証金として1100万を支払っているが、それはおよそ40年後の満期に権利者が請求するまで返金されない。ただし権利者は死亡して遺族は相続放棄しているから請求されることも有り得ない。地主からすれば「ラッキー!」くらいの話だ。

にも関わらず、地主は建物を購入した男性に「新たに保証金1100万を積むよう」要求してきた。理不尽ではあるが、法的に言えば「そのこと自体は仕方ない」と思う。問題は別のところにある。

競売物件には明細が付けられていて、落札者が後々どんなリスクを負うことになるのか詳細に書かれているものだが、その資料には「新たに保証金1100万を積む必要があります」とはどこにも書かれていない。それは明らかに裁判所の手落ちである。現に八王子地裁での同様の競売物件の説明書にはちゃんと謳ってある。

と言うことは、(地主ではなく)裁判所を訴えれば十分に勝てる、と思われる。ただし、相当な時間も費用も掛かる。

男性は今までに相当な資料を集め勉強していた。地元のいろんな業者に当たって断られたり、売却できたら仲介料以外に(違法性が高いが)手間賃100万を上乗せするよう要求されたりもしている。

思い上がりかも知れないが、男性からしてみれば、私は「最後に行き着いた相談相手」だったのかも知れない。事前の連絡が無かったとはいえ店の前で2時間も待たされても文句ひとつ言わないし、2時間ほど話して店を出る時には「話を聞いて頂けただけでも落ち着けた」と涙ぐんでいた。その時間に、奥さんが待つ千葉県の自宅までバイクで帰っていく。

その男性の優しさと誠実さは充分に伝わってくる。

今の私は募集中の空室を多く抱えていて、ハッキリ言って、それどころではない。だが、私は、男性の相談に最後まで乗ることにした。仲介を引き受けるのではなく解決に向けて協力する、という意味で。


もちろん、報酬は一切要らない。



posted by poohpapa at 07:52| Comment(12) | お客さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月17日

唾を付けるな!

そろそろ店仕舞いしようかな、と思っていたら外で話し声がする。

年配の男が二人、広告を見て「これは遠いんじゃねえか」とか「これは木造だよ」とか言っている。年配の男同士、ということで内容は察しがつく。俺は帰りたいんだから入ってくるなよ、と思っていると、

入ってきた・・・ふらふら

「外に貼ってある☆☆コーポって、まだあるんかい?」と、いきなり訊く。「それは当社の物件でなく、よその会社で管理している物件なので問い合わせてみますが」と言うと、「古くても構わないから、他にも4万くらいまでで鉄骨ので何かないかい?」と訊く。

どうやら駅に近い物件を探しているようだし、鉄骨で風呂付の4万は厳しい。だいいち、この二人、私が欲しがっている情報を未だ話してくれていない。ま、話さなくても判っていることではあるが・・・。

借りるのは年長の男性のほうで、一人は付き添いである。雰囲気はさっきまで開催されていた競輪帰り、という感じである。耳に赤鉛筆こそ挟んでないが、きっとそうであろう。どう見ても競輪仲間だ。

問い合わせてみると、63歳という年齢でアッサリ断られた。別の物件でもう1社にも当たったが同様だった。そう伝えると、

「収入の心配なら要らないんだけどよ、俺は生活保護で役所が保障してくれるからさ」

やっと、私が「最初に聞かせて欲しかった話」が出たたらーっ(汗)

まあ良心的な人なんだろう。一人暮らしの生活保護の場合、住居費は5万以上出るのに安い部屋で決めようとしているのだから。

私が相談に乗っている間、本人はテーブルの上の資料を一枚一枚めくって全部に目を通していて真剣そのものなのだが・・・、

オイ!、ちょっと待て!、いちいち指を舐めながらめくるな!ちっ(怒った顔)

全部の広告にベットリ唾をつけてるじゃねえか!パンチ爆弾

今ここで私がこの男に殺されても、しっかりDNA鑑定できるだろう。

すっかりテンションは下がったものの、部屋は何とかしてあげなければならない。それで、こう話した。

「お客さんの年齢だと、当社から空室確認しても断られてしまう可能性が高いです。それは、本人に直接会っていなくて人柄が判らないということと、手数料を当社に分けなければならなくなる、ということからで、直接自分の会社に来てくれたなら自社の管理物件を紹介してくれることも有り得ます。お客さんの希望する条件だと、持っていそうな会社は限られています。このあたりでは◎◎不動産か★★不動産くらいでしょう。そちらに直接あたってみては如何でしょう」

残念ながら、当社の空室で希望条件に合うものは今は無い。

ついでに、「この不動産業者には行くだけ無駄」という会社も教えておいた。嫌な気分になるだけで、時間の浪費にもなってしまうから。

すると、★★不動産には既に行って、断られた、とのことだった。


オヤジ二人組は丁寧に礼を言って帰っていった。

私も、やっと帰れるわーい(嬉しい顔)
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2009年03月05日

ご迷惑をお掛けしたのに・・・

1年ほど前、当社の管理物件の2DKのマンションに入居して頂いたものの、わずか2ヶ月で退去なさったご家族がいらっしゃる。

原因は、上の階の入居者(独身男性)から度々「子供の声がうるさい」とクレームを言われたことであった。なんでも、上階の入居者は夜勤で昼間も寝ていることが多く、クレームを受けて奥さんは、昼間は近所の公園に子供を連れて行って、夕方まで時間を潰していたこともあったとかで、精神的にも追い込まれていたようだ。

今までにそのマンションで、そういうトラブルは起きたことが無かったので、私もそんなことになるとは思っていなかったのだが、理由はどうあれ、辛い思いをさせてしまったことには違いない。

さぞかし私のことも恨んでいらっしゃるだろうな・・・、と思っていたら、先日、ご主人がひょっこりお店にやってきて、「友達が二人、別々に部屋探しをしているので紹介しますね」、とのこと。

よく「気にしないでください」と言っていながら二度と会うこともない人がいたりするが、本当に怒ってない、と判ってホッとした。

部屋探しの内容上、二人とも当社で決めて頂けるのは確実である。

こういうのは普通のご紹介より格段に嬉しいわーい(嬉しい顔)
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2009年01月12日

昨日の女子大生さんの部屋探し

昨日の記事の女子大生さん、来てくださいました。

で、結論から申し上げますと・・・、

「今、予約して押さえてある物件でそのまま契約すること」をお勧めしました。と、いいますのも、かなり良い物件だったのです。

どれくらい「良い物件」だったか、というと、

23区内で、最寄駅から徒歩2分、池袋駅まで15分。3階建3階の角部屋で南向き、築浅、AC付き、お風呂は全自動、フローリング、BT別、システムキッチン、シンクも大きく調理スペースも広め。

礼金1、敷金1で、募集家賃は72000円、共益費4千円でしたが、管理会社が家主さんに掛け合ってくれて家賃は7万ちょうどにしてもらったとか。ま、どう見ても、その女子大生さんがキャンセルすれば値引きなどしなくても他のお客さんで直ぐ決まることでしょう。

90点は付けられます。減点部分は、今現在の部屋が8畳なので、やや狭くなることくらいでしょうか。「知らない業者での契約が心配」とのことですが、チラシやHPから受ける業者の印象も悪くはありませんし、何か有れば私がいつでも相談に乗るから問題ありません。

何より、「もっといい部屋はないか」、などと欲をかいている間に無くなってしまうかも知れません。それでは「虻蜂取らず」になります。


会社からの家賃援助は月1万とか。それでもって未だ何処になるか決まらない勤務地まで家から1時間以内に通える物件を探せ、というのですから、会社の言ってることは無理難題に近いものがあります。でもって、その会社、誰もが知っている有名企業でした。

正直なところ、今申し込んである物件を潰して当社で他の物件を紹介するのは簡単なことです。それでなければ私は儲かりません(^^ゞ

では、どうしてそうしなかったか、というと、母娘して私を信用してくれたから、という理由以外に、もう一つ、大きな理由があります。

実は、その女子大生さん、今「ひなたちゃん」がお世話になっている動物病院の院長先生のお姉さんのお友達の娘さんなのです。以前もそのご縁で部屋探しをさせて頂きました。うちの猫、ではありませんが「ひなたちゃん」がずっとお世話になっている先生の縁(ゆかり)の方ですから、儲けようなどと考えるのが厚かましいですね^_^;

「ご縁」というのは、どこで繋がって、どこで得をしたり損をするか知れません。少なくとも、いつも(出来る限り)人様に良くしていれば、自分に対してだけでなく自分の大切な人に返ってきたりもして、それで帳尻が合うものなんでしょう。

丁寧にお礼を言って帰っていく後姿を、しばし見送っていました。

うん、俺って、ちっとは良心的な不動産屋なのかもわーい(嬉しい顔)
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2009年01月11日

再び、女子大生さんからの依頼

昨年の12月6日付で記事にした「今春、大学を卒業して都内に就職が決まった女子大生さん」から再び電話があった。

なんでも、「新宿の業者から紹介されて申し込みを入れていた物件は結局断ってしまった」とのことで、今度は西武池袋線「大泉学園」駅から徒歩2分で賃料7万4千円の物件を見つけてきて、中も見て決めたのだが、お母さんが「新卒が借りる部屋としては高すぎる」とのことで難色を示していて、相談に乗って欲しい、とのこと。

実は、数日前、お母さんからは私の携帯に相談の電話が入っている。「相場的に仕方ないのでしょうか?」とのことで、地方にお住まいの親御さんからすれば地元なら一軒家が借りられる賃料に納得がいかないのも当然だと思う。

私は、「都内の今の相場からすれば仕方ないかも知れませんが、会社から若干の補助があっても毎月7万4千円を払い続けるのは大変かも」、と話していて、お母さんもそのことを心配していたようだ。

で、娘さんの話では、「母は『大泉学園の物件は断ってでも坂口さんに探してもらいなさい。何かあった時に相談に乗ってもらえて安心だから』と言ってますので探して頂けませんか?」、とのこと。

それで、「うちで探した物件でなくても何かあれば相談には乗るから気に入った部屋で決めちゃっても大丈夫だよ」、と言ったのだが、「お母さんと相談してそう決めたからお願いします」、と言う。

就職先企業からは、「配属は入社後に決めるので、勤務地が何処になるかは未定である。とりあえずは山手線に出やすい所に部屋を借りるように」とだけ言われたとかで、何とも不親切である。会社からの指示で、慌てて自分で都内の業者を廻って決めたようだ。


大泉学園の物件は「押さえ」にする可能性も有るから、タイムリミットは20日まで。この娘さんは元々ご紹介のお客さんだから、同業者の客付け不可(つまり、客付けしても手数料は出ない物件)であっても、良い部屋であれば紹介してしまうつもりでいる。

もちろん頂けるものなら頂くのであるが、以前に一度手数料は頂いているし、そこまで親御さんが信用してくださるならおカネにならなくても構わない。先々きっと何かで帳尻が合うものだろうし。

同じ時期(20日)迄に何とか部屋を探さなくてはならない切羽詰った厳しい条件のお客さんが他にもいて、今月は忙しくなりそうだ。
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2008年12月24日

自分の鏡

昨日のこと、夕方5時過ぎに、「今日はもう早仕舞いしようかな」、と思っていたところに20代半ばくらいのカップルが来店した。

正直なところ「うへ!こんな年の瀬に部屋探しかよ!?」、と思ったが、なかなか感じの良いカップルだった。

更新期限の関係で、できれば来年2月中旬迄に引っ越したい、とのことで、1月中旬には見つかってなければならない。今、業者に物件の問い合わせをしても、内容的に怪しまれたりもするから、昨日は詳しく条件だけ聞かせて頂いて、本格的な部屋探しは年明けから、ということにして雑談をしていたのだが・・・、途中で私が二人にこう訊いた。

「彼女、福祉関係の仕事してるでしょ?」

すると、二人は顔を見合わせて、彼女が、

「どうして判ったんですか?」、と訊く。

「笑顔と雰囲気ですよ」、と答えると不思議がっていた。

話をしていて、お年寄りに向けるような優しい笑顔になることが時々あって、ま、私もそういう対象だと感じてたかどうかは解からないが、雰囲気に滲み出ていた。

それで、こうも訊いてみた。

「お二人は結婚式も披露宴もするんでしょうね。でもって、費用は親に出してもらわず全部自分たちで出すのではありませんか?」、と。

それもドンピシャで、「え〜、そんなことまで判るんですか」と驚く。
ただの勘ではあるが、まんざら「当てずっぽ」でもない。それは・・・、

私の37年前の姿にソックリだったから、である。価値観、金銭感覚、親子関係、何もかも。だから、導き出される結論は一つだった。

お二人の部屋探しは急いでいる。更新せずに今の部屋を明け渡すには1月18日までに(2月18日には入居可能で希望条件に合った)部屋を見つける必要がある。年明け早々、私は全力で探し始める。

久々に、「このお客さんの役に立ちたい」、と思えたお客さんだから。


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2008年11月28日

いくらなんでも、その予算では

割と感じの良い30代半ばの男性が来店し、

「できるだけ安い部屋を紹介して欲しいんですけど・・・」と言う。

「どのくらいの予算でお探しですか?」と訊くと、

「1万円台、ってのは無理ですかねえ」、とのこと。

立川では風呂無しでも3万くらいはする。訊けば、職場が近くにあって、仕事で遅くなった時だけ寝泊りするだけだから風呂は無くていいけどエアコンは欲しい、とのことで、それなら必要な時だけカプセルホテルにでも泊まればいいように思う。

仮に家賃3万なら一日千円ということになるから、それで安全に寝られる場所が確保できるなら、それくらいの投資は仕方ないだろう。

3万の部屋をいくつか紹介したが、資料は持ち帰らなかった。

少なくとも、3畳一間でも家賃1万台の部屋など見たことないから、そのお客さんの部屋探しは難航するだろう。

帰りがけに、「可能性は低いけど、直接当たってみてはどうか」と言って、超格安物件を持っていそうな同業者を何軒か教えてあげた。

もちろん、感じの悪い客ならそんなことはしない。

印象、というのはとても大事なものだと思う。

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2008年11月20日

不動産業苦節18年、久々に巡ってきた美味しい話

「久々に巡ってきた」というより「帰ってきた」話、ではあるが、

店番をしていると、ひょっこり珍しい顔(Kさん)が入ってきた。

そのKさんとのエピソードは過去にも記事にしているが・・・、

「久しぶりじゃん、どうしてたんだよ?」と訊くと、「いやあ、いろいろ有ってさ・・・」と苦笑いする。それで私にはだいたい察しがつく。

「また奥さんのことでしょ?」と訊くと、「うん」と言う。

「うちのがまた家出して、200万も借金してたんだよ。だから、これからそれを清算しなくちゃいけなくてさ、頭痛いよ、まったく」

聞けば、この10年間で家出は10回以上、その度に捜索費用やら借金の清算やらで費やしたカネが1千万以上、とのこと。それで「どうして別れないのか」、私は理解に苦しんでいる。私なら、家出してくれたのを幸いに、絶対に探したりはしない。ま、ハッキリ言わせてもらえば「穀潰し(ごくつぶし)」の女房でしかない。

Kさんに少し遅れて店に入ってきた奥さんは、Kさんの苦労をよそにアッケラカンとしていて、まるで他人事である。「ダメだこりゃ!」である。奥さんが所用で店を出ると、Kさんの怒涛の愚痴が始まった。

思い起こせば10年以上も前のこと、しょっちゅう「ヒマか?」とばかりにうちに出入りしていたKさんの相談に親身に乗っていたのだが、或る時「女房が家出しちゃってさあ・・・」と相談に来た際に、話を聞いて即座に、「Kさんさあ、そんな女房、別れなよ。くっついてても絶対にイイことないから」、と真正面から本音をぶつけたのだが・・・、

Kさんはテーブルに置いてあった灰皿を振り上げて私の脳天に振り落とそうとした。そりゃそうだろう、未練があるから悩むのであって、諦めがついているなら相談になんか来ない。自分でもそう思っていたとしても人から言われれば頭にくるのは当然である。

しばしの睨み合いの後、Kさんは灰皿を静かに下ろしたが、逆上していたから、一歩間違えば私は死んでいたかも知れない。それくらい危険な要素を持っている人なのだ。

そうであっても、相談を持ちかけられれば本音を言ってしまうし、激論になることもしばしばある。いくら途中で降りたりしないでトコトン付き合うのが私の持ち味だといっても、ちとヤバかった。

結局別れずにいて、今日までの10年余りの間に、家出回数は10回を超えることになった。で、先日、うちに来て、しみじみ言う。

「やっぱり、あの時に言われたとおり別れてたら良かったね」、と。

それで、こう話した。

「Kさんはダメンズウォーカーの逆なんだよね。ダメ女しか愛せなくて、どんなに苦労させられてもカネがかかっても捨てることが出来ないんだよ。でも、奥さん何も解かってないからこの先も更に苦労させられることになるし、今からでも別れた方がいいと思うよ」、と。

実は私は、過去にKさんが付き合っていた女性の何人かと会っていて、いずれの女性も今の奥さんとは比べ物にならないくらい可愛くて賢い女性ばかりだったし、今でも電話一本で飛んでくる女性が何人もいるとのことだから、なんで離婚しないのか不思議なくらいだ。

「Kさんさあ、たぶん、何度も家出されて、さんざん苦労もカネも掛けさせられたから、それで別れられなくなっちゃうんだろうね」、と言うと、「まったくそのとおりなんだよ」、と寂しそうに笑う。


で、私が「早く別れろ」というのには他にも事情(理由)が有る。

Kさんの母親が再婚していて、近々莫大な遺産相続を受けることになりそうなのだが、それも、そんなに遠くない将来「一人っ子」であるKさんが相続することになりそうなのだ。

Kさんは、「自分の死後、奥さんがアッと言う間に浪費してしまう」であろうことは判っている。それだけは嫌だ、と言う。

「お袋が相続した時点で、お袋と相談して不動産を換金したいと思うんだけど、その時には相談に乗ってくれるかなあ・・・」と訊くので、もちろんOKした。と言うか、10年前からその話は聞いていて、「Kさんと縁を切らなければ必ず私のところに話が来る」と信じていた。

なぜなら、

Kさんと私は、Kさんが私の頭上に灰皿を振り上げて睨み合った時にしっかりと信頼関係が築かれていたから、である。普通に考えれば、その時点で信頼関係が壊れていた、と思われるだろうが、そうではない。互いに真正面から相手の目を見て本音で話したのだ。Kさんも「私が体を張って意見してくれている」、と解かっていただろう。

私はその時のことを一度も責めなかったし、Kさんも「別れろ」と言われたことを根に持っていなかった。それどころか、今となっては「あの時」に私の進言を聞いていれば良かった、とも思ってくれている。

何億、いや何十億という不動産売買に絡めることになるから、多少手数料を負けてやっても、それだけで3年は食っていけるだろう。

危険な目にも遭っているし、それくらいのことが無ければ、不動産屋なんてやっていられるものではないわーい(嬉しい顔)






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2008年11月16日

悪運の強い奴(R18指定)

うちのお客さんで妻子持ちの男性が東北地方の或る町に単身赴任していたのだが、たまたま更新契約で帰ってきて、こんな話をする。

赴任先の休みは不定期で、月火連休になった月曜日、地元で評判の風俗店に向かってバイパスを車で走っていたんだと。

前任者の話では「たしか、本番までやらせてくれる店があったハズ」と探していたのだが、どれだけ行っても見つからない。ずいぶん走った頃、ようやくお店のネオンサインが見えてきたが、中央分離帯が途切れず、反対車線の後ろ側に通り過ぎて離れるばかり。

早くUターンしたくて焦っていたが、一向に適当な箇所が見つからなくて、走行車線側から下りようにも高架になっていて下りられない。

「もう今度でいいや。次は事前にちゃんと地図を調べてから来よう」とその日は諦めて帰ってきたそうな。

「チェッ!、今日はついてないや」と、身の不運を嘆きつつ不貞寝して翌日TVを見ると、ナンと自分が入り損ねたその店に、昨晩警察の捜査が入って、経営者から従業員、ネエちゃんに至るまで皆お縄になって、客も途中でストップさせられて事情聴取を受けた模様。

そんなことが勤務先にバレたら停職と減給、それに出世の道も閉ざされるのは必定で、何より家族に合わせる顔が無かったろう。

ニュースを見て震えが来た、というのも当然である。

その店には、かつて同僚が行って本番までやらせてくれたものの、有り難くないお土産まで頂いて帰ってきたとか。「ネエちゃんは粒揃いだし、何でこんなに安いんだろ」と不思議に思っていたそうだが、後の病院通いは大変だったとか。それが判っていて行くか?普通!

「やっぱ高級な店に行かなきゃダメなんだね」、と言うけど、そういう問題じゃない!ちっ(怒った顔)爆弾
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2008年06月06日

し、視線が下ろせない・・・^_^;

濃い化粧で金髪、服装も「見るからに風俗嬢」という二人連れが来店した。夕方だったが「これから仕事します」という雰囲気だった。

「2LDKで二部屋ともフローリングというの、何か有りますか?」とのこと。どちらか一人が2LDKを借りるハズはないから、「二人で入居するの?」と訊くと、「そうです」と言う。

私の経験上、友人同士での入居は「8割かた」、いや「9割かた」は上手くいかない。途中でどちらかが出て行ってしまう。先のことは全く考えていないように見受けられたので、念のため、こう話した。

「友人同士の入居は、始めはどんなに仲が良くても殆どが上手くいかなくなるから、貸す側からは嫌がられるものなんだ。すぐ喧嘩してどちらかが出て行ってしまうんで、そうすると残った一人では家賃が払えなくて結局は出て行かれるから審査が下りないんだよ」、と。

表情からして、やはり「上手くいかないこともある」などとは小指の先ほども考えてはいなかったようで、怪訝そうな顔をしている。

更に、畳み掛けるようにこうも話した。

「もし仮に審査が下りたとしても連帯保証人はそれぞれに必要になるけど、その点は大丈夫?」

すると、「なんで?」と訴えるかのように訊くので、

「もし片方の親の誰か一人だけを保証人に付けてもらったとすると、何かトラブルが発生したなら、『私は自分の娘の補償しかしない』と言いかねないでしょう。だから、友人同士で入居する場合には互いの保証人が相手の分も一緒に保証してもらうことになるんだよ」、と説明したのだが・・・、

私には、保証人は親族ではなく勤め先の店長あたりを予定していたのでは、と思えた。私の言葉への反応を見ていて容易に判った。

「どこか他の不動産屋さんに行った?、OKだって言ってた?」と訊くと、「何も言われなかった・・・」と言う。

それは「うるさいこと言わずに審査を通してくれるつもり」なんかではなく、何の説明もなく単に「門前払い」されただけであろう。

この二人、ヘタなOLよりハキハキしていて、しっかり自己主張もできるのだが、いかんせん見た目で損をしている。男女を問わず、不動産屋に部屋探しでやってくるならそれなりの格好を整えていないと無駄な時間を費やすことになる。以前、私の記事に寄せて頂いたコメントにもあったが、「審査は来店した時から始まっている」のだ。

二人とも超ミニで、胸元が大きく開いて谷間が見える服だったから、私も目のやり場に困った。首から下には視線を落とせない。少しでも視線を落としたなら「エロおやじ」と思われかねない。もちろん、実際にエロおやじ、ではあるが、見たくないものを見せられて、尚且つ疑いを掛けられたんじゃ堪らない。だいいち非常に肩が凝る。

審査が下ろせないことより、視線が下ろせないのが問題だったふらふら

感じも悪くなかったし、私自身は水商売や風俗嬢であっても部屋を紹介することはあるのだが、う〜ん、この二人だとちょっと厳しい。

私が「悪いケースを想定した話」ばかりするもので、不機嫌な顔で「じゃあイイです」と出て行ったが、そんなんで私が「不親切な不動産屋」だと思われたなら辛いものがある。ま、いいけど(*^^)v

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2008年05月16日

うちも「電気ポット」方式で

昨日の記事で書いた「87歳の女性に振り替えるつもりの物件」に、当社の家主さんから問い合わせがあった。その物件で、ということではなく、その物件しか該当しないから、という話なのだが・・・、

「私の知り合いで84歳の女の人がいて、現在は他県に住んでるんだけど元々は多摩の人なんで、こっちに帰りたいって言うのよね。そんな歳の人にでも貸してくださるお部屋、あるかしら?」、とのこと。

他社には問い合わせるだけ無駄だから、うちの物件の中でしか紹介できない。その家主さんご自身は、ご自分のアパートに空室があれば、年齢など気にせず審査を通してくださる方ではあるが、高齢者を取り巻く賃貸事情の厳しさは充分に理解していらっしゃる。

一般的に、家主さんが高齢者の入居を敬遠するのは、家賃が入るかどうかより、不測の事態を恐れて、という理由である。室内で死亡していたのを長く気付かなかったりして事件モノみたいになってしまったり、火を使っている最中に意識をなくして火災になったり、徘徊などが始まったり、と心配の種が尽きないからだ。

管理会社が「高齢者の入居後にお世話をする」なんてことは到底出来ないが、こういう方法でならチェックすることは可能である。

いわゆる「電気ポット」方式、である。

高齢者の家で使っている電気ポットにセンサーを取り付け、使用している形跡があれば無事、と判断するチェック方法だ。ただし、そういう電気ポットを家主さんや管理会社が支給して管理(チェック)する、なんてことは出来ないから、方法としては略式なものになる。

入居者から、毎日一度、必ず私の携帯に電話して「ワン切り」してもらう、という方法だ。それなら費用もかからない。着信記録が残っていれば、少なくとも「その時点での無事」は確認できる。忘れることもあるだろうから、2〜3日「ワン切り着信」が無ければ、こちらから電話すればよい。何かの用がある時は、ワン切りせずにそのまま鳴らしてくれればよい。それくらいのことでも或る程度は未然に事故が防げるかも知れない。難点は、いつまで電話することが出来る状態でいるか、ということだが、習慣化させれば継続することも可能だろう。

その程度では「家主さんに安心して頂く」のは無理としても、できる範囲で協力させて頂くのは吝か(やぶさか)ではない。極力「家主さんの負担を軽減させる」のも管理会社の務めなのだから。

一方で「行政は指示や僅かな金銭の補助だけ出すのでなく、もう少しソフト面での改善や工夫をしてもらいたいもの」とも思っている。

「ただ号令だけ掛けられても人は動かない」ものだから。
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2008年05月15日

奇跡(?)は呼び起こせるのか

先日の87歳のお年寄りの部屋探し、申込みをもらった部屋では審査が下りなかったので、奥の手を使うことにして、返事待ちである。

最初の部屋は6万5千円の2DKで一人入居での申し込みだった。そこで、客付業者に先ずこう訊いてみた。

「そのお客さん、2部屋ないとダメですか?1DKでも何とかなるなら、直ぐ近くに築年数も同じくらいで、家主さんが了解して頂けそうな物件があるのですが・・・」

その物件は、和室6畳、DK6畳、エアコン付き、BT別で4万5千円、という部屋なのだが、それで「その部屋でもいい」と言ってもらうだけなら奇跡でも何でもない話である。

そのお客さんがその部屋に住んでもらうためにはクリアしなければならない点が幾つもある。そのままでは使えない部屋でもあるし。

どういうことかというと、空き部屋はあるが、現在募集しているのは2階の部屋なので、87歳という高齢の身には負担が大きい。

部屋そのものは、客付業者の担当者の話では「一部屋でもいいし畳の部屋が希望」、ということだから希望は満たしている。

そこで、下の部屋に住む入居者に同じ家賃で2階に移ってもらい、下の部屋の準備が出来次第、入居してもらおう、という話である。

口で言うのは簡単だが現実はややこしく、流れとしてはこうなる。

1、客付業者の了解を取りつける。
2、お客さんに訊いてもらう。
3、現在募集中の(全く同じ作りの)2階の部屋を見てもらう。
4、気に入ってもらえたら家主さんに説明して了解を頂く。
5、1階の入居者に事情を説明して2階に移る同意を得る。
6、1階の契約を済ませ、現1階の入居者を2階に移動させる。
7、1階をリフォームして、準備でき次第、入居してもらう。

5番目は、本来なら先に打診しておくものだが、後でも構わない。
上記からは、その間の「カネに関する相談」は抜いてある。実際にはそれが一番大変な作業になる。

もちろん、1階の入居者と家主さんには一切の負担をかけないよう配慮しなければならないし、通常の移動とは別に「本来なら必要ない負担」もあるから、それを誰が負担するか、という問題も出てくる。

現在、1階の家賃と同額で2階の募集を行っているので、1階の入居者が2階に移っても負担増にはならないし家主さんにとっては何の問題もない。でもって、2階である分だけ快適に過ごしてもらえることになる。面倒はお掛けするが結果としては喜んで頂けるだろう。

1階の入居者は、事情を話して頼めば嫌とは言わない。過去ログのどの記事かは言わないが、本人も保証人さんも私には恩義を感じていてくださる事情があるので、喜んで協力して頂けるに違いない。

家主さんは「高齢だから」といって断る方ではない。「お任せしますので」と仰るのは判っている。

費用に関しては「立ち退き」という理由があるので、取り壊しになるアパートの家主さんと交渉することになるのだが、仮に家主さんが費用の負担を断っても、今度の部屋の礼金に上乗せして諸費用に充当させれば結局は「出してもらえた」ことになるから心配ない。

客付業者にも「成約になったなら今度の部屋の仲介料分を支払う」と話して了解してもらっていて、お客さんにとっても、場所と間取りがOKなら家賃も2万安くなるワケだし、全て丸く収まる・・・、

と踏んでいたのだが・・・・・、

4日経っても担当者からは何の連絡もない。ちゃんと訊いてくれているのかも判らない。うちは余程のことがない限り「頭越え(仲介業者を抜いて手数料を独占すること)」はしないし、ちゃんと筋を通しているのだから返事が欲しいものだが、何も言ってこないのだ。

もし担当者がお客さんに訊いてくれてなかったなら、私が直接連絡を取って話を進めるが、その場合は仲介料は払えないことになる。仮に「他の部屋で決まった」というなら、ここまで提案しているのだから連絡ぐらいは欲しい。まあ、まだ決まっていない、とは思う。

担当者からはその後の連絡が全く無いので、火曜日に電話をすると「担当者が不在なので結果は判らない」、とのこと。

ご高齢のお客さんの為にも早く動いて欲しいものだが、なんせ動きが悪すぎる。今日一杯待って連絡が無ければ、もうお客さんと直接話をして、私一人で奇跡を呼んでみよう、くらいに意気込んでいる。
posted by poohpapa at 07:49| Comment(2) | お客さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月10日

私が立たされている非常に難しい局面

昨日の記事の続編のような話。

GW直前に同業者から当社管理の2DKの空室に(GW開けに)申込みを入れる、との連絡があった。お客さんはお年寄り、とのこと。

で、予定通り、申込書がFAXで流れてきたのだが・・・、凹んだ。


申込者は、87歳の一人暮らしのご婦人である。ご高齢、とは聞いていたが、そこまでとは思わなかった。業者は「年配の女性」とは言っていたものの事前には具体的な年齢に触れず、FAXを流してきた後に「年齢よりずっとお元気ですから」との説明。であっても家主さんの審査が下りるかどうかは判らない。いや、いくら「高齢者という理由で入居を断ってはならない」と言われたとしても無理である。

今まで入っていたアパートは取り壊しになるとかで立ち退きになるらしく、生活保護は受けていない。こういう場合、むしろ「生活保護」を受けていてくれたほうが有り難い。何か事あれば市の福祉課で世話してくれるからだ。

連帯保証人は84歳の弟さん。失礼ながら「どちらが先か」くらいの話だが、弟さんは資産家でもあり、家賃の心配は要らなさそうだ。

家主さんに相談すると、「うちのアパートで最期を迎えられることになるのでしょうけど、私がお世話することは出来ないし、どうしたものでしょうか・・・」とのこと。私も、無理にはお願いできない。

実は、この件では家主さんと3度も電話で相談し、「何でしたら私がアパートを訪ねて本人の様子を見てきましょうか?」とまで提案したが、家主さんは気乗りしないご様子だった。当たり前だとは思う。

ハッキリ断られてはいなくても、4度目の相談をすることは無い。
何故なら、私は「理解」を求めているだけで、「説得」しようとしているワケではないからだ。もし私が説得して審査を通してもらったら何か有った時には私が全責任を負うことになってしまう。いくら管理会社でも、そこまでの責任は負えない。だから「説得」はしない。

仮に「最善を尽くします」と言ったとしても、家主さんは私が「責任を取る」と言った、と解釈してしまうだろう。それも当然である。

案内をしてくれた業者には悪いが、その物件では断るしかない。


一つだけ、超ウルトラC級の方法が残っているが、「話が纏まったら奇跡と言えるくらいの手法」である。今日、客付業者と全部の関係者に話してみて、合意を取り付けてから本人(お客さん)に相談してみようと思う。誰か一人でも不承知なら成立しない話だし、話す順番も重要なので、余程に整理してかからねば・・・。

たぶん可能性は2%くらいで、あまり期待は出来ないだろうが、とにかく最善は尽くしたいと思う。

ま、上手くいったら詳細は後日ご報告、ということで(*^^)v



posted by poohpapa at 06:51| Comment(4) | お客さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月21日

これ以下はない最悪の条件のお客さん

更新契約をしている最中にドアを開けて老人(男性)が入ってきた。

「部屋探しを頼みたいんだけど・・・」と言う。

漂っている雰囲気を一目見て、「この人の部屋探しは難しそう」と思えたが、「しばらくお待ち頂けますか?、どうぞお掛けになってお待ちください」と言うと、「いや、それでは迷惑かけるから外で待ってるよ」と出て行こうとする。それで「大丈夫ですよ、中でお待ちください」と言っても、「いやいや、いいから」と入ってこない。

ならば仕方ない、と契約事務を続けていたが、ちゃんと外で待っている気配がする。本音では「5分もすれば他所の不動産屋に行くもの」と期待(?)していたが、寒い店の前で20分も律儀に待っていた。

更新のお客様と入れ替わりに中に入ってもらって条件を聞くと、「立川で、出来れば二部屋あって、予算は5万くらいまで」とのこと。

内容は先日の老人とよく似ている。しかも、水商売で店仕舞いも考えていて、保証人を頼める人もいない、というところまでソックリで、老人は日本人であったが、これでもし特定の国の国籍の人だったならもう最悪で、何と言うか「悪い条件」が全て揃っていることになる。

のだが・・・、私はこのお客さんの部屋探しを引き受けることにした。なぜなら、20分以上も先客の邪魔をしないよう外で待っていてくれたことと、悪い条件の話も全て正直に話してくれたから、「このお客さんなら大丈夫では・・・」、と思えたからだ。

と言っても、うちの直の管理物件か、よほど仲良くしている業者の物件にしか紹介は出来ない。申し込みを入れても断られてしまうのがハナから判っているから、である。

「場所が矢川とか国分寺なら、うちの管理物件で安くていい物件があります。そこなら家主さんに相談に乗ってもらえますが・・・」と言うと、「住所が国立とか国分寺ではダメなんだよ」とのこと。

それで、ピーン!ときた。

「生活保護を受けられるのですね」と訊くと、「そうなるかも知れないんで・・・」と言う。

今は水商売で間もなく無職、高齢者、保証人なし、に生活保護・・・、
泣きたくなるような条件だが「この老人の力になろう」と思った。

「1週間ほどしたら寄ってみてください。何か探しておきますので。念のため、電話番号をお伺いできますか?」と訊くと、「家には電話はないし、携帯も持ってないんだよ」とのこと。え?マジかよ!?

電話が無いようでは殆どの不動産屋で断られてしまうに違いない。

「公衆電話ででも電話するから」と言うお客さんに、「でしたら、コレ、あげますよ」と未使用のテレホンカードを渡したら喜んで受け取る。
10円玉の持ち合わせが無ければ公衆電話も使えないのだから。

帰りがけに、「この歳になるまで、アンタのような不動産屋に当たったのは初めてだよ」、と言ってくれたが・・・、

私も、「お客さんみたいに悪条件が揃った人、初めてですよ」、と、心の中で呟いていた(^^ゞ

その後、相当な期間を要したが、その老人の新居は見つかった。うちの管理物件ではなかったが、ふだんから仲良くしている同業者に頼み込んで、「保証人なし」の条件で何とか審査を通してもらった。

今、老人は「近所まで来たから」と毎日のように私の店に寄るふらふらたらーっ(汗)



posted by poohpapa at 06:13| Comment(2) | お客さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする