おそらくは、K商事の社長から家主さんに電話があって、「まだ納得してないようだから、家主さんからハッキリ断ってもらえないか」とでも言われたのであろう。家主さんは私にこう言う。
「長いことお世話になったけど、私ももう80歳になるし、今後は娘夫婦に見てもらわないといけないから、娘夫婦と相談して地元の業者さんに管理をお願いしようと思っているので、宜しいかしら?」
地元の業者、って、私も地元だし、以前入居者がストーカーに付き纏われた時には夜中の12時半に見回りにも行っている。私の店が新宿や中野というなら解かるのだが、もっと近くがいいってか!?
とは言え、
どこに管理を依頼するかは不動産会社でなく家主さんが決めることである。「結構ですよ。こちらこそ、あまりお役に立てなくてすみませんでした」と言うと、いろいろ弁解された。
「K商事さんが、『リフォームするなら安いとこ紹介するから』って言ってくれて、その業者さんが『K商事さんの紹介なら出来るだけ安くしますから』って言ってくれたし、これからリフォーム頼んだりするのに『K商事さんの紹介なら安くする』と言われると管理もK商事さんに頼まざるを得なくなるもので・・・。それに娘たちの意見も尊重しなければいけないし、娘たちも『お母さんの好きにすればいい』と言ってくれるもので・・・」
???である。本末転倒で責任を転嫁している。自分の意思で決めた、で良いではないか。どう取り繕ってもミエミエなんだから。それに私自身は「仕方ないこと」と自分に言い聞かせていたから、
弁解などされると、かえって不愉快になる。
ただ、「これからはK商事さんを通してください」と言われたので、それについては「何度も当社負担で広告を打っていますので、いきなり今後はK商事を通すようにと言われても困ります。うちに問い合わせや申し込みが入った場合にはうちで対応させて頂きます」と言って納得してもらった。結果的に、3室のうち、当社で決められたのは1室に終わった。残りはK商事で決まったようだが・・・、
私には
「うちは案内だけしててもつまらないんだよ」と言うような業者が本当に家主さんや入居者のことを考えて管理してくれるとは到底思えない。法律違反ではないのだが、管理会社が別にあるのに無断で家主さんにリフォームの話を勧める、なんていうのは言語道断である。私が家主さんからあまり好かれていないだけのことなんだろうけど、逆に言えば、私も20年間よく辛抱したと思う。
当社でも長く空いたままになっている部屋がいくつかあって、家主さんに電話した際にお詫びを言うと、中には「この時勢で近所のアパートも空室ばかりだし、オタクを信用してますから気にしないでください」と仰る家主さんもいらっしゃって、そうすると私は、「家主さんがうちと心中する必要は無いので、『こいつじゃダメだ』とお思いになったら管理を切って頂いてかまいません。それで恨んだりはしませんから」と逆に言うようにしている。もし切られたなら正直辛いが、自分の力が及ばなかったんだから仕方ない。
当社でA棟を管理していて、B棟は大手不動産会社で管理しているアパートがある。そのB棟は4部屋のうち2部屋が2年も空いたままになっている。うちも1年ほど空いていた1部屋が最近ようやく決まった。B棟には家賃を200万以上も滞納している入居者がいて、管理会社は担当者がコロコロ替わっていて取立てなどしてくれないので当社に依頼があったが、私は他社の管理物件の取立ても無償でやっている。家主さんから「もうオタクで管理してもらえないか」との話もあったが、まだ引き受けていない。二つ返事で引き受けたなら「横取りが目的で取立てを引き受けた」ことになるから。
これから数年のうちには礼金や更新料という制度が消えるかも知れないから、「管理物件を多く抱えているから安定収入が見込める」という時代ではなくなるだろう。企業としての強いポリシーが無ければ「管理物件が多いことが命取り」にもなりかねない。K商事は当社の10倍くらいの管理物件を抱えていると思われるが、不動産会社にとって必要なのは数ではない。社長のやっていることは「競馬で1レース当てて喜んでいるようなもの」だ。ずっと立ち位置を引いて見つめると自分は間違いなく損をしているのに、それに気付かない・・・。愚かなことだ。
近隣の同業者に伺うと、「うちも手数料で嫌な思いをしたし、東大和のA不動産も『絶対にK商事とは取引しない』って言ってるよ。先代は立派な人だったけど、今の社長は元々が不動産業者じゃないから業界のルールとか解かってないんじゃないかな」とのこと。
更に、近隣の複数の別の同業者からはこんな話も出た。
K商事が、土地の売却を考えていたある地主さんに「上物を建てて売り出せば直ぐ売れるから」と持ちかけて上物を建てさせ、6000万円台で売り出したんだとか。場所は立川駅からバス便でなければ行けない(徒歩では無理な)地域。売れるワケがない。
駅から徒歩圏ならともかく、たとえ土地が広めでも、そんな値段の建売住宅が売れるものではない。結局、買い手が見つからず、貸家に変更して家賃も下げて2年経つが、未だ空家のままだそうだ。
K商事にとっては売れなくても実害はない。それどころか工務店から紹介料も得ている。タダで客を紹介するなんてことは有り得ない。「管理までやらせてもらわないと合わない」と考えるような人間が、タダの仕事をするワケがないのだから。その上で、売買の手数料も(あわよくば両手数を)得ようと考えたのだろうが・・・、ローンだけ残ってしまった家主さんは何ともお気の毒だ。
先代が高齢になって、元々は他の業界にいたのを呼ばれてK商事を任された男(先代との関係は不明)が、向こうは気にもしなかっただろうけど「20年も賃貸の仲介管理をしている」私を見下してモノを言う・・・、謙虚さなど毛先ほどもなく、欲と態度だけは大きい。
先は見えたな、と思った。
ところで、そのアパートには慢性的に家賃が遅れる入居者がいて、当社でだいたい1ヶ月分は立て替えていた。冷たいようだが、当社で管理してないアパートの滞納家賃を当社で立て替える必要も意味もなくなる。K商事に管理が替わったからといって今後は滞納しなくなるとは思えないから、もし取立てがキツければ当社の立て替え分の支払いを後回しにして今の家賃を先に支払うことも考えられるから、私は速やかに回収させてもらった。それは当然のことだ。
現在入居中のお客さん(ほとんどが当社のお客さん)には、「うちは管理を離れますが、何かあったらご遠慮なく相談してください。これからも◎◎さんは当社のお客さんなんですから」と伝えてある。
うちだけではなく、不動産会社は皆いろんな苦労をしてアパート管理をしているものだろう。今までは「管理の横取り」は大手の専権事項みたいなものだったが、最近では地元の老舗業者もするようになった。不況で先が見えない今だからこそ、(ヤクザ社会ではないが)仁義を通し、仲間との付き合いや連携は大切にしなければならない。
今までも、当社で管理している物件の家主さんに「今なら『借りたい』と言っているお客さんがいるから当社に直でやらせてほしい」と持ちかける業者はけっこういたが、K商事のように「オタクの広告なんか見たことない」と事実無根の話を吹き込んだり、無断でリフォームの相談を進めたり、という醜悪なケースは初めてのことだ。それに比べたら単に横取りしようとする業者など可愛く思える。
「老舗なら老舗らしくしなさい」「自社は新興の業者に荒らされることがあったとしても、姑息な手段で他社を貶めるな」と言いたい。
わざわざ教えたりはしないが、K商事の社長にも、できれば家主さんにも、一度この一連の記事を読んでもらいたいものである。自己弁護が始まるだけで、きっと理解は出来ないものだろうけど。
以上が、この春先に一ヶ月も更新を休むことになった理由である。
posted by poohpapa at 06:14|
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