私は、いわゆる「霊感」というものは全く持っていない。持ってはいないが、そんな私が、案内をして鳥肌たったマンションがある。
よく、お客さんで、「私は霊が見えるんです」と仰る方がいるが、何のことだか私にはサッパリ分からない。「部屋の隅っこに子供の霊が座っているのが見える」とか、「階段の下で老婆が手招きしている」とか言われても、俄かには信じられない。自分には全く見えないし、適当な「断り文句」くらいに思っていた。少なくとも、あの日までは・・・。
で、その日のお客さんは若い女性であった。1人暮らし用のマンションを希望しているが、予算が厳しいので新しい物件は無理、と最初から諦めてはいた。いろいろ当たってみて、ようやく中央線の西国分寺駅から徒歩15分くらいのマンションが見つかった。案内できるのはその1部屋だけであった。
3階建ての築25年くらいのマンションで、造りがちょっとかわっていた。
広めの8畳の和室に床の間がついて、台所もゆったりしていて、お風呂も付いているのだが部屋の中にはない。1フロアに4部屋だったと思うが、廊下の端に、共同風呂ではなく、各人専用の風呂と脱衣所がある。今まで見たことの無いおかしな造りであった。建物が古いせいか空室も多く、人の気配や生活感が漂ってこない妙な静けさだった。
それでも、建物に入った時点ではまだ、「多少陰気くさいかな」、くらいの印象だった。
3階のお部屋を先に見て、お客さんも、「ああ、けっこう広くていいですね」、と話していて、その後、図面で分かっていた廊下の風呂を見に行った。ドアを開けた瞬間、私は背筋がゾクゾクッとした。私には何も見えない、だが、間違いなく「誰か」がいる。
逃げるようにお客さんをそのマンションから連れ出して会社に戻ったが、後のことは何も覚えていない。不思議なことに、お客さんの名前も顔も、その後どんな話をしたのかも、まるで覚えていないのだ。ただ、どこの物件を案内したかだけは今でも覚えている。
仮に私がそのマンションに入居したなら、3日で発狂しただろう。真昼間だったのに、体中の毛が一瞬にして逆毛立つほどの恐怖だった。
実は、今、私が借りている店舗は、私が借りる前に2度も殺人事件が起きている店舗である。「駅からは遠いが商店街の中ほどだし、手頃な物件なのに、なんで1年以上も空いていたのだろう」、と不思議には思っていたが、契約する時に初めて不動産屋から事情を聞かされた。どおりで家主さんがいつも親切にしてくれるワケである(苦笑)
奥の板戸には明らかに血ノリと思われるシミがベットリついていたが、私はとくに気にもせず、10年以上もそのままにしておいたくらいである。以前は飲み屋のおばさんが暮らしていたという窓無しで薄暗い2階の部屋(内階段)も、気味が悪いとも何とも思わずに、今は私が物置として使っていて、お客さんの荷物を預かったりもしている。
ふだん私は、どんな「お化け」より、「人」のほうがよっぽど怖い、と思っている。そんな私が、生まれて初めて、腰が抜けるほどの恐怖を感じた。
姿形が何も見えないだけに、その怖さは尋常なものではなかった。
陰気な風呂場の隅に、ジーっと潜んで、ひたすら私たちを待っていたのは誰だったのだろうか。あのマンションで、あの風呂場で、いったい何が起きていたというのだろうか。今思い出しても震えが止まらない。いや、思い出したくもない。
私はとても後悔している。何があっても、今、「あのこと」を書いてはならなかった。
このネタは「お盆」までとっておくべきだった・・・、と。
2004年05月10日
この記事へのトラックバック


お化けは私も不感症で、夜の教室で独りでも平気でしたが、
逆に「何故友人に見える霊が私には見えないのか?」
理不尽に思った事もありました。
かつて仲良くしてた、ある友人は、昼間でも日常的に霊が見える困った人で、
当時運送業をしていて、自分のトラックに見知らぬオヤジ(霊)が
助手席に乗っていたりしたらしいのですが、
ある時、霊柩車の出棺時に、
更に棺を納める車室の方のドア内部を見てしまった事があって、
「とっても怖かった!!」という程、霊だらけだったとか・・・
最近知った女性タレント【あいざわみり】さんには、霊能で、私の守護霊さまをあっさり見られてしまったり、
おまけに話までされてしまい、「ホンマかいな???」「羨ましい!」
と盛り上がってしまいました。
怖い霊は嫌ですが、浅田次郎氏の小説世界の霊はとても素敵で
是非会ってみたい「【鉄道員】ぽっぽ屋の[ゆっこ]ちゃん」
や同【うらぼんえ】のお爺ちゃん(テレビドラマで
北大路欣也演じる爺は涙無くして見られませんでした)
これが「善意の霊」の最たるものかも・・・
私が最初に働き出した時、同じ課になった同僚Kは、一年貯蓄
をして、100万円作り、海外旅行にいったのですが、
現地で海難事故に遭遇し、下半身を鮫に喰われて無言の帰国
をしました。
仲間と「あいつも、ちゃんと好きな事して死んだのかな???」
などとしゃべっている時、私の目の前の電話が鳴り、それを
取った私に「もしもし、Kですけどぉ・・・」と死んだ筈の
彼の声、彼の喋り方である!
凍りつく私に、慌てた様子で「Kの父です」とフォローして
頂いたが、腰が抜けそうでした。
「瓜二つ」だったのです(冷汗)
その後、彼は夢にも何度か出てきたのですが、
飄々としていたので、本当に幽霊になって現れても
なんだか怖くなさそうな、そんな友人でした。
poohpapa様の遭遇した禍々しい存在って、まだ其処に
いるのですよね?こわ??・・・
なんとも凄いコメントで、これはもう立派なコラムです(^^♪
それより何より、サメに下半身を喰いちぎられた友人の話は衝撃的ですね。でも、仰るように、お友達は本望だったでしょう。なワケないか、サメが噛み付いてるのに(爆)
声が親や兄弟と本当にソックリな人っていますよね。友人宅に電話して「ン?本人かな、親かな、弟かな?」、くらいに。それが、ミステリーを生んじゃうこともあるんだ、って笑っちゃいました。
いつもコメント、有り難うございます。
僕も霊感はまったくないし、そういったものもまったく信じておりません。(物理的に不可能と思えるし
ただ、強い磁場の場所だと、脳が影響を受けることもあるし、単純に通常の感覚器では感じ取れないものも多々あると思います。
たとえば、チョウチョなんかは、花の蜜のぶぶんが、紫外線で真っ黒(この例えは変だけど)に見えます。
人間には何も見えません。
たま??に、そういった普通の人間の感覚器以上の感覚器を持つ人は、そういうナニカが見聞きできるのかもしれませんねぇ。
私も人間が一番怖いと思いますねぇ。
ふだんはそういうの全く信じていないし、心霊写真なんか見ても全然なんとも思わないのですが、あの時ばかりは本当に怖かったです。世の中には科学で証明できない「何か」がまだまだ存在しているのでしょうか。私自身は科学的に証明できないものは信じない主義で、心霊現象なんかも「単に今現在原因が分かっていないだけのこと」、と考えているのですが、それにしても怖かったです。
で、やっぱり「人間が一番怖い」ですよね(^^♪
コメント、有り難うございました。
僕は20代前半まで、実はありました、霊感。
実際に霊を見ることはまれですが、そこには「絶対入ってはいけない」とか「絶対あけちゃだめだ」っていうのが、体の中でレッドアラート全開で感じるんです。
ある部屋に一人で泊まったとき、カーテンを開けようかな
と思ってカーテンに手を掛け様とした瞬間から「絶対カーテン
あけちゃだめだ!」っていう感覚が体中で感じた事が
ありました。結局朝までカーテンから一番はなれた場所で
寝て、日が昇ってからカーテンをあけると窓一面お墓だった
とか。そういう感じを感じるんです。
へ??、霊感、お持ちなんですか。第六感、ていうのは何となく分かりますが、霊感はよく分からないので羨ましいですね。
あ、お墓というのは、「縁起が良いもの」とされています。でも、一般的に、ホテルなどがお墓の横や前に建てられることはありませんよね。縁起よくても気味悪ければお客さん来ませんものね(^^♪
ところで、朝になってカーテン開けるとき、怖くありませんでしたか?
いつもコメント、有り難うございます。
今では霊感はこれっぽっちもありません。
泊まったのは、その当時働いていた工事現場の人の家で
そこが現場から一番近くて、その翌日僕は朝早く現場に
行かないと行けない用があって、その人が「俺はその日は
いないから泊まっていいよ」といってとめてもらったので、
ホテルとかじゃないんですけどね。
朝は不思議と何にも怖いとかいう感情がなかったんですよね。
昨夜あんな思いしたのにとは思いましたけど、不思議と
今は大丈夫という感覚があったんですよね。
ちなみに古いお墓とかあるお寺に泊まったりしても、かみさんの
実家の向かいにお墓があっても全然怖くないです。
さすがに寺に泊まって夜、トイレに行くときは普通に人が
思う薄気味悪いなあという感覚ですが。
ふだん「霊感」を感じない人でも、何かの折に急に感じたり、で、また普通に戻ったりすることは有るものなんでしょうね。
私も、「お化け」や「霊魂」を信じていなくても、お寺で夜中にトイレ行くときの「薄気味悪さ」は感じます(^^♪
子供の頃は夏休みに、よく近所のお寺で「肝試し」をやっていたのを思い出しました。田舎にはもう5年も帰っていませんが、懐かしいですね。
最近とみに、「生まれ育った場所をもう一度見ておこう」と思うようになったり、このコラムでも「書きたいことのうち大事な話は大半書き終えている」ので、ひょっとしたら「死期が近いのかな」、と真面目に考えているんですよ、本当に。数年前には、死ぬ前に是非会っておきたいと思っていた同級生に、私の町で偶然会うことができたりもして。
全然次元が違いますが、「晩年のモーツァルト、いやシンドラー状態」で原稿を書きまくっています(失礼)
ペンを握ったまま死ぬならカッコいいけど、キーボードに涎垂らしながら死ぬんじゃ、人には見せられない死に様ですね(爆)
「霊感」、大切になさってください。では
書こうか書かまいか迷ったのですが書きます・・・。
実際その場面を見てはいないのですが(^^;
10年ほど前の事なのですが、
私は就職して地元を離れ、妹(Yとします)は地元で働いてました。
ある日、仕事から帰ってゴロゴロしていると一本の電話が。
電話は母親からだったのですが、普通じゃない様子だったので、
「まさか、家族になにかあったのか?」と色々頭の中で考えてしまいました。
すると、「Yチャンツカレタンヨ」と一言。
(ん?疲れた?なんでそんな事で電話してくるんだ??突かれたのか?)
よくよく話を聞いてみると、
「Yちゃん憑かれたんよ」との事(^^;
妹と遊んでいた友達に強い体質の子がいて、
どうも、その子が拾ってきた人?に憑かれたらしいです。
付いてきているのに気がついたその子は、
結界を張り「ここから出ちゃ駄目よ」と妹に言ったのですが、
出たらしいです(苦笑)
その時は知り合い?の人に祓ってもらって事なきを得たようですが・・・。
そんな事で、電話してくるのか?母よ(;;)
電話されても困ってしまいます・・・。
その妹も、結婚して一児の母です。
「憑かれる」、というのは良くあるようですね。私の子供の頃も何度か聞きましたし、東京に出てきてからもけっこう聞いています。私自身、遭遇したことはありませんが、「心霊写真」よりは信じられる話だと思います。昔からよく言われる「狐憑き」の話は、実際に見た人から詳しく聞いた覚えがあります。
でも、お母さんの電話には「誰か自殺でもするのか」と驚いたでしょうね、目に浮かぶようです(^^♪
妹さんのお友達も凄いですね、しっかりしてて。当時、何歳くらいだったのか分かりませんが、たいしたものです。
妹さんは貴重な経験をなさって懲りたでしょうから、それ以来きっと、「何かの線」からは出ることがないでしょう^^;
コメント、有り難うございます。
この記事には、ぞくぞくってきました(笑)
はるか昔(涙)中学生のころ、ひとめ“そういった”モノを
見てみたかったのですが、その想いが叶って(?)学校の
図書室で見てしまいました。
友人と二人で鍵の掛かった図書室へ忘れ物を
取りに行ったのですが、無人とはいえまだ夕方で
外は明るいのにぼんやりと白い人影が・・・
入り口の窓からそれに気づいた二人はお互い何も口にせず、
外へ走り出していました。 後から話すところによると
同じ場所で1ヶ所、別々に1ヶ所(お互い2ヶ所ずつ)に
人影を見ていたようです。
後日、先輩がその図書室で撮った女生徒の写真に
黒板いっぱいの大きさの骸骨が写っていました。
あまりにも衝撃的だったのでその写真はその彼女には
見せられませんでした。
あの日、私と一緒に見てしまった子だったので・・・
それ以来、“そういったモノ”を見たいとは
思わなくなりました。 当然ですね(笑)
ただ、寝ているときに以前飼っていた猫が左肩のところに
きているのを感じて嬉しく思ったことはありましたが。
ただし、その猫もいまのコが来てからはでてこなくなりました
これってちょっと寂しい・・・
実は、図書館と言うのは、一番出やすい場所みたいですね。たしか、映画の「ゴーストバスターズ」でも、冒頭のシーンは図書館だったような・・・。
2人ともが見たのならかなり信憑性が高い話になりますね。貴重な経験といえるでしょう。私の場合は、怖がる私を見ても、お客様はアッケラカンとしていました。
私の世代は「化け猫映画」が夏の定番でしたので、猫が夢枕に立つ、というのは怖いものがありますが、きっと可愛がっていらっしゃったから来てくれたのでしょう。ひょっとすると、今の彼女に嫉妬しているかも知れませんので気をつけてあげてくださいね。なんて言ってると、脅かしているようですが^^;
いつもお読み頂き、本当に有り難うございます。
このコラムを読み出した時、poohpapaさんのお店に
行った時のことを思い出しましたよ。(^^;
お店に入ったとたん、左半身に鳥肌がたったんだよな〜(笑)
霊を見たことは今まで一度もないんだけど、感はあるようで・・。
見えたり聞こえたりはしないんだけど、なんか困っているような
必死なような。・・そういうヒトを目の前にした時と同じような
感覚がしたんですよね〜。
あそこの店舗をpoohpapaさんが借りることになったのも、きっと
poohpapaさんならわかってくれる、と思ったからなんだろうな〜
って今になって思います。
お花、かざってますか?
とぼとぼと一人で、魂のみに還るための旅をしているヒトの足下に、
飾ったお花がぽっと咲くんですよ。
死んだヒトのために花を添えたりする理由はワタシもよくワカンナイ
ですけど、きっとそんなささやかなコトだけで足取りが軽くなるん
だと思います。
先日は有り難うございました。とても楽しく有意義な時間を過ごさせて頂きました。CDも聴きましたよ。ふだん自分が聴いている音楽とは少し違いますが、でも、ライブはいいですね、臨場感があって。音質がどうのこうの、なんてどうでもよく思えてしまいます。
引っ越しの準備、整っていますか?
まあ、日もあることなので、のんびりやってくださいね。
あの後、珍しいことに、お客さんからお花を頂いて、それが枯れるまで飾っていましたが、今はありません。zazouさんが仰るのは、切らさず飾っておくように、ということなのかな・・・。
またよろしければ遊びに来てください。
どうも有り難うございました。