「昨年の源泉徴収票(収入証明)が出せない」とか「年収は、不動産の仕事も含めての話で、そっちは収入証明が出せない」とか、先方の管理会社から「イマイチ内容が不透明なので本人に一度来店してもらってくれ」と言われて「そんなうるさいこと言うならもういい」とか言い始めて、さて、どうしたものか、と思っていると・・・、
管理会社の女社長から電話があった。以前は当社の並びに店が有ったので私は年中お茶を飲みに行っていて、その社長とは旧知の仲で何でも遠慮なく話せるから、裏ではこんな遣り取りをしていた。
「その人、こないだ見せた3DKでなくちゃダメなの?」
「べつに、かまわないと思うけど・・・」
「だったら西砂(立川市の中では僻地)にレンガタイル貼りの3DKがあって、そっちのほうが2万以上も安いんだけど、そこまで引っ込めないかなあ?」
「そんなことないと思うよ。安けりゃ安いほどいいんじゃないかな」
「なら、そっちにしてよ。うるさいこと言わないで審査通すからさ」
「審査を通してくれるならそっちでいいな、今度見せてやってよ」
で、数日前、その僻地の物件を案内したら一発で気に入って契約する事になった。実は最初に申し込んだ物件は広告を打てば直ぐ決まる物件で、後のは何度広告を打っても決まりそうにない物件である。それでも本人たちが気に入って申し込んだのだから問題は無いが。
だいいち更新をせず退去する期限までに10日ほどしかなかったのだから、あれが嫌だ、こうしてくれ、などと言えたものではないのだ。
まあ、管理会社からすれば、そっちで申し込んでくれるならワケありでも何でも審査を通すつもりだったろうし、私も「自分の置かれた立場や状況が解かってなくて贅沢ばかり言っている」のと「そんなの聞いてないよ!」という話を後になってぽろぽろ出してくる客にそろそろ愛想がつき始めていたので、女社長にこう言ってやった。
「かまわないから、好きなように料理してやってください」、と。
もし、物件が気に入らなくて、或いは管理会社から断りが入ったなら、日にちも無いことだし以前見せて気に入らなかった当社の貸家に決めるしかなくなるので、私としてはどちらに転んでも良かった。その時は調理人が代わるだけのことである。ま、そういう客だ(*^^)v
そのことを後でワケあり紹介者に話すと、腹を抱えて笑っていた。
2万以上安い物件にはなったが、それでも手数料は8万近く入る。それで、近く紹介者とその旦那さんにご馳走することになった。
客はいいように料理され、紹介で儲けた不動産屋は宴会をひらく。
めでたし、めでたし、である
